プラシーボ効果についての10のクレイジーな事実
2013年03月10日 ι コメント(83) ι 知る ι 料理・健康・暮らし ι #
プラシーボ効果(プラセボ)とは、薬効成分を含まないプラセボ(偽薬)を薬だと偽って投与された場合、患者の病状が良好に向かってしまうような、治療効果を言う。プラシーボ(Placebo)の語源はラテン語の「喜ばせる」に由来しており、患者を喜ばせることを目的とした、薬理作用のない薬のことを指すようになったと言われている。
プラシーボ効果というのは、生理学的にも心理学的にも、もっとも奇妙で理解し難い現象のひとつだ。プラシーボ効果の主体は暗示効果であることから、痛みなどの主観的な症状には効いても、血液検査などの検査値には関係ないと思われがちだが、プラシーボによって、その検査値すら変わることもあるという。
私たちは、本質的に病気は自分の力で治すことができる。単に病気は治ると信じているからだ。言い換えれば、自分に暗示をかけて健康を取り戻すことができる脳の底知れない力を証明しているのだ。しかし、このプラシーボ効果について、科学者も医者も明確に説明できない。ここでは、海外サイトで取り上げられていた、10の顕著なプラシーボ効果の例を見てみることにしよう。
10.犬(その他の動物)にもプラシーボ効果はあらわれる
製薬会社が警察犬を使って、実験者も被験者も実験の内容について知らない二重盲検を行った。癲癇の症状のある犬をふたつのグループに分け、一方には本物の薬を、一方には偽薬を与えた。その結果、プラシーボ現象は、犬にも同じように起こることがわかった。偽薬を与えられたグループに、極めて良好な効果が表れたのだ。
シベリアンハムスターの観察でも、まわりの環境や使える体内のエネルギーによって、エンジンのかかり具合に違いが出るプラシーボ効果と似たような結果が得られた。彼らに今は冬だと信じ込ませると、免疫システムがエネルギーを蓄える冬眠状態に変わるのだ。このメカニズムは、どうして私たちが自分の力だけで回復に向かうことができず、薬をのむ必要があるのかの説明になるだろう。本質的に、私たちは思い込み効果につながるきっかけになる何らかの外的要因が必要なのだ。
9.偽抗うつ剤
近年、医者たちは、ハロウィンのキャンディのように抗うつ剤の処方箋をばらまいてきた。薬のおかげでうつ病が抑えられる確率が高いからだ。しかし、偽薬でも同じ効果があらわれ、有害な副作用も減らせるという研究が注目を集めている。当然のことながら、大手製薬会社はこの発見を重要視していない。抗うつ剤でなくてもうつ病が抑えられるとなったら、多大な損失をこうむるからだ。一方で、精神疾患に苦しむ人たちにとっては朗報となるかもしれない。病は気からであって、薬の助けをかりなくても、回復することができることを示しているからだ。
8.本物の酒を飲まなくても、酔っ払ったような気分になれる
女性の方が男性よりも、比較的少ないアルコール量で酔っ払うことができるというのは、よく言われることだ。私たちは安い勘定書きでも、簡単に酔っ払ったと錯覚することができる。プラシーボ効果の研究によると、実はトニックウォーターとライムなのに、ウォッカだと信じ込んで飲んでいた人たちは、判断力が悪くなっていたことがわかった。簡単なテストもできないし、IQも低くなっていた。このYOUTUBEの映像は、ノンアルコールビールしかないコンパに参加した大学の新入生たちの様子だ。まるでアルコールが入ったかのような陽気なはしゃぎっぷりがよくわかる。
7.住んでいる国によってプラシーボ効果に影響が出る
アメリカ人は世界一心配性な民族だ。テレビや本でたえず大量の薬の広告を目にしていたら、それも無理もない。どういうわけか、アメリカ人は薬を静脈に注射するのに多大な労力をつぎ込む傾向にある。それに比べて、ヨーロッパ人は注射よりも、偽薬に好意的だ。プラシーボ効果の効き目には、文化的な要素が強くかかわっているようだ。胃潰瘍の治療に使われる偽薬は、ブラジル人よりドイツ人の方が効き目がいい。逆に高血圧の偽薬は、ドイツではそれほど効き目がなかった。それぞれの文化的要素が、人の望みを具体化するのに強い影響を及ぼすらしい。国境を越えると、ある意味、恐怖と期待がプラシーボ効果の形を変えるのだ。
6.それが偽薬だとわかっていても効果がある。
本物の薬をのんでいると信じている患者が、病から回復するのが、プラシーボ効果の大前提だ。ところが、偽薬だとわかってのんでいる患者にも、効果が出るというのは、まったく理屈に合わない。患者に偽薬を与え、それが本物の薬ではないことを知らせると、効果は弱まるどころか、いい結果が続き、多くはその偽薬をとり続けることを選ぶ。将来、医者は完全に偽薬だと知らせた上で、患者に砂糖の薬を処方するようになるかもしれない。
