著作権法
(昭和四十五年五月六日法律第四十八号)

 

 著作権法(明治三十二年法律第三十九号)の全部を改正する。


 第一章 総則 
  第一節 通則(第一条―第五条) 
  第二節 適用範囲(第六条―第九条の二) 
 第二章 著作者の権利 
  第一節 著作物(第十条―第十三条) 
  第二節 著作者(第十四条―第十六条) 
  第三節 権利の内容 
   第一款 総則(第十七条) 
   第二款 著作者人格権(第十八条―第二十条) 
   第三款 著作権に含まれる権利の種類(第二十一条―第二十八条) 
   第四款 映画の著作物の著作権の帰属(第二十九条) 
   第五款 著作権の制限(第三十条―第五十条) 
  第四節 保護期間(第五十一条―第五十八条) 
  第五節 著作者人格権の一身専属性等(第五十九条・第六十条) 
  第六節 著作権の譲渡及び消滅(第六十一条・第六十二条) 
  第七節 権利の行使(第六十三条―第六十六条) 
  第八節 裁定による著作物の利用(第六十七条―第七十条) 
  第九節 補償金等(第七十一条―第七十四条) 
  第十節 登録(第七十五条―第七十八条の二) 
 第三章 出版権(第七十九条―第八十八条) 
 第四章 著作隣接権 
  第一節 総則(第八十九条・第九十条) 
  第二節 実演家の権利(第九十条の二―第九十五条の三) 
  第三節 レコード製作者の権利(第九十六条―第九十七条の三) 
  第四節 放送事業者の権利(第九十八条―第百条) 
  第五節 有線放送事業者の権利(第百条の二―第百条の五) 
  第六節 保護期間(第百一条) 
  第七節 実演家人格権の一身専属性等(第百一条の二・第百一条の三) 
  第八節 権利の制限、譲渡及び行使等並びに登録(第百二条―第百四条) 
 第五章 私的録音録画補償金(第百四条の二―第百四条の十) 
 第六章 紛争処理(第百五条―第百十一条) 
 第七章 権利侵害(第百十二条―第百十八条) 
 第八章 罰則(第百十九条―第百二十四条) 
 附則 

   第一章 総則

    第一節 通則

 

(目的)

第一条  この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

 

(定義)

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

  著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

  著作者 著作物を創作する者をいう。

  実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。

  実演家 俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。

  レコード 蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう。

  レコード製作者 レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。

  商業用レコード 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいう。

七の二  公衆送信 公衆によつて直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信(電気通信設備で、その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(その構内が二以上の者の占有に属している場合には、同一の者の占有に属する区域内)にあるものによる送信(プログラムの著作物の送信を除く。)を除く。)を行うことをいう。

  放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信をいう。

  放送事業者 放送を業として行う者をいう。

九の二  有線放送 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいう。

九の三  有線放送事業者 有線放送を業として行う者をいう。

九の四  自動公衆送信 公衆送信のうち、公衆からの求めに応じ自動的に行うもの(放送又は有線放送に該当するものを除く。)をいう。

九の五  送信可能化 次のいずれかに掲げる行為により自動公衆送信し得るようにすることをいう。

 公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置(公衆の用に供する電気通信回線に接続することにより、その記録媒体のうち自動公衆送信の用に供する部分(以下この号及び第四十七条の五第一項第一号において「公衆送信用記録媒体」という。)に記録され、又は当該装置に入力される情報を自動公衆送信する機能を有する装置をいう。以下同じ。)の公衆送信用記録媒体に情報を記録し、情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体として加え、若しくは情報が記録された記録媒体を当該自動公衆送信装置の公衆送信用記録媒体に変換し、又は当該自動公衆送信装置に情報を入力すること。

 その公衆送信用記録媒体に情報が記録され、又は当該自動公衆送信装置に情報が入力されている自動公衆送信装置について、公衆の用に供されている電気通信回線への接続(配線、自動公衆送信装置の始動、送受信用プログラムの起動その他の一連の行為により行われる場合には、当該一連の行為のうち最後のものをいう。)を行うこと。

  映画製作者 映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう。

十の二  プログラム 電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したものをいう。

十の三  データベース 論文、数値、図形その他の情報の集合物であつて、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。

十一  二次的著作物 著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。

十二  共同著作物 二人以上の者が共同して創作した著作物であつて、その各人の寄与を分離して個別的に利用することができないものをいう。

十三  録音 音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。

十四  録画 影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することをいう。

十五  複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。

 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。

 建築の著作物 建築に関する図面に従つて建築物を完成すること。

十六  上演 演奏(歌唱を含む。以下同じ。)以外の方法により著作物を演ずることをいう。

十七  上映 著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい、これに伴つて映画の著作物において固定されている音を再生することを含むものとする。

十八  口述 朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達すること(実演に該当するものを除く。)をいう。

十九  頒布 有償であるか又は無償であるかを問わず、複製物を公衆に譲渡し、又は貸与することをいい、映画の著作物又は映画の著作物において複製されている著作物にあつては、これらの著作物を公衆に提示することを目的として当該映画の著作物の複製物を譲渡し、又は貸与することを含むものとする。

二十  技術的保護手段 電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法(次号において「電磁的方法」という。)により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第一項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下この号、第三十条第一項第二号及び第百二十条の二第一号において「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止(著作権等を侵害する行為の結果に著しい障害を生じさせることによる当該行為の抑止をいう。第三十条第一項第二号において同じ。)をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(次号において「著作物等」という。)の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。

二十一  権利管理情報 第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権又は第八十九条第一項から第四項までの権利(以下この号において「著作権等」という。)に関する情報であつて、イからハまでのいずれかに該当するもののうち、電磁的方法により著作物、実演、レコード又は放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録され、又は送信されるもの(著作物等の利用状況の把握、著作物等の利用の許諾に係る事務処理その他の著作権等の管理(電子計算機によるものに限る。)に用いられていないものを除く。)をいう。

 著作物等、著作権等を有する者その他政令で定める事項を特定する情報

 著作物等の利用を許諾する場合の利用方法及び条件に関する情報

 他の情報と照合することによりイ又はロに掲げる事項を特定することができることとなる情報

二十二  国内 この法律の施行地をいう。

二十三  国外 この法律の施行地外の地域をいう。

  この法律にいう「美術の著作物」には、美術工芸品を含むものとする。

  この法律にいう「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。

  この法律にいう「写真の著作物」には、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含むものとする。

  この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。

  この法律にいう「法人」には、法人格を有しない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含むものとする。

  この法律において、「上演」、「演奏」又は「口述」には、著作物の上演、演奏又は口述で録音され、又は録画されたものを再生すること(公衆送信又は上映に該当するものを除く。)及び著作物の上演、演奏又は口述を電気通信設備を用いて伝達すること(公衆送信に該当するものを除く。)を含むものとする。

  この法律にいう「貸与」には、いずれの名義又は方法をもつてするかを問わず、これと同様の使用の権原を取得させる行為を含むものとする。

  この法律において、第一項第七号の二、第八号、第九号の二、第九号の四、第九号の五若しくは第十三号から第十九号まで又は前二項に掲げる用語については、それぞれこれらを動詞の語幹として用いる場合を含むものとする。