【ヘブ則】人間の脳はAI超えが可能だった!? 数世代後には「スーパーヒューマン」出現か?
2017.03.10
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近い将来、AIが「技術的特異点(シンギュラリティ)」を迎え、人類を知的に超える恐れがあるとされている。この事態に対し多くの科学者は人類の危機を警告しているが、ここにきて、人類も数世代後には現人類を超えた「スーパーヒューマン」に進化するかもしれないという驚きのニュースが飛び込んできた! 英国営放送「BBC」(3月2日付)が報じている。
■脳を支配する「ヘブ則」が超人を生み出す
我々の脳は「ヘブ則(Hebbian networks)」と呼ばれる独自の法則に従うことで、強力なショートカットを超高速で形成し、思考力とデータ処理が格段に向上するといわれている。具体的には、「ニューロンAの発火がニューロンBを発火させると2つのニューロンの結合が強まる」現象のことをいう。(高橋 直矢、池谷 裕二、松木 則夫 ヘブ則 脳科学辞典 https://bsd.neuroinf.jp/wiki/ヘブ則 2012)
画像は「Express」より引用
脳科学ではさして目新しい理論ではないが、英サウサンプトン大学のコンピュータ科学者リチャード・ワトソン教授によると、「遺伝子」もヘブ則に従い、まるで人工知能や脳内のニューラルネットワークのように学習し、遺伝子ネットワークを形成するというのだ。さらに、この遺伝子ネットワークは次世代に受け継がれていくという。
チャールズ・ダーウィンが提唱した進化論の基本原理「自然淘汰説」は、望ましくない遺伝子が排除されることだとされる。しかし、ワトソン教授はむしろ遺伝子が学習し、どの遺伝子ネットワークを強化し、弱体化させるか自ら決定していると考えているそうだ。
「有機体が遺伝子ネットワークを持ち、それが次の世代に受け継がれるという事実、このことは昔から知られていますが、斬新なのは遺伝子ネットワークがニューラルネットワークのように学習するという点です」
画像は「BBC」より引用
このプロセスは脳のニューロン結合を模した「人工ニューラルネットワーク」とも似ているという。人工ニューラルネットワークはAIのディープラーニングの基礎的なアルゴリズムとなっており、顔認識やサッカーチームのパフォーマンスの分析まで幅広い種類の課題を自己学習し解決することができる。
このアルゴリズムの基本的な仕組みは簡単だ。たとえば “こんにちは”という言葉をインプットしたら、それを子供のように繰り返し学習することで身につけていく。この繰り返しにより、潜在的だったニューロン結合が徐々に強度を強め、最終的には全てのネットワークが望み通りの結果を得るようになる。
画像は「Express」より引用
生物種がどの遺伝子ネットワークが上手く機能するか学びながら進化するのも同じ原理――ヘブ則だというわけだ。ワトソン教授によると、「ヘブの学習則(Hebbian learning)」の利点は、ネットワークがモジュール的な機能を発展させることだという。ある一群の遺伝子ネットワークが、その遺伝子を持つ後ろ足、目、指などを発現するか決定するため、それに関連する環境適応能力もバラバラではなく一緒に遺伝することが可能になるということだ。
「遺伝子の結合が通常の人よりも少し強い人はより好ましいということになります」(ワトソン教授)
「つまり、そういった人々は自然淘汰的に好ましいのです。このことは、進化の過程で、彼らが持つ遺伝子結合が増加することを意味します」(同)
生物の進化もAIと同じ法則に則っているならば、人間も徐々に人を超えた存在に近づいているということだろう。AIと人間の進化ではウサギとカメほどの差はあるものの、我々もよく知るようにカメはウサギを追い抜いたのだった。いま結論を急ぐ必要はないだろう。
(編集部)
参考:「BBC」、「Express」、「Disclose.tv」、ほか