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ビデオテープレコーダ: videotape recorder、VTR)とは映像信号(ビデオ信号)を記録するテープレコーダーである。アンペックス(AMPEX)社がアメリカ合衆国で商標として用いたことや家庭に普及したのはカセットテープ型だったことから、家庭用のビデオデッキなどの呼称としてはVCR[1]と表記されることもある。

 

目次

 

家庭用VTRの例

家庭用VTRの1機種、ソニーWV-DR7。標準/Mini DV&SVHS-ET 両対応据置式ダブルデッキ(1999年)

アナログ記録

アナログ記録(音声はデジタル記録)

  • S-VHS DA
  • 8ミリビデオ、Hi8(PCMオプション)

デジタル記録

放送用・業務用VTRの例

アナログ記録

デジタル記録

歴史

初期の機材とフォーマット

ビデオテープレコーダの歴史は全般にわたってビデオテープへの記録の歴史である。アンペックスが最初に商業的に成功したビデオテープレコーダである Ampex VRX-1000を1956年に発売した。これは 2" Quadruplex フォーマットで2インチ(5.1cm)幅のテープを使用しており[2]、価格は当時50,000ドルで導入は大規模のテレビ局や大きな製作会社に限られた[3]1963年フィリップスがビジネス及び家庭ユーザー向けにEL3400 1"ヘリカルスキャンレコーダを、ソニーが最初のオープンリール式VTRであるPV-100をビジネス・医療・航空業界・教育用に発売した[4]。当時の価格は12,000ドルで、対米向け主体。トランジスタ化により放送用の50分の1の容積にし、ヘッドは従来の5倍の1000時間に耐えるようにし、スチル(静止)機能を搭載した[5]。ソニーのCV-20001965年4月に価格19万8千円という当時としては驚異的な安さで売り出された世界最初の家庭向けとして発売されたビデオデッキで、重量15kg、消費電力は60wだった[6]。アンペックスとRCAは1965年、独自仕様のオープンリール式モノクロVTRを1,000ドル以下で家庭用市場に続いた。

交換式ビデオカセットの開発は続き消費者向けではオープンリール式を置き換えた。4トラックオーディオカートリッジが1962年コンパクトカセットインスタマチックフィルムカートリッジが1963年、8トラックが1965年、そして Super 8 が家庭用映画カートリッジとして1966年に発売された。

Sony Uマチック

詳細は「Uマチック」を参照

ソニーはビデオカセットの試作機を1969年10月に発表した。1970年3月に7社工業規格に認定され7社が生産した。結果的にUマチックシステムは1971年9月東京で販売され世界初の商業用ビデオカセットフォーマットである。カートリッジは後のVHSカセットより大きく似ており3/4インチ(1.9cm)幅のテープを使用して最大60分再生でき、後には90分に拡大された。ソニーは同様に新しいテープを使用した、VP-1100 ビデオカセットプレイヤーとVO-1700 ビデオカセットレコーダーを発売した。Uマチックは日本と北米において使いやすさによりたちまち他のビデオシステムを時代遅れにした。Uマチックはテレビのニュースや学校や商業において幅広く使用された。しかし値段はTV/VTR一式で1,395ドル(2005年の価値に換算して6,362ドル)[7]で家庭用としては高価すぎ[8]、個人での所有は芸能関係者や富裕層に限られた。

フィリップス VCR フォーマット

木製外装のN1500ビデオレコーダ

1970年、フィリップスは家庭用ビデオカセットフォーマットを開発した。紛らわしくもフィリップスはそのフォーマットを「VCR」と名づけた。そのため、後に最初のレコーダの機種番号である「N1500」と呼ばれている。

そのフォーマットはグルンディッヒレーベの支援を受けた。それは正方形のカートリッジと半インチ(1.3cm)幅のテープを使用して同軸リールにマウントした。記録時間は1時間だった。最初の機種はイギリスで1972年に販売され回転ダイヤル式のタイマーがつけられていた。600ポンド(2,087ドル、日本円では当時のレート(1ドル=308円)で約64万円)近い価格は高すぎて家庭用としては失敗した。デジタルタイマー式のN1502が1975年に続いた。1977年にはの同じテープで長時間再生可能な新型で互換性を持つ VCR-LP もしくはN1700が発売され、学校や大学向けに販売された。

Avco カートリビジョン

詳細は「カートリビジョン」を参照

Avco カートリビジョンシステムはテレビセットとVCRを組み合わせた装置でカートリッジ・テレビジョン Inc.が1,350ドルで販売した。最初のビデオカセットレコーダーで人気のある映画を既に録画されたテープを借りることができた。フィリップスのVCRフォーマットのように正方形のカートリビジョンカセットは2個の半インチ幅のテープが互いの上にマウントされていた。しかし録画の上限は114分だった。