5.感染によるプラシーボ効果
関係ない病気の偽感染で、プラシーボ効果を引き出すことができる。(例:喘息患者を鉤虫(こうちゅう)に感染させる。)まったくありえないことのように思えるに違いないが、鉤虫による喘息治療に効果があるかどうかの研究が進められている。喘息患者のグループをふたつに分け、一方には実際に鉤虫を感染させ、もう一方のグループには感染させたと思わせた。実際に感染させた方は、症状の改善がみられたが、偽感染者にも、同様の効果があらわれた。つまり両グループとも改善したことは、プラシーボ効果のあらわれだ。
4.ノセボ(反偽薬)
プラシーボ効果には、ノセボ効果という名の邪悪な双子のきょうだいがいる。薬の効果に期待するせいで、プラシーボ効果があらわれるように、副作用があるのではないかという思い込みから、なんでもない偽薬なのに、本当に有害な副作用が起こる可能性がある。こうしてあらわれるさまざまな極端な症状は、ノセボとして知られている。
イタリアでのノセボ効果の研究が報告されている。ラクトース(乳糖)耐性がある人とない人に、本当は違うのだがラクトースだと思わせた偽薬を与えた。すると、耐性のある人の44%と、耐性のない人の26%が、胃腸障害を起こした。前立腺肥大の治療薬フィナステライドを摂取した男性患者の研究でわかるように、ノセボ効果は残念ながら、本物の薬をのんでも起こる。実験被験者の半分は、医師から副作用に勃起障害(ED)があるかもしれないと言われ、半分は何も言われなかった。実際に勃起障害をうったえたのは、言われたグループの44%に対して、言われなかったグループは15%だった。抗うつ剤の試験に参加したある患者は、26錠の偽薬を飲んで自殺未遂をおこした。薬はまったく無害だったにもかかわらず、どういうわけか彼の血圧は危険な値まで下がってしまったのだ。
3.のむ薬の色によって、効き目に違いがある
人間は、潜在意識の中で、色や形に大きく影響される。薬の大きさ、形や色が、大きなベースになって、最終的にその薬が本当に効くかどうかを決定してしまう。研究で、黄色い薬がうつ病にもっとも効果があり、赤い薬は患者に刺激を与えて目覚めさせ、グリーンの薬は不安を和らげ、白い薬は胃潰瘍などの胃の不調を緩和することがわかっている。日に二回より四回のむ方が効き、薬に製薬会社の商標名が刻印されているともっといい。私たち人間は、たとえそれが偽の薬であっても、見かけだけでも薬に見えれば満足するらしい。
2.傷の治療には、偽の手術でも効果がある
手術が必要なケガを負い、術後傷が治り痛みもなくなったとしよう。一ヵ月後の検診で、医師から実は手術で何も治していない。ただメスを入れて治療をしたと思わせただけだと言われたとしたら?これは実際に行われた医療検査で、結果的に偽の手術でも本当に良好な効果が出たわけで、より次の段階に進んだプラシーボ効果の例だ。一番いいのは、偽の手術は実際の手術よりはるかに安く済むことだ。
1.プラシーボは、さらに効果的になる
プラシーボ効果が初めて認められたのは1700年代だったが、1970年代まで生理学的にはよくわからなかった。今でも研究段階で、その効果は徐々に増してきている。これは、私たちが医療の専門家を信頼しているという、社会的事情によるものが大きいと考えられているせいもある。医療技術が進むほど、死は遠くなり、薬への信頼度が強くなる。
私たちは医者に行って、診察してもらい、薬局で薬をもらうと安心する。病が治ると期待し、この期待から科学は強いとはっきり言えるようになった。中世では、多くの人々が死んだので、医療処置の信頼性はほとんどなかったが、今日、医療技術は進歩し続けていて、薬に依存する勢いはますます大きくなっている。こういうことから、プラシーボもさらに効果的になっていくだろう。
※この記事は海外サイトの原文に基づいて意訳したものです。
via:10 Crazy Facts About the Placebo Effect
原文翻訳:konohazuku
実際にプラシーボによる鎮痛効果はあなどれないもので、既に1954年より、薬理学的に効果のない薬を鎮痛薬として与えると30%の人に鎮痛効果が認められることが報告されているそうだ。
いわゆる民間療法や健康食品の広告でみられる、「・・が直った。」、「・・がよくなった。」という実例は、たぶんにプラシーボ効果による可能性が高いと言われている。特に、不安、緊張に伴う症状や痛みを伴う症状は効果が現れやすいと言われており、どこまでが本来の効果でどこまでがプラシーボ効果なのかが明確になっていないことが問題となっている。via:プラシーボ効果