2012.06.01
ヘルス・ライフ
知らないうちに、家がシロアリ、水漏れにも侵されている…
震度6で1~2割倒壊? 助成金600万円ですぐに耐震工事するか?
【この記事のキーワード】住宅, 地震
たまホームCMはキムタクにいくら積んだの
だろう...。(「Thinkstock」より)
世界13カ国の家と建築、国内500軒以上の家を取材し、暮らしに役立つ情報を発信している"暮らしの"ジャーナリスト・高橋洋子。築37年、ほぼ0円の中古住宅を新築同然にリノベーションした高橋氏が、地震で倒壊の危険が予想される木造家屋の救済策を探る。
家族を守る家が、大地震や自然災害で一転、命を脅かす凶器になることがある。特に古い木造住宅に住む人の中には、自宅の耐震性に不安を感じている人も多いだろう。
私自身、築37年、1973年に建てられた旧耐震(建築基準法が改正された81年以前)の木造家屋に住んでいる。ただし、耐震診断を受け、必要に応じた耐震補強工事を行っている。古い木造家屋も同様に適切な耐震補強工事をすれば、安心して住み続けることができる。それも最高600万円まで、工事費の半額を助成金でカバーすることもできる。この制度を使わない手はない。
その前に知っておきたいのが、今年4月、東京都防災会議が発表した首都直下型地震(東京湾北部地震)の被害想定だ。これによると、マグニチュード(M)7.3の東京湾北部地震(冬の午後6時、風速毎秒8メートルの場合)が発生した場合、死者9641人、全壊建物は11万6224棟に上り、焼失する建物は20万1249棟に及ぶ。2005年の前回試算時より死者は約1.5倍に増えたが、建物被害は減っている。その理由は、耐震性が低い81年以前の木造家屋の数が大幅に減少したことが挙げられる(131万8948棟→96万5584棟)。
同会議では、木造家屋の耐震性を、建築された年により「旧築年」「中築年」「新築年」の3区分に分け、倒壊の危険を予測している。それぞれの節目となっているのは61年(木造壁率の基準強化された年)、71年(RC造帯筋の基準強化された年)、81年(新耐震基準の導入された年)だ。
阪神大震災の後、00年にも耐震基準法が見直されている。ただ、同年以降の住宅は、より耐震性が高いかといえば、そうとも限らない。適正な工事が行われていなければ、耐震性が高いとはいえない。
ほかにも、目を疑うデータがある。住宅リフォーム業者などでつくる日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)が06年4月~11年11月に耐震診断を実施した全国の木造住宅のうち、なんと90.32%もが震度6強クラスの地震で倒壊の恐れがあることが判明した。東京都では診断対象1859棟のうち92.74%は、倒壊の恐れがあるという。木造家屋に住む人にとってみれば、もはや他人ごとではない。
自宅の耐震性に少しでも不安がある人は、一度専門家に見てもらうことをおすすめする。無料で耐震診断を受けられるため、各市区町村に問い合わせてほしい。
最高300万円! 工事費の半額が支給される!
市区町村ごとに耐震工事の助成金制度があるため、これも併せてチェックしておきたい。たとえば、中央区では耐震工事費用の半額が最高300万円まで支給される。新宿区では同200万円まで受け取ることができる(ただし、受給条件があるため、詳しくはそれぞれの自治体のホームページを参照)。これは、企業が多く税収の多い中央区や新宿区ならではのメリットだ。
ニュースサイトで読む: http://biz-journal.jp/2012/06/post_208.html
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ちなみに私が住む中野区で助成金が受けられるのは、「区登録の耐震改修施工者による耐震改修工事を行ったにもかかわらず、工事の竣工後10年以内に震度6強以下の地震で全損した場合」に限り、600万円を限度に助成される。私が購入した木造家屋はこれに該当しないため、助成金は受けられなかった。税収の違いなどによって、多少の差があるのは理解できるものの、やや不公平な気がする。自治体によって助成金の金額や仕組みが大きく違うのも、改善の余地があるのではないだろうか。
私の場合、耐震診断と耐震工事を「新築そっくりさん」というリフォーム業者に依頼した。まず、現地調査を行い、床下にもぐり込み、耐震性と併せてシロアリ被害や雨漏り、水漏れの被害など隅から隅まで調査する。そして、建物の形や壁の配置、筋交いと壁の割合などを数値化して、コンピューターによる耐震診断を行う。その結果をもとに、「弱い壁を耐震壁にする」「壁を追加する」「壁の配置バランスを良くする」「屋根を軽くする」といった方法で耐震補強を行う。
耐震工事に加え、外装や内装も新築同然にリノベーション(大規模改修工事)を行った。そして、その約半年後に、東日本大震災で震度5強を経験することになった。家は揺れたが、大きな被害はなくて済んだ。木造家屋に住む人は、大地震に備えて可能な限り早めに、助成金を活用しつつ、安くかつ確実に耐震補強工事をしておくといい。
(文=高橋洋子/暮らしのジャーナリスト)
ニュースサイトで読む: http://biz-journal.jp/2012/06/post_208_2.html
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