世界を終わらせたかもしれない10の危険な科学実験
2012年07月23日 ι コメント(93) ι 知る ι サイエンス&テクノロジー ι #
最近では、神の粒子とも言われる「ヒッグス粒子」が発見されたとして話題となっていた。これが本当にビッグス粒子だとしたら、宇宙がどのように生まれ、生命がどのように誕生したのか、全ての根源をたどる為の大きなヒントとして期待されているわけなのだが、時として科学を探求していくことは、大きな危険を伴う場合がある。
これまでの歴史において、一歩間違えれば、人類が世界を滅ぼしてしまったかもしれない、10の科学実験が紹介されていたので見てみることにしよう。
ソース:10 Science Experiments That Looked Like the End of the World
原文翻訳:ふんふん鳥
ロシア、コーラ半島のボーリング実験
1970年に開始された旧ソ連の科学実験は、地球の地殻をできるだけ深く掘ろうとするものだった。コーラ半島にあるせん孔は1994年までに地殻の12kmの深さに達した。掘削中にモグラ男(もしくは地底人)に遭遇することはなかったものの、地殻に深い穴を掘ることは、同年に放映されたDr.フ―の映画“インフェルノ(地獄)”で描かれたような コントロール不能の地殻変動(地震)を引き起こしたかもしれないのだ。
ニュージーランドの津波爆弾
ニュージーランドは、1944年から1945年の間に 津波を人工的に起こす爆弾の実験を行った。プロジェクトの背後にいる軍の科学者たちは、戦略的に爆弾をしかけることで、水を介して爆発的なエネルギーで津波や高波を起こすことができると信じていた。軍の科学者たちは、水平方向に爆発のエネルギーを集中させることができないという問題を解決できず、数千回におよぶテスト爆発の後、この実験を中止した。もし この津波爆弾が成功していたら、従来の爆発装置さえあればいともたやすく混乱と死をつくりだすことができる人工津波が 兵器の主流になっていたかもしれない。
アメリカのオペレーション・シーラス
1940年代、アメリカは、ドライアイスで嵐をつくることでハリケーンの経路を変えようと試みた。科学者たちが、大西洋を東に向かって動くハリケーンに180ポンド(約81kg)のドライアイスをぶちこむと、ハリケーンは予測不可能な動きで方向を変えた。結局このハリケーンは、ジョージア州サバンナ市に上陸して最低でも1人が死亡し 2億ドルの損害を引き起こした。この実験は、最終的に戦争で天候を変える兵器の実験を禁止する国連の環境改変条約につながった。
ロシアのプロジェクト「マーキュリー」と「ボルケーノ」
1987年から1992年まで、ロシア軍は、プロジェクト・マーキュリーとプロジェクト・ボルケーノにおいて、兵器として大陸プレートと電磁界をに干渉することを目的に地下で核兵器を爆発させた。できの悪い映画007のようなこれらの実験は1978年に環境改変技術を軍用もしくは他の目的で使用することを禁止する条約ができるまで4回に渡り実際に実行された。大陸プレートを乱すことは深刻な地震の原因となり、電磁界を不安定にすることは、理論的にも予期できない多くの問題につながる可能性があった。
遺伝子組み換えで生まれた油を分解するスーパーバグ
1970年代中頃、米GE(ジェネラルエレクトリック)社の科学者、アナンダ・チャクラバティは、石油を分解するバクテリア「シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)」を創り出すことに成功した。油の異なった分区を分解する4種のシュードモナス菌を交配し、より分解能力の高い菌を生み出したのだ。
GE社では漏出原油の処理に使えると考えたが、多くの人々は この遺伝子組み換えバクテリアが暴走して他のバクテリアを駆逐し、地球で最後の生き残りになるのではないかと恐れた。バクテリアの優位性理論は、グレイ・グー理論(自己複製型のマイクロロボットが増殖しまくった結果人類が滅ぶ)のグリーン前駆体であり、その可能性はないとは言い切れない。
重イオン衝突型加速器「RHIC」によるブラックホールの創造
ニューヨークでの重イオン衝突型加速器(RHIC)の公開を前に、人々の懸念はその操作過程において制御不能なブラックホールを創り出してしまうのではないかという不安の意見に集約されていた。1999年、英ロンドンのサンデータイムズ紙では“人工ビッグバンが地球を破壊する”という物騒な見出しをつけたセンセーショナルな記事が紙面を躍らせた。RHICの研究者たちはブラックホールを創り出すためのエネルギーは不足しておりその心配はないというが、人々の不安は尽きない。
イネのいもち病菌の効果を高めるアメリカの実験
米や小麦のいもち病は、世界の作物に巨大な損害を与え、古来から稲に発生する定型的な病気であり、最も恐れられてきた。その菌は80カ国以上に存在し1996年にはアメリカに流入した。冷戦中、アメリカは噴霧もしくは爆弾の形で拡散するいもち病菌を搭載した兵器の実験をおこなった。アメリカが意図的に兵器として使用したかどうかはわからないが もしこれらの植物の伝染病が広がると世界で最も重要な作物(小麦と稲)が被害を受け、世界的な飢饉をもたらすことは確実だ。
アメリカの核実験、ドミニク作戦:スターフィッシュ・プライム(Starfish Prime)
1962年にアメリカ合衆国が行った105回にも及ぶ核実験、「ドミニク作戦」の中で行った実験の一つで、惑星の磁場の外側で核爆弾を爆発させるという恐ろしい実験。アメリカはこれをおしすすめ、高度400kmの外気圏で6つの核爆弾を爆発させた。幸いにも磁場は所定の位置におさまったものの、人工のオーロラが発生し、電磁パルスによる影響でハワイ諸島に停電を引き起こした。もし仮に地球の磁場が永久に変わったなら、私たちは大陸移動による巨大地震や宇宙線や太陽風の影響をもろに受けることになる。
スターフィッシュ・プライムの実験映像
ロシアのペスト兵器
4世紀のペストの大流行は地球上の人口の60%にもおよぶ犠牲者を出した。旧ソ連は1980年代後期にペストの兵器化に成功した。ベルリンの壁崩壊後、プログラムディレクターのウラジミール・パスクニックは、黒死病を再現する弾頭を発射する軍事的準備を含む研究結果を公表した。ソ連はペスト菌を扱うために粉末状にしたペスト菌をポリマーカプセルで包み込んだ。
アメリカのトリニティ核実験
1945年7月16日、人類初の核実験を前にマンハッタン計画の科学者たちは、爆発による余波で何が起こりうるかを議論した。数人の科学者らは爆弾は爆発しないと予測。プロジェクトにかかわっていたエンリコ・フェルミは、核爆弾は地球の大気を燃やし、地球上のほとんど全ての生命を殺す連鎖反応を引き起こすと予測した。幸運にもフェルミの予測は間違っていたことが実証されることとなったが、トリニティ実験から一ヶ月も経たないうちに、日本に原子爆弾が投下された。
トリニティ核兵器実験、機密解除された映像