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もしも宇宙人が地球に攻めてきたら? 宇宙オタクが“ガチ”シミュレーション!! 【前編】
2014.08.24
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――宇宙バカのエンジニアが、「宇宙の謎」と「もしもの世界」を遊泳する!
※イメージ画像:Thinkstockより
僕は、「宇宙人は必ずいる」と考えているのですが、仮にその宇宙人が攻めてきたと過程した場合、正面からケンカしても、どこのナニ星人が来たとしても勝ち目はありません。絶対に負けます。
なぜ言い切れるか?
まずは、宇宙の大きさについて考えるところから始めてみたいと思います。
■太陽系の大きさを縮小して考えよう!
お台場にあり、銀色の大きな球体がくっついた球場型展望台で有名なフジテレビ本社。見たことあるって人も多いと思います。
仮にその球体(直径32mとのこと)を太陽として、太陽系の大きさを考えてみましょう。ここでは仮に「フジテレビ・スケール」と、名付けます。
そうなると、地球は直径29cmのバスケットボールよりふたまわりほど大きい球に置き換えられます。そして、太陽と地球の距離はレインボーブリッジを挟んだ反対側、浜松町駅の距離(3.4km)となり、臨海副都心を覆うような円軌道を描いて飛んでいるわけです。こう考えると、意外に遠く、小さくありませんか?
また、木星は直径3.3mの球体となり、東京23区をすっぽりと覆える軌道(半径18km)を回ります。また太陽系で最も遠い惑星、海王星は直径1.1mの球体で、およそ半径100km、関東地方を覆える軌道を描きます。
太陽系の大きさは(太陽系の端はどこだと諸説ありますが)、今回は末端衝撃波面というところだと仮定すると、半径およそ300km。おおざっぱに西は名古屋や金沢、北は新潟や仙台、南は八丈島といった円になります。(東や南は海ばかりですね)
太陽系は、今回の縮図にすると日本よりずっと小さいワケです。
■宇宙の広さは規格外!?
この「フジテレビ・スケール」で言うと、太陽に最も近い恒星である「アルファ・ケンタウリ」や太陽系のご近所さんである「シリウス」、また地球と極めて似た特性を持つ惑星「グリーゼ832c」は、どれくらいの距離なのか、想像できるでしょうか?
アメリカか、はたまたブラジルあたりかと思いきや、なんと地球をあっという間にはみ出す距離にあります。
アルファ・ケンタウリで94万km、地球を23周半、これは月を1往復以上できる距離です。またシリウスは187万kmとなり、地球47周、月を2往復半できちゃいます。さらにグリーゼ832は、350万kmで、月を4往復半以上しなければならない距離なんです。
ちなみに、地球がバスケットボールよりふたまわり大きい球になる「フジテレビ・スケール」で考えると、月は野球ボールくらい直径8cm程度です。ふたつの距離は8.7m離れていることになりますが、それでも浜松町駅の構内で充分ことが足りる距離です。
もちろん、宇宙空間にはなにもありません。水素原子すらほとんどない、真空の世界が広がるのみです。
半径300kmの太陽系空間にある物質も、直径3.3mの木星をはじめ、3mの土星、1mちょっとの天王星と海王星、バスケットボール程度の地球や金星、ソフトボール程度の火星や水星、あとはクズのような無数の小惑星があるだけです。
いかに宇宙が広く、空虚な空間かがわかるかと思います。
さて、光の速度、「光速」はどれくらいかのスピードがあるのか知っていますか? とっても速いというイメージがあるだけではないでしょうか。
しかし「フジテレビ・スケール」の宇宙に光の速度をあてはめると、時速24km、ちょっと速い自転車くらいの速度となってしまうのです。
自転車でお台場から浜松町ならまだしも、関東地方、名古屋までを走り回り、ましてや地球を何十周もなんて考えられませんよね。
宇宙レベルで見ると、光速はとても遅く話にならないくらいの速度ということがよく分かるかと思います。
■「わが星の科学力はァァァは宇宙一ィィィ」!? 地球に来るための宇宙人の文明度
たとえば地球から16.1光年離れた惑星・グリーゼ832cに住んでいる“ヤツ”がいたとします(グリーゼ832cには今のところ文明は見つかっていませんが)。そこで、光速の半分のスピードを出せる宇宙船を建造し、地球に来るとすると仮定しましょう。
「フジテレビ・スケール」の地球で換算すると、自転車で32.2年かけて地球を87.5周もし、さらに目標である29cmの地球を発見し、到達できる。そんな技術力を持っているということになります。
人間が最も遠くに送り込んだ宇宙船ボイジャー1号。地球からの指令で観測を行い、データを地球に送るだけ(だけといっては失礼ですが)の宇宙船です。速度も光速には遠く及ばず、光速の1万8千分の1くらいです。「フジテレビ・スケール」では、浜松町を飛び立ち、37年かけて今は神戸あたりを飛んでいる計算です。しかも当然、武器なんて積んでいません。
■地球防衛軍はまったく戦えない!?
宇宙で戦うには、遠くに行ってある程度能動的(自立して)に行動できるマシンも必要です。これに当てはまるのは、日本の小惑星探査機・はやぶさがあります。はやぶさは着陸コマンドが送られると、小惑星イトカワの地形を判断して自分で着陸地点を決め、着陸から離陸までの動作を自立して行いました。
イトカワは地球近傍型と呼ばれ、公転軌道は地球と火星の間くらいの大きさです。「フジテレビ・スケール」で考えれば、はやぶさは臨海副都心の周辺でおつかいをしてきたレベルとかわりありません(目的地のイトカワは小麦粉1粒よりも小さいため、これはこれでとてもすごいことなのですが)。
また、人間が宇宙に出て戦おうとしても、宇宙に出たことがある人間は極わずか。地球の近くでドンパチするわけにもいかないため、自ずと月あたりが主戦場になるでしょう。ですが、月に直接赴いた過去の実績はアポロ計画だけ。さらに、1回に行けたのは2人(指令船を含めて3人)ですから、人員を送ることすらままなりません。戦うなんてもってのほか!!
人類の歴史でも、アメリカ大陸におけるインディアンとヨーロッパ人の戦いをはじめ、アフリカでもオーストラリアでも、遠くから来た“ヤツら”(攻める方)が勝つ歴史が圧倒的に多いです。
次回の原稿では攻めてくる宇宙人について書きます! 【後編はコチラ】
(文=南風崎ましつ)
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■以下計算メモ