2017.01.31

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2. パラレルワールドの解明

ヒュー・エヴェレット(1930~1982) 画像は「Wikipedia」より

 2012年にノーベル物理学賞を受賞したセルジュ・アロシュ博士とデービッド・ワインランド博士は、1つの電子が2つの別の場所に同時に存在できることを実験で証明している。

シュレーディンガーの猫」は、生と死という2つの状態が同時に共存している状態なのだが、これに加えて量子論的には、1つの物体が同時に別の場所に存在することもできるのだ。

 この現象は、物理学者ヒュー・エヴェレット(1930~1982)の「多世界解釈」につながるもので、この世には無数のパラレルワールドが存在していることを暗示し、しかも観測ができる可能性も浮上してくる。近い将来、パラレルワールドのメカニズムが解明され、その一端が垣間見られるかもしれないとすれば、夢が広がるばかりだ。

 

 

3. 「引き寄せの法則」の解明

 量子論の世界では、すべてのものは「波動」であり「粒子」でもある。量子は波動でもあり粒子でもあるという二重性を持っているわけだが、波動としてふるまうのか、粒子としてふるまうのかはケースバイケースだ。

 有名な「二重スリット実験」によって、電子は“観察”によってその“ふるまい”を変えることが指摘されている。観察されていない状況下において、電子は「波動」としてのふるまいを見せるのだが、人間が“観察”することで「粒子」としてふるまうことが確認されているのだ。これは何を意味するのか?

 この現象は、観察しようとする人間の意識が現実の世界に影響を及ぼしているということになる。つまり、意識のあり方次第で現実が変化するということであり、意識をポジティブに保つことによって望ましい出来事を引き起こすという「引き寄せの法則」を理論的にサポートするものにもなる。量子論の研究で、この引き寄せの法則の詳細なメカニズムが解明されれば、人々の幸福にとって計り知れない貢献をもたらすものになるだろう。

 

 

タイムトラベルの実現

 2014年にオーストラリア・クイーンズランド大学の研究チームは、光子をタイムトラベルさせるシミュレーション実験に成功している。実は量子論では、一般的に認識している時間の観念についても考え直すことが求められている。つまり、時間は必ずしも一方通行というわけではないのだ。

 また昨年には、英ヘリオット・ワット大学の研究チームが、実験室で光速を超える光を扱って時間を逆再生する“タイムリバース”現象を発生させている。これらのことは、つまり我々の世界認識、そして五感を使った現実の把握というものには、本質を理解する上で明らかに限界があるということを示している。

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画像は「Wikimedia Commons」より

 ともあれ、今後は徐々に我々一般人の目にも明らかになってくる驚愕の量子論の世界が、学問のみならずどのように社会と暮らしにインパクトをもたらすのか引き続き注目したい。
(文=仲田しんじ


参考:「Collective Evolution」、ほか