I 罠 get であります!

この度「リク魔人」の妄想宝物庫様 のseiさんより、

罠を奪取して参りました☆(ノ∀<)


文章構成力皆無のため色々とツッコミどころ満載です。

広い御心で読んで頂けたらと思います。

それでは以下より本文です。



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a dense fog



帰宅後、リビングのソファに座り、大きな溜息をついて、今日の演技を思い出す。

キスが深いものになる直後、どうしても敦賀さんを思い出して固まってしまう。

その瞬間に美亜が抜けてしまい、演技続行が不可能となる。


敦賀さんが、先輩として最後になるだろうと言って、してくれた演技指導。

それは彼が渡米する前、最後の夜にラブミー部の依頼を受けた日。

夕食を作り、一緒に食べた後の出来事だった。



活動拠点をアメリカに移すと知らされ、

ここを発つ前に日本食を食べておきたいと、敦賀さんから依頼を受けた。

初めにその話を聞いた時はあまりの急な出来事に、

一瞬心臓が止まるかと思った。


セツカとして傍にいたのはついこの間だったのに。

彼の傍で、セツカとして必要としてもらえて、

自分の中で敦賀さんの存在がとても大きくなっていくのを自覚した矢先。

彼への思いを認めざるを得なくなって、まだ間もないのに。

私を置いて、彼は行ってしまうと言うのだ。


わかっている。私の思いは一方的なもので、彼にはちゃんと思い人だっている。



(わかってる…わかってるもの。

私なんかが、彼の傍にいられるなんて、思ってない。思ってないわ…。)



これは私の勝手な思いなのだから、

私は笑って笑顔で彼を見送らなくてはならない。

――後輩として。


敦賀さんのマンションへ行く前に、私は心の整理をつけたつもりでいた。



「ねぇ、最上さん。

君はこれからタレントとしてだけじゃなくて、女優としても活動を続けていくの?」


「はい、そのつもりです!…どうかされましたか?」


「女優を続けるつもりでいるなら、恋愛をテーマにした作品は避けられないよ。

それなのに君は未だにラブミー部員だ。恋愛ものでