常識覆す「第五の力」? 未知の素粒子「プロトフォビックXボソン」発見でパラレルユニバースの扉開く
2017.01.13
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■素粒子「プロトフォビックXボゾン」とは
そもそもこの第5の力の存在の可能性の発見は、ハンガリー科学アカデミーでアッティラ・クラスナホルカイ博士らが行っていた実験に端を発する。博士らは、ダークマターを示す可能性のあるダークフォトン(暗黒光子)の発見を目指して実験を行っていた際に、偶然リチウムが崩壊し、ベリリウムに変容していく過程で、ある一定の条件下では通常の電子よりも約30倍の重さを持つ粒子が放出されていることを発見した。つまり、未知の素粒子の発見であった。
ひとまずクラスナホルカイ博士らは、この新しい素粒子がダークフォトンではないとしたものの、この素粒子がいったい何であるかについての確証を得ることはできなかった。当初このハンガリー科学アカデミーによる発表は、物理界においては半信半疑の域を出ない論文とされていたが、フェン博士などによる検証実験の結果、同じ現象が確認されこの電子よりも約30倍重い素粒子の存在が明らかになったわけである。
フェン博士によって「プロトフォビックXボソン」と名付けられたこの素粒子は、残念ながら、やはりダークフォトンではなかったが、素粒子物理学の壁を破る第5の力の存在を示す可能性を秘めているとのことである。
大型ハドロン衝突型加速器 画像は「Wikimedia Commons」より
この第5の力の存在が証明されれば、現在行き詰まっている宇宙物理や素粒子物理を一気に解決する鍵に成り得るとされており、現在、ジュネーブにあるLHCでは検証実験が繰り返されている。
(文=高夏五道)
参考:「Express」、ほか