I 罠 get であります!

この度「リク魔人」の妄想宝物庫様 のseiさんより、

罠を奪取して参りました☆(ノ∀<)


文章構成力皆無のため色々とツッコミどころ満載です。

広い御心で読んで頂けたらと思います。


アレ、シュラバッテナンダッケ?

なんだか氣比さんがあらぬ方向へと向かってしまってます。

ていうか、いつの間にかキャラ変わってるよ、氣比さんっ!!

え、こんなブラック担当ちゃうかったのに!!!

収拾はいつつくんだ…orz

色々すみません。


それでは以下より本文です。



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a dense fog



「お早うございます、氣比さん。」


「お早うございます、敦賀さん。

一体何の用ですか?わざわざマネージャー経由で呼び出しなんて…。」


「少しお話したいことがありまして。楽屋の方にきてもらえますか?

ああ、久木さんは少し席を外して下さい。」


「…憲明。」


「…久木さん、俺なら大丈夫ですから、少し外してもらっていいですか?」


「…わかったよ。

敦賀さん、くれぐれも問題になるようなことはしないで下さいね?」


「ええ、大丈夫ですよ。」



楽屋まで歩いて中に入ったところで扉を閉め、

扉に向けていた身体を彼の方へと向き直した。



「さて、と。氣比さん、何で俺が呼び出したかはわかってますよね?」


「…まぁ、予想はしてましたけどね?

気を遣って丁寧に話そうとしなくてもいいですよ、敦賀さん。

こうなるんじゃないかとは思ってましたから。」



…予想していたと言うわりに、反省の色も罪悪感も感じ取れない。

それどころか、彼は笑顔のままだ。

コイツ…反省していないのか?



「そう…自覚はあるんですか。何故、あんなことをしたんです?」


「愚問だな…。

好きな女を目の前に理性がききませんでしたとでも言えば満足ですか?」


「なっ!!役者にそんな言い訳が通じると思っているのか?!」



返ってきた答えは意外なものだった。

社さんからもらった彼に関する資料や、今まで接した印象で、

まさかここまで常識が通用しない相手だとは思ってもいなかった。

思わず傍にあったテーブルをバシンと叩いて彼を凝視してしまった。



「事実そうなのだから、それ以上でも以下でもありません。

俺は京子が好きです。

好きな女性と深いキスを交わしたら、

それ以上の関係にもなりたいと思うのが普通でしょう?」



彼は真顔でいけしゃあしゃあと答えた。



「好きだと言うなら尚更だ!

あんな行為はただの身勝手な押し付けでしかない!!」


「…あなたさえ現れなければ、こんな性急なことはしなかったですよ。」



湧き出してくるどす黒い感情を必死で抑え、抗議したが、

返ってきたのは俺がいなければこうはなってなかったという答え。



「…どういう意味だ。」


「やっと巡ってきた京子との共演、しかも主演だったのに、

敦賀君が水を差すから…。君はただの先輩のはずでしょう?

でも敦賀君が横にいると京子が揺らいでしまうんですよ。

でもあなたにその気はないのでしょう…?邪魔なんですよ。

全く…大人しく海外でやっててくれたらよかったのに。計画が台無しです。」



問い質してもあまりに身勝手な返答で、怒りしか湧いてこない。

コイツ、仕事を、彼女を、何だと思っているんだ!!



「そんなことは演技とは関係ないだろう!仕事に私情を挟むな!

それに…それはこっちのセリフだ!

横から入ってきたのはお前だ、氣比!」



アメリカで成功したら、素性を明かしてキョーコを迎えに行こうと思っていた。

もうそろそろかと思っていた矢先に、

社さんからキョーコがこのドラマに出ることになったと連絡があって、

焦って社長に頼み、俺も出演させてもらうよう頼んだのだ。


どうやら監督から社長に打診はいっていたらしく、

元から俺を出演させる予定ではあったらしい。

スケジュールは予め手回しされていた。

(どうしてもっと早くに知らせてくれなかったんだ!)


ドラマを終える前にキョーコにプロポーズしようと考えていたのに、

演技指導してくれなんて言い出すわ、当の本人が不安定だわで、

とてもプロポーズなんて出来る雰囲気じゃなかった。



「…特定の誰かと親しくするなんてなかったのに、

京子には何かと目をかけていたこと、

浮いた噂が全く流れていなかったこと。

もしかするとそうなんじゃないかとは思っていましたが…。

よもや本当にそうだとは思いもしませんでしたよ、敦賀君。


しかし理解できないのはそこまで親しくしておいて、

何事もなかったかのように日本から離れたことだ!

横から入ったと言うのなら、なぜそれまでに行動を起こさなかったんですか?!」



何事もなかったかのようにだと?!

一体、俺がどんな思いで日本から離れたと思っているんだ!!

日毎綺麗になっていく彼女を置いて、

アメリカへと行く決意をした俺の気持ちが、お前にわかってたまるか!!!



「お前には関係ない!」


「関係ない、ね。

それなら今回のことはあなただって関係ありませんよ。

…これは俺と京子の問題だ。」


「…これ以上馬鹿なことを言うようなら、その口開かなくしてやる。

これはドラマだ。お前とキョーコだけの問題じゃない。

もし今日の撮影で前のようなことをするなら、俺も何をするかわからない。」



言うに事欠いて“俺と京子の問題”だって?


いい加減、堪忍袋の緒が切れそうになりながら、

…いや、もう切れていたのかもしれない。

思い切り彼を睨みつけて俺は言葉を紡いだ。



「天下の敦賀蓮がそんなセリフを口にするなんてね…。

わかりました。撮影ではきっちり演技させてもらいますよ。

もう、いいでしょう?俺はこれで失礼します。もうそろそろ撮影ですしね。」



そう言って氣比は楽屋から出ようと扉へ向かった。



「…待て。」



後ろを向いた肩を掴み、正面を向かせ、襟元を掴む。

反動でよろけた身体をそのまま持ち上げた。



「っく…ぁっ!何をっ!!!」


「撮影終了後、キョーコには一切近寄らないで下さいね?

……るぞ。」



営業用の笑顔を貼り付けた後、彼の耳元で最後の警告をした。



「っ!離、せっ!!!」



繰り出してきた蹴りを避け、それと同時に床へ放り投げた。

ドンと鈍い音が響く。



「ゴホッ…温厚紳士が、聞いて呆れる…。

敦賀君…これでは、ただの脅しだ。」


「あなたは忠告だけでは効果がなさそうでしたからね。

手を離したのはあなたの蹴りを避けるためで、正当防衛です。」


「笑顔で物騒なことを言う…。

表情と言っていることがまるで噛み合ってないですよ。」


「すみませんね、元はこういう性格なんです。」


「ふ、まぁ、いい。

オールアップしているのに、わざわざこれだけのためにご足労でしたね?

せいぜい指をくわえて撮影を見ていて下さい。」



そう言い残して彼は楽屋から出た。



「撮影では、ね…。」



“撮影ではきっちり演技させてもらう”

そうヤツは言った。

全く反省の色は見られない。それどころか…。



「ヤツの目つきは、普通じゃない…。」



何か、言い知れぬ不安が湧き上がる。

このまま無事に終わればいい。

拳を握り締め、俺は撮影スタジオへと向かった。