根っからの小心者にすぎない、文学の世界から政治の世界へと鞍替えした連中は、臆病さを毛取られまいとして人前で虚勢を張り、地位を得た途端に威張り散らし、大言壮語を好み、過去の英雄なんぞにおのれをなぞらえて大人物を演じてみせたりするのだが、結局は社会的な出世のみにしか関心がなく、というか、初めからしぶとい政治家としての能力などひとかけも持ち合わせていないために、無理な背伸びと見え見えのパフォーマンスをくり返すばかりで、あげくに、その立場を支えるためには資金力が必要不可欠だということを悟り、現金をごっそり持っている怪物連中にすり寄っておこぼれにあずかろうとし、そんなことまでして社会的地位をほしがる自分を少しも恥ずかしいとは思わず、ということは、文学の精神なんぞ最初から持ち合わせていなかったどころか、実際にはその真逆のタイプであったことを証明しているのだが、そこまでゆかなくても、芸術家と称する人たちのなかにはかれらとまったく同類の人種が大勢紛れこんでいて、むしろ、大半がそれだと思えなくもなく、たとえば勲章のたぐいを嬉々としてもらっているかれらを見かけるたびに、ああ、この人も真の目的はそんなところにあったのかとがっかりさせられるのだが、しかし、かれらの作品に接するたびに、この程度の代物しか生み出せなければさもありなんと思うばかりだ。
世間中が真っ赤な嘘だと承知していることを承知して公の場で大嘘を並べなければならない立場に追いこまれたとき、ふてぶてしい悪党になりきれるほどの大物の悪党でないかれらは、たちまちにして小物としての臆病風を吹かし、詰問されるたびに目が泳ぎ、顔が引きつる。もはやナルシシズムの文学の世界へも戻れない渋面が憐れ。
世間中が真っ赤な嘘だと承知していることを承知して公の場で大嘘を並べなければならない立場に追いこまれたとき、ふてぶてしい悪党になりきれるほどの大物の悪党でないかれらは、たちまちにして小物としての臆病風を吹かし、詰問されるたびに目が泳ぎ、顔が引きつる。もはやナルシシズムの文学の世界へも戻れない渋面が憐れ。