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“白い虹”を見たら大地震、速攻で逃げろ!! 実用的地震予知の大本命は「日暈」と「ラドン濃度」にあり(最新報告)
2016.10.03
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イメージ画像:「Thinkstock」より
■大気中のラドン濃度にも注目
さて、白虹や日暈が地震の前兆現象である可能性についてはおわかりいただけただろう。しかし近年、最先端の研究において、より正確な地震予測につながる方法として期待されているのが、「大気中のラドン濃度」だ。地中から出るラドンガスが、地震の前には増大するということが判明しつつある。
このことが初めて認識されたのは、今から半世紀前となる1966年のことだ。4月26日にウズベク共和国(当時はソビエト連邦)の首都で起きたタシュケント地震(M5.0)では、同市の炭酸泉水に含まれるラドン濃度の値が地震前に急増し、地震の後に元に戻っていたのだ。このことが世界中で大きな話題となり、地下水の化学的研究が盛んになった。その後、日本でも精密なラドン測定器が開発され、現在に至るまで地震との関連性が研究され続けてきた経緯がある。
ラドンとは、天然に唯一存在する希ガスであり、ウランが存在すると常に発生しているが、通常は外部に出ることなく岩石内にとどまっている。だが、岩石に亀裂が入ることによって流出し、地下水とともに地表近くまで上昇すると考えられている。このため、地震前に地下で起きている岩石破壊こそが、地下水や大気中のラドン濃度上昇に関係している可能性が囁かれているのだ。
■ラドン濃度に異変→地震発生のケースもこんなに!
本記事でラドン濃度を紹介するのは、前述した先月26日の浦河沖地震(M5.5)の時、実際に大気中ラドン濃度に上昇が見られたからだ。『RadGraph – 大気中ラドン濃度グラフ集』というWebサイトでは、札幌・市川・広島などで観測されたラドン濃度のグラフをリアルタイムで表示することができる。筆者が主宰するサイト『地震前兆ラボ』の「リアルタイム地震前兆データ」のページでも、いくつかの観測点のグラフを掲載させていただいているが、浦河沖の地震の数日前から、札幌のデータが上昇しているのに注目していたところ、まさに地震が発生したのだ。下記がそのグラフで、浦河沖で地震が発生したのは、上昇していた値が下降に転じた直後だったことがわかるだろう。
ほかにも、ラドン濃度の測定データで、地震との関連を示す顕著な例をいくつか挙げてみよう。まず、神戸薬科大学が連続測定していたラドン濃度では、1995年の阪神・淡路大震災の直前にだけ明確に増大し、地震後に元の値に戻っていたという。そして、1978年1月14日の伊豆大島近海地震(M7.0)の前にも、ラドン濃度の計測で異常な値が測定されていた。しかしこの時は、通常ならば増大するはずのラドン濃度が減少したという。
筆者が観測した例としては、前述の「大気中ラドン濃度」サイトで、市川観測点のグラフが今年6月下旬に上昇し、ピークを過ぎたあとで下降へと転じ、その後に元の値に戻った(収束した)頃の6月30日、東京都23区でM3.4、最大震度3の地震が起きている。千葉県市川市は震源からおよそ30kmほどの近さなので、M3程度の小規模でも顕著な値が出たと思われる。筆者の経験でいうと、今回紹介した2件のラドン濃度グラフに見られるように、グラフの値が上昇してピークを過ぎ、下降中あるいは下降が終わった(収束した)直後に地震発生となることが多いようだ。
こうして見てきたように、白虹・日暈といった大気の光学現象を観測したり、ラドン濃度の値に注意を向けることによって、いまだメカニズムは判明せずとも自分なりの「地震予知」ができ、それが個人レベルの防災につながるのではないだろうか。ネット上では、地震の前に異臭がしたというような情報を目にすることもあるが、これなども大気に混じったラドンガスによる影響だったのかもしれない。今後のさらなる研究の進展に期待したいところだ。
参考:「Earthquake Track」、「CRI」、「緑のgoo」、ほか