被害者が後を絶たない。海外の典型的な詐欺10の手口

2014年08月18日 ι コメント(42) ι 知る ι 料理・健康・暮らし ι #

 

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 日本においても、警察、銀行などが一丸となってその対策に当たっている「振り込め詐欺」は未だに被害者が出ている。詐欺師は人間心理を巧妙に利用し、心に揺さぶりをかけて、相手が理性的な判断を行えない状態にしてしまうので、予備知識があってもうっかり騙されてしまうという。

 海外でも同様、典型的で周知の詐欺であるにもかかわらず、善良な市民の多くが未だに騙されている手口がある。ここでは海外におけるいまだ消えることのない典型的な詐欺10の手口を見ていくことにしよう。

 

10.スイカ・ドロップ

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 善良な人なら、もし街中を走っていて、あやまって人にぶつかってしまい、その人が持っていた物が落ちて壊れてしまったらそれを弁償したいと思うだろう。このように他人の物を自身の過失により壊してしまったら、その埋め合わせをしたいと思うのが人間心理である。

 それを逆手に取った詐欺が「スイカ・ドロップ」である。安い物をわざと相手に壊させ、相手に高い弁償金を請求するのだ。この名前はかつて日本人を対象とした西洋の詐欺手法から来ている。

 当時日本ではスイカはとても高価な物で、簡単に手の届く代物ではなかった。しかし、西洋の国々ではスイカは安価で手に入る為、詐欺に使用されることが多かったのだ。その手法は、日本人観光客に声をかけ、スイカを何らかの方法で観光客に割らせる。それによって生じた弁償金を「日本の価値観」で払わせるのだ。

 現代では安いガラスを詐欺師が持ち歩き、注意力散漫な観光客にわざとぶつかり高額な弁償金を請求する手口へと発展している。その安いガラス製品が高い物だと信じ込ませる為の偽のレシート等を見せつけてくる場合もある。

 

9.ピジョン・ドロップ

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 ピジョン・ドロップ詐欺は、目の前にある持ち主のいない大金を、合法的に入手したい気持ちにさせることで成立する詐欺である。

 まず詐欺師があなたの見ている前で大金を拾うところからはじまる。あなたがその場にいるのを知っている詐欺師は「山分けにしよう。」ともちかけてくる。

 大金を目にして心が揺らいだあなたに、詐欺師は言葉巧みに「合法的に手に入れる為、弁護士に相談しよう。」と言いだす。打ち解けてきたところで知り合いに良い弁護士がいるからと仲間に連絡を取る。弁護士になりきった仲間がやってきて、「とりあえずこのお金は持ち主が現れる可能性があるので、こちらで預かっておく」と言う。

 そこで詐欺師が弁護料金について仲間と話し、「どちらにしろ、大金を山分けするのだから弁護料は折半しよう」とあなたに提案し、あなたにその料金を現金で支払わせる(ない場合は銀行で降ろさせる)。料金をもらった弁護士を偽った仲間は最初の詐欺師と共に「また後で連絡する。」と言ってその場を去っていく。

 

8.リングの報酬

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 この手法は洋画「ゾンビランド」にも登場している。美しい女性があなたに「婚約指輪をなくしてしまったので探すのを手伝ってほしい」と声をかけてくる。(もちろんその指輪は安物である)

 ある程度共に探した後に、女性は「見つけたら連絡をしてほしい、約束ね」と連絡先を残して去っていく。もしあなたに「見つけたら相応の報酬が貰えるだろう」という下心があったら要注意だ。懸命に指輪を探すあなたのもとへ、「指輪を見つけた」と見知らぬ人がやってくる。この人物は女性とグルなのだが、あなたにそれを知る術はない。

 あなたは女性と約束し、報酬を望んでいる手前、指輪の存在を見過ごすわけにはいかなくなる。指輪を拾った見知らぬ人はあなたに対して「指輪が欲しければお金と交換しよう」と提案してくる。大なり小なり、お金を渡してしまったあなたは詐欺に引っかかったのだ。

 

7.ロト・チケット(宝くじ)

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 ロト・チケット詐欺は、当たり番号が書いてある偽の新聞紙を被害者に見せつけ「この通りロト・チケットが当たったのだが、買い取ってくれないか」と提案してくるものだ。

 詐欺師はあなたに「ロト・チケットが当たったが、自分は不法入国者で賞金を受け取れない。私が持っていても仕方ないので、あなたが代わりに買ってはくれないか?勿論当選した金額よりも安く売るから!」と持ち掛けてくる。口車に乗せられ偽のロト・チケットを買い取ってしまったら後の祭りだ。それがただの紙切れだと気付く頃には詐欺師の姿は無い。

 

