【ガチ】意識の発生源が特定される! 脳にグルッと絡み付く「いばらの王冠」とは?(最新研究)
2017.03.03
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画像は「Thinkstock」より引用
ついに「意識の発生源」が特定されたことが最新の研究で明らかになった! 意識を巡る長年の論争にこれで終止符か!? 一方、気鋭の哲学者は「意識は脳にはない」と真っ向から反論。有名科学雑誌「Nature」のオンライン版(2月24日)を参考に、詳細をお伝えする。
■意識の発生源が特定された!
脳内には植物のツタのようにニューロン(神経細胞)が縦横無尽に張り巡らされ、我々の認知能力や思考を司っていると考えられてきたが、意識そのものは発見されていなかった。しかし今回、米科学者らが新しいデジタル技術を用いて、マウスのニューロン網を可視化したところ、脳を取り巻くように伸びる異常に長いニューロンの存在が判明。そして、このニューロンこそ「意識の源」であるというのだ!
驚きの研究成果を報告したのは、米「アレン脳科学研究所」のクリストフ・コッホ教授率いる神経生物学者の研究チーム。「緑色蛍光タンパク質」でマウスのニューロンを染色し、鮮明なニューラルネットワーク(神経回路網)の3Dイメージを再構築したところ、ニューロン細胞が集まる灰白質「前障」に位置する3つの脳細胞が意識の発生源である可能性が極めて高いことが分かったという。
画像は「Nature」より引用
3つのニューロンのうち1つは“いばらの王冠”のように脳全体を取り巻き、視覚情報など含め、脳のほとんど全ての領域と接触していたそうだ。そのため、コッホ教授は「前障」が脳全体の入出力を統合し、意識を生み出していると考えているという。
前障と意識の具体的な関係は今後の研究課題だというが、意識の解明に行き詰まっていた脳科学界にとって大きな希望となる発見であることは間違いないだろう。
哲学者
アルヴァ・ノエ教授「Big Think」より引用
しかし一方、脳科学の方法論そのものに反対する学者も存在する。哲学者アルヴァ・ノエ米カリフォルニア大学バークレー校教授もその1人だ。教授は「あなたは脳ではない(You are not your brain)」と、全く正反対の意見を主張している。一体どういうことだろうか?
世界中の著名科学者や思想家の生の言葉を届けるサイト「Big Think」のインタビューでノエ教授は、コッホ教授らに見られる「脳に意識がある」という思い込みは、“ダンスの動き”や“貨幣の価値”を脳細胞に求めたり、自動車の走りをエンジンのみに求めたりするのと同程度におかしなことだという。
ノエ教授によると、意識は身体全て、そして外の世界や環境を含んだ全体的な現象であり、ただ脳の中で完結した現象ではないとのことだ。
どちらの主張にも一理あるように思われるが、読者はどう思われただろうか? いずれにしろ、今回の発見を機に意識を巡る論争が今まで以上に白熱しそうである。意識の全貌が解明される日を信じて、今後の研究に期待しよう。
(編集部)