2015.10.08

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 大規模自然災害、彗星や小惑星の激突、あるいは世界最終核戦争……。地球を崩壊に導く根本原因はいくつか考えられるが、今年73歳になる「車椅子の物理学者」ことスティーヴン・ホーキング博士が今回警告を発しているのは、なんとエイリアンによる地球の制圧と植民地化の危険性だ。


■エイリアンは辿り着いた星を支配し植民地化することを目論んでいる

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画像は「El Pais」より

 アフリカ北部の大西洋上に浮かぶ美しいビーチに囲まれた世界有数のリゾート地・カナリア諸島テネリフェ島を訪れたスティーヴン・ホーキング博士はスペイン紙「El Pais」のインタビューを受けている。

 そもそもホーキング博士がテネリフェ島に招かれたのは、世界的なサイエンス・フェスティバル「Starmus」での講演のためだったが、宿泊を伴う滞在中、ホーキング博士としては珍しく複数のメディアの取材に応じたのだ。

 インタビューでは最近、何かとホーキング博士が公の前に姿を現す機会が多いことに触れられると、「科学について公に伝える義務を感じているからです」と返答し、メディアへの登場が増えたのはあくまでも博士の意図であることを述べている。そうまでして社会一般に伝えたいこととは何なのだろうか。

「人類のサバイバルの鍵を握るのは、我々が宇宙のどこかに新しい居住地を見つけられるかどうかにかかっています。なぜなら大規模災害が地球を滅すリスクが高まっているからです。だから私は宇宙開発の重要性について皆さんの意識を高めたいと思っているのです」(ホーキング博士)

 つまりホーキング博士は自身が公の前で発言する機会を増やすことで、もっと人々に科学技術や宇宙に対する関心を持ってもらいたいと考えているのだ。それは今後の人類のサバイバルのためにも必要なことなのだ。

 そして話はホーキング博士がここ数年熱心に取り組んでいる地球外生命体探求の取り組みに及んだところで、博士からは意外な発言が飛び出したのだ。

「もしエイリアンが我々を訪問したなら、ネイティブアメリカンにとって望ましいことではなかったコロンブスのアメリカ大陸発見と同じ結果を招くでしょう。そのような先進文明を持つエイリアンはおそらく宇宙をさすらっていて、辿り着いた星ならどこでも支配し植民地化することを目論んでいます。(これに備えるためにも)私の数学的思考では、エイリアンがどんな存在であるのかを追求することは現実の課題であり、まったくもって理性的な行為なのです」(ホーキング博士)

 なんと、ホーキング博士から地球が宇宙人に侵略されてしまう可能性が指摘されたのだ。そしてホーキング博士の「地球外生命体とコンタクトをとるべきではない」という持論が改めて念を押される格好となった。つまり先にこちらが知的生命体を見つけることが最優先で、こちらからメッセージを発してはならないということだ。天才理論物理学者のホーキング博士から、エイリアンの脅威が示唆されたことは確かに重く受け止めるべきかもしれない。

 

 

■「障がい者であるおかげで研究や思考実験に打ち込めた」

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画像は「El Pais」より

 インタビューでは、ホーキング博士はこの他にもいくつか興味深い発言を行なっている。「優秀な科学者であろうとし、同時に神を信じることについてどう思いますか?」という問いにも積極的に回答している。

「私は“神”という言葉を、アインシュタインがそうであったようにこの世を支配する“自然法則”という意味で使っています。科学的な物理法則は宇宙の起源をじゅうぶんに説明し得ます。(宗教的な)神を持ち出すまでもないのです」(ホーキング博士)

 一見、宗教を否定しているような発言にもとられかねないが、あくまでも理論物理学者として宇宙の成り立ちを考える際には宗教的な神は考慮に入れていないということだろう。また最近発言が増えてきているブラックホールについての見解や、人工知能(AI)の危険性についても改めて言及している。

「ブラックホールに吸い込まれるのは、カヌーに乗ってナイアガラの滝に落ちることに似ています。必死でオールを漕げば抜け出せるのです。ブラックホールはいわば究極の“リサイクル・マシーン”で、飲み込んだものを再構成してもう一度同じものを出現させます」(ホーキング博士)

「今後100年間のどこかの時点でAIは人間の能力を超えていきます。そしてこの人工知能の目的は我々人間を“余所者”にすることだと気づく必要があるのです」(ホーキング博士)

 インタビューはさらに普段なかなか訊く機会のない種類の話にも及んでいる。博士と同じように車椅子を必要とする人々へのメッセージも求められたのだ。

「身体の障がいがあまりマイナスにならない理論物理学という学問に身を捧げてこられたこと、著書がベストセラーになったことなど、私はラッキーでした。障がいを持つ人々に対するメッセージは、自分の障がいがマイナスにならないことに集中して、それでも妨げられることには決して悔やまないでくださいということです…(中略)…実際、私は障がいを持っていることで、ある意味助けられています。教鞭を執ったり退屈な会議に出席することを義務づけられて無駄な時間を浪費することなく、研究や思考実験に打ち込めるんですから」(ホーキング博士)

 これはまさに逆転の発想というべきだろうか。障がい者であることで、身の回りのことを考えなくて済む(考えても仕方がない)という“利点”を最大限に活かして研究に身を捧げるとは、さすがは希代の天才物理学者である。引き続き今後も時折メディアに登場すると思われるホーキング博士だが、次にどんな示唆に富んだ発言を行なってくれるのかにも注目したい。
(文=仲田しんじ)

「“La raza humana tendra que salir de la Tierra si quiere sobrevivir”」 動画は「El Pais」より

参考:「Mirror」、「El Pais」ほか