アドボカシー
アドボカシー(英:advocacy)とは、本来「擁護」や「支持」「唱道」などの意味を持つ言葉で、日本では近年[いつ?]、「政策提言」や「権利擁護」などの意味で用いられるようになっている。また、アドボカシーを、「社会問題に対処するために政府や自治体及びそれに準ずる機関に影響をもたらし、公共政策の形成及び変容を促すことを目的とした活動である」と定義する専門家もいる。
目次
[非表示]
概要
日本語(カタカナ)で「アドボカシー」と表記される場合、大別すると二つの意味で使われることが多い。ひとつは権利擁護としてのアドボカシーであり、もうひとつは政策提言としてのアドボカシーである。
具体的には、社会的弱者、マイノリティー等の権利擁護、代弁の他、その運動や政策提言、特定の問題に対する政治的提言、保健医療、社会環境での性差撤廃、地球環境問題など広範な分野での活発な政策提言活動を指している[1][2]。まちづくりにおける市民関与もこの一つで、反対運動、市民参加、自発的まちづくり活動、行政等への意見反映のための活動のことである。
権利擁護としてのアドボカシーについては、(あまり組織的でなく、適度な)権利の代弁、擁護のことを指すとされ、その場合の例として、自ら自己の権利を充分に行使することのできない、終末期の患者、障害者、アルツハイマー病、意識喪失の患者などの権利を代弁することなどがあげられる。また、患者会やSHG(セルフヘルプグループ)などがある程度組織的にアドボカシーを行う場合もある。
一方、政策提言としてのアドボカシーについては、特定の問題について政治的な提言を行うことと定義され、日本でも保健医療や、雇用における性差撤廃、地球温暖化防止などの環境問題、公共事業問題など広範な分野で活発な政策提言活動が行われている。特にNGO/NPOなどが行う市民活動の分野では、アドボカシーは反政府、反企業といった対立の構図ではなく、論理的・科学的な政策を代替案を示して提言する活動[3]であり、最もNGO/NPOらしい活動と定義する学者や専門家は多い。
また、ロビイング活動そのものや、そこにいたる代弁・弁護活動までも含めたものをアドボカシーとする考え方もある。最近では成年後見制度などとも関係して、超高齢社会の中で話題になることも多くなっている。また、日本の政府がNGO/NPOによる政策提言能力の向上を目的とした表彰制度を行っているが、そもそも提言を受ける側である国が提言する側を表彰することについては、NGO/NPOの中に疑問の声もある。
アドボカシーの例
- Linux等のフリーソフトウェア運動
- 市民の側から政策提言を行うこと
アドボカシープランニング
市民参加の都市計画やまちづくりプロセスへの参加と意見反映を目的とした計画理念とその方法論をアドボカシープランニング、またはアドボケイトプランニング(advocacte planning)という。
脚注
- ^ 主に「弁護」「擁護」などの意味で用いられる英語。特に社会的弱者などの権利主張を代弁すること、あるいはその代弁者の立場などを意味する場合が多い。実用日本語表現辞典 (2012年6月11日). “アドボカシー「advocacy」”. 2017年4月3日閲覧。
- ^ 自己の権利を表明することが困難な寝たきりの高齢者や、認知症の高齢者、障がい者の権利擁護やニーズ表明を支援し代弁すること。“介護用語集”. 一般社団法人 全国介護者支援協議会. 2017年4月13日閲覧。
- ^ アドボカシーとは:具体的な政策目標を実現するために、政策決定者および同決定プロセスに影響力を持つ個人、組織に働きかけること“アドボカシー(チャイルド・ライツ・センター)”. 公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン. 2017年4月13日閲覧。
関連項目
カテゴリ: