脳波で動きを制御する人型ロボット「バクスター」が爆誕(米研究)
2017年03月10日 ι コメント(17) ι 知る ι サイエンス&テクノロジー ι #
ボーイング社とアメリカ国立科学財団が支援するとんでもない人工知能が現れた。それはMITコンピューター科学・人工知能研究所(CSAIL)とボストン大学のチームがお披露目した、人間の脳でロボットの間違いを即座に修正できるようにしたシステムである。
このシステムは、脳の活動を示す脳電図のデータを用いて、人間が並べ替え作業を行うロボットの間違いに気がついた場合、それを即座に検出することができる。
Brain-controlled Robots
脳で命じるだけでロボットが動く
システムが採用する学習アルゴリズムは、10~30ミリ秒で脳波を分類可能だ。現時点では比較的単純な二値選択的な活動しか扱うことができないが、将来的にはずっと直感的なやり方でロボットの操作が可能になるという。
CSAILのディレクター、ダニエラ・ルス(Daniela Rus)氏は、「コマンドを入力したり、ボタンを押したり、言葉で命じたりしなくても、さっとロボットに命令を与えることができると想像してみてください」と語る。
「産業ロボットや自動運転車、あるいは今後発明されるテクノロジーを監督する能力を改善する可能性を秘めた効率的なアプローチです」
脳のエラー信号に着目して生まれた人型ロボット、バクスター
現在、研究チームはリシンク・ロボティクス社(Rethink Robotics)製「バクスター(Baxter)」という人型ロボットを実験に使用している。
これまで脳波でロボットを操作するには、コンピューターが認識できる方法で”考える”よう操縦者を訓練する必要があった。研究チームが目指したのはより自然な操作だった。そこで脳が間違いに気がついたとき発生するエラー関連脳電位(error-related potentials)という脳の信号に着目した。
人間は心でロボットの行動を後押しするだけ
ロボットが採用する予定の選択肢を提示する間、システムはエラー関連脳電位を用いて、人間がその決定に同意するかどうかを判断する。なお、人間はロボットを見ながら、心の中でその動作に賛成するか、反対するか思い浮かべるだけだ。決まったやり方で考えるよう訓練を積む必要はない。
しかし、これを行う上でエラー関連脳電位が極端に微弱であることも判明している。そのためシステムを入念に調整。信号を分類し、それを人間の操作者向けのフィードバックループに組み込めるようにしてある。
最初のエラー関連脳電位の測定のほか、研究チームは”第二エラー”の検出、すなわちシステムが人間による修正に気がつかなかった際のエラー検出も試みている
研究チームのステファニー・ジル氏は、「ロボットが自分の判断に自信が持てないとき、人間側の反応からより正確な答えを得ることができます。こうした信号は、選択肢に関する人間とロボットの会話を通じて精度を劇的に改善させます」と説明する。
システムは今のところリアルタイムで第二エラーを認識することができないが、実現すれば精度を90パーセント以上改善すると予測されている。
また、エラー関連脳電位はロボットのミスの程度に比例することが判明しているため、将来的にシステムはより複雑な複数の選択肢がある作業にも対応できるようになるそうだ。さらに口の不自由な人を補助するという用途も考えられるという。
同システムは、脳で制御するロボットや人工装具を開発するにあたって有効なツールとなるだろう。人間の言語をロボットが理解できるような信号に変換するその難しさを考えれば、人間とロボットが協力し合う未来の世界へ向けて重要な意味合いを持つであろうことは間違いない。もちろん良い使い方をすればの話であるが・・・
via:csail・laughingsquid・expressなど/ translated hiroching / edited by parumo