6.スペインの囚人

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 「スペインの囚人」と言われるこの古典的な詐欺は16世紀頃に考案され、多くの人が騙された。詐欺師は被害者に対して「私は大富豪の代理人です。彼は今、無実の罪でスペインのある牢獄に収監されています。彼が大富豪である事の証明、そして無実を晴らす為にお金を貸してほしい。彼の無実が証明されたあかつきに彼はあなたに巨万の富を授けるだろう」と持ち掛けるのだ。

 それを鵜呑みにした被害者はまず少しばかりのお金を送る。そしてまたしても「お金が足りない」という催促の連絡が来る。次第に請求される金額は増え、あなたの貯金が空になる頃に連絡が途絶えるのだ。

 現在この手法は形を変え、「ナイジェリアの王子」という別名で現存している。このバージョンでは詐欺師はアフリカ貴族を詐称し、「ある倉庫に隠されている家宝を奪取する為にお金が必要なのだ」と被害者に儲け話を持ち掛けてくる。こんな古典的な詐欺に引っかかる人が居る方が驚きである。

 

5.金融関係者成り済まし詐欺

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 この詐欺手法は名前の通り、詐欺師が金融関係職員や警察官等に成り済まし行う詐欺手法である。被害者は金融関係者に成り済ました詐欺師により「あなたのカードが犯罪に使用されています」「あなたの口座に銀行職員が偽札を流した可能性があるので調査に伺いました」などと言い、被害者に銀行から金を抜き出させる。

 その紙幣を詐欺師が預かり「では審査させていただくので暫くお待ちください」と姿を消すか、検査している最中に偽札とすり替える。というかよっぽどのパニックにならない限りは、これが詐欺であることがわかるはずだ。誰のカードでお金を引き出しても、ATMにストックされている紙幣は順番ででてくるのだから。

 

4.取り込み詐欺

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 取り込み詐欺とは「詐欺師が商品を被害者から代金後払いで受け取り、代金を支払わない」というものだ。映画「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」の題材となった実在の詐欺師「フランク・アバグネイル」は60年代、約20億円もの大金をこの手法で手に入れた。ターゲットとされたのは職を探している人、オークションサイトを利用している人、賃貸物件を売ろうとしている人、車を売ろうとしている人など多岐に渡る。

 

3.偽の従業員

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 偽のガス会社、水道会社、電機会社の職員があなたの家にやってきて、何らかの「故障」が起きている可能性があると偽る。検査の為と称し、あなたを外に連れ出したり、家のある一か所に留まらせ、その間に家の中を物色し金品を奪っていくという詐欺だ。

 予防法としては、その会社に直接電話をかけて事実関係の確認を行うと良いだろう。もし電話を掛ける事に反発してきた場合はただちにドアに鍵をかけて警察を呼ぼう。

 

2.マスタード・ディップ

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 詐欺師は紳士を装い、あなたに対して「コートに何かついていますよ」と忠告してくれる。その偽紳士は、あなたの服についた汚れをやさしくふき取ってくれる。なかなか落ちないそぶりを見せ自然にあなたのコートを脱がせるだろう。気付いた時には財布やポケットの中に入っていた貴重品が無くなっているという寸法だ。

 マスタード・ディップというこの手法は、相手の肩に意図的にマスタードを付け、「コートに何かついていますよ」という忠告をより現実的な物にする事から名前がつけられた。マスタード・ディップの一番重要な要素は「混乱」だ。
被害者であるあなたは、とっさにこう思う事だろう。「あれ?一体どこでマスタードなんかが付いたんだろう?」と。
混乱しているあなたには隙ができ、その瞬間に加害者の意のままにされてしまうのだ。

 

1.当たり屋

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 昔の当たり屋は走行中の車に自ら当たりに行き、交通事故にみせかけて治療費等を請求するという物が大半だった。しかし最近の当たり屋は少し変わってきている。

 最近の当たり屋は自ら車に当たりに行った後、治療費をせびらない。その代わりに「(コンピューター・iPad等の)高価な物が今の衝突で壊れてしまった」と主張するのだ。この時に出す電子機器は前もって壊されているわけだが、事故を起こして「骨が折れてしまった」と主張するよりも騙される人は多いという。

 更にこの手法を強固なものにする為に第三者が登場する。当たり屋の仲間である第三者は交通事故が起きた事、高価な物が衝突で壊れたことを目撃したと主張するだろう。そうなってしまっては、あなたに逃げ出す術はない。

 唯一出来る事と言えば、警察や救急車を呼び、事実確認を行う事を詐欺師に対して主張するしかないだろう。ドライブレコーダーを車に装着することで現場検証も容易となるはずだ。

via:listverse・原文翻訳:riki7119

 社会心理学者によると、「自分は大丈夫」と思っている自信過剰こそがダマされる原因につながるという。欺師は経験則をもとに築き上げた洗練された心理誘導のパターンを持つ、ダマしのプロ。そのダマしのトリックは心理学の原理・法則にも合致するもので、なかなか見破れないものだという。