>  >  > 明日にも「破局噴火=日本終了」するカルデラ6選

2017.01.17

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イメージ画像:「Thinkstock」より

 新年早々、縁起でもないと思われるかもしれないが、新しい年が始まったばかりの今だからこそ、注意喚起の意味も込めて、かつて九州の縄文文化を壊滅させた「巨大カルデラ噴火」または「破局噴火」の話をしなければならない。これが現代の日本で起きれば、最悪で1億人の死者が出ると想定される……つまり「日本の終わり」が訪れるかもしれないのだ。今後の日本で「巨大カルデラ噴火」や「破局噴火」が起きるとすれば、それは「いつ」「どこ」なのか、考察してみることにしたい。


■6700年に一度の破局噴火、すでに7300年が過ぎている!

 火山学において「プリニー式噴火」といえば、多量の軽石や火山灰を放出する爆発的な火山噴火のことだ。その代表例としては、西暦79年にイタリアのヴェスヴィオ山が噴火して、古代都市ポンペイが壊滅したケースがある。これほど規模が大きい場合は、「ウルトラプリニー式噴火」、あるいはカルデラの形成を伴うことから「カルデラ噴火」とも呼ばれる。さらに、地球環境の一部に壊滅的被害をもたらす場合は「巨大カルデラ噴火」または「破局噴火」と呼ばれる。ちなみに破局噴火を引き起こす火山を、英語では「スーパーヴォルケーノ」となる。

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7300年前の幸屋火砕流と鬼界アカホヤ火山灰 画像は「Wikipedia」より引用

 群馬大学教育学部の早川由紀夫教授(地質学)は、地震と同様に、火山噴火もマグニチュード(M)で表すことを提唱しており、これを「噴火マグニチュード」と呼んでいる。氏によれば、破局噴火をM6.5(噴出量300億トン)以上の噴火と仮定すると、日本では過去12万年の間に18回起きているという(『月刊地球』、2003年11月号)。つまり、約6700年に一度は破局噴火が起きていた計算になる。日本で最後に起きた破局噴火は、7300年前に鹿児島県南方沖で海底火山(鬼界カルデラ)が巨大噴火したケースであり、前述のように、この噴火によって九州で栄えていた縄文文化が壊滅した。6700年に一度は起きる破局噴火が、過去7300年間にわたり起きていないということは、次の破局噴火が「いつ起きてもおかしくない」状況であるということだ。これはまったく誇張ではなく、実際に東京大学の藤井敏嗣名誉教授など複数の火山学者が、同様の警告を発している。


■噴火リスクが高い「危険すぎるカルデラ」はどこ?

 では、次の破局噴火は「いつ」「どこで」起きるのだろうか? そのような質問に対して明確に回答できる火山学者はいないだろう。しかし、過去の日本を襲った破局噴火を調べることによって、ある程度の予測を行うことは可能と思われる。

 まず、過去に破局噴火を起こした火山は、日本では九州と北海道に集中している。過去12万年の間に起きた10回(「破局噴火」の定義は科学者によって異なるため、回数については必ずしも一様ではない)のうち6回が九州、4回が北海道だ。つまり、破局噴火の数からいえば九州がもっとも可能性が高いと、ある程度の見当をつけることはできるだろう。以降に、東京大学地震研究所の前野深(ふかし)助教(火山地質学)が、噴火を繰り返す可能性が高く、リスクが大きいものとして挙げているカルデラのいくつかを紹介する。(「産経ニュース」、2014年10月22日

 

 

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9万~8万5千年前の阿蘇4火砕流・火山灰 画像は「Wikipedia」より引用

・ 阿蘇山/九州

 九州に、過去判明しているだけでも4回の破局噴火を起こした火山がある。それは阿蘇山だ。約9万年前に起きた「阿蘇4」と呼ばれる噴火は日本最大級で、これによって阿蘇山の山体が崩壊した。この噴火で火砕流が九州全域に達したが、もしも今後同等の破局噴火が起きれば、九州にある玄海原発と川内原発は壊滅する恐れがある。そうなれば、「日本全滅」につながることは十分に考えられるだろう。なお阿蘇山では、カルデラ噴火とまではいえない小規模の噴火がよく起きており、熊本地震直後の2016年4月16日にも小規模噴火を起こしている。

 

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姶良カルデラ 画像は「Wikipedia」より引用

 

・ 姶良(あいら)カルデラ/九州

 姶良(あいら)カルデラは、鹿児島湾北部にある直径20kmの窪地を構成するカルデラだ。約2万9000年前の噴火によって形成されたものとされている。1940年代に提唱された説によって、現在では単一カルデラではなく、大崎カルデラ、若尊カルデラ、浮津崎カルデラなど複数のカルデラが複合したものと考えられている。約2万6千年前には、このエリアで桜島が誕生することになる大噴火が起きた。現在でも、海底火山である若尊カルデラが活発な活動を見せている。

 

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阿多南部カルデラと指宿火山群 画像は「Wikipedia」より引用

 

・ 阿多(あた)カルデラ/九州

 鹿児島湾の湾口にある阿多カルデラには、海中に沈む阿多北部カルデラと、開聞岳を含み一部は陸上に出ている阿多南部カルデラの2つがある。阿多北部カルデラは約11万年前に破局噴火を起こした。

 

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支笏カルデラの地形図 画像は「Wikipedia」より引用

 

・ 支笏(しこつ)カルデラ/北海道

 北海道に移ると、千歳市にある支笏カルデラは、約4万年前の大噴火で形成されたもので、現在は水が溜まったカルデラ湖(支笏湖)となっている。この湖は、日本最北の不凍湖とされるが、これは温かい水が湖の深部に残存しており、水面を温めるためとされている。

 

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洞爺カルデラの地形図 画像は「Wikipedia」より引用

 

・ 洞爺(とうや)カルデラ/北海道

 洞爺カルデラは、北海道南部・伊達市の近くにあるカルデラ湖(洞爺湖)となっているが、これは約11万年前の破局噴火で形成されたものだ。この時の噴出物は、北海道全域から東北地方にまで達したという。さらに、約2万年前から洞爺湖南岸では噴火が繰り返され、その結果として有珠山(うすざん)が誕生した。さらにその付近の平地では、1943年より火山活動が始まり、2年ほどの間に繰り返された噴火によって標高400m近い昭和新山が形成された。当時は第2次世界大戦の真っ最中であり、世間の動揺を抑えるために噴火の事実は伏せられた。洞爺カルデラは、このような活発な火山活動のため、今後も破局噴火を起こす可能性がある有力候補とされているのだ。

 

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屈斜路カルデラの地形図 画像は「Wikipedia」より引用

 

・ 屈斜路(くっしゃろ)カルデラ/北海道

 北海道東部の屈斜路カルデラは北海道最大のカルデラで、その内側には約3万年前のカルデラ噴火によって形成された日本最大のカルデラ湖である屈斜路湖がある。約12万年前には過去最大級の噴火が起き、北海道のほぼ全域を火山灰が覆った。約4万年前にもカルデラ噴火が起きており、これも再び噴火する可能性がある要注意カルデラだ。