ニューソート【心理精神学】前半/概要

 

マーチン・A・ラーソンはニューソートの主張を以下のように要約する[10]

  • 人間の心情と意識と生命は宇宙と直結している。
  • あらゆる病の本質は自己意識に対する無知が原因である。
  • 原罪は存在せず、万人が「キリスト」の力を内包している。
  • 全人類に喜びと成長と発展と幸福の機会が既に与えられている。
  • 人間は内なる「神」の一部を顕現すべく無限の発展を遂げつつある。
  • 正統的宗教哲学は数百年間過ちを犯し続けてきた。
  • 愛の力は神の意志の地上的表現である。

ニューソートの多くは説得を主な技法としたが、1893年シカゴの世界宗教会議でスワミ・ヴィヴェーカナンダが人気となってから、インドの心身訓練法もアメリカに伝わり、インド人ヨガ行者ラマチャラカを名乗り呼吸法の著作を刊行したウィリアム・ウォーカー・アトキンソン英語版) (1862 – 1932)のように、ニューソートの中には呼吸法を取り入れたものもあった[7]。アトキンソンの思想は、西洋エソテリシズム(秘教)の生命エネルギー概念をインド思想に読みこんだもので、分かりやすく実践的であり、当時ベストセラーとなっている。ラマチャラカ名義の著作は欧米では現在も読まれており、日本では大正期に著作が翻訳され、プラナ療法として霊術など民間療法に取り入れられた[7]

ニューソート団体の多くは、お互いに緩やかな結びつきの単立のキリスト教会の形を取ることが多い。その結果、海外ではニューソートの一派としても知られている日本の新宗教生長の家は、世界最大のニューソート団体ということになっている。[要検証 – ノート]

近年ではニューソート思想にニューエイジ[11]の概念を付与した形の自己啓発団体も欧米を中心に数々存在している。日本ではア・コース・イン・ミラクルズ(ACIM、奇跡講座)の分派、ニール・ドナルド・ウォルシュの一派、分派など判別が付かないほどに入り乱れている。各々の信奉者が集まり勉強会と称した読書会なども盛んである。

参考文献

脚注

  1. a b c 川上恒雄 著『「ビジネス書」と日本人』 PHP研究所、2012年
  2. ^ メスメリズムはフランツ・アントン・メスメルに始まる治療法で、催眠術のもとになった。
  3. ^ 「成功哲学」の元祖フィニアス・クインビー【前編】―スピリチュアル史解説[コラム] 伊泉龍一 マイナビニュース
  4. a b 宗教と科学について-ニューエイジ批判を通しての一考察- 渋沢光紀 日蓮宗 現代宗教研究所
  5. ^ 羽仁礼 著 『超常現象大事典』 成甲書房、2001年
  6. a b 漆原直行 著 『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』 マイナビ、2012年
  7. a b c d 吉永進一「民間精神療法書誌(明治・大正編)」、「心理主義時代における宗教と心理療法の内在的関係に関する宗教哲学的考察」研究代表者 岩田文昭 (大阪教育大学教育学部助教授)平成13〜平成15年度科学研究費補助金(基盤研究(B)(1))研究成果報告書 平成16年3月
  8. ^ 町山智浩 『アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲』〈集英社〉、2009年2月。
  9. ^ 速水健朗 『自分探しが止まらない』 ソフトバンククリエイティブ〈ソフトバンク新書 064〉、2008年2月。ISBN 978-4-7973-4499-8。
  10. ^ ラーソン(1990)
  11. ^ 「チャネリング」と呼ばれるシャーマン的な入神行為によってもたらされる「神からの啓示」を教義とする神秘主義思想。

関連項目

外部リンク


新宗教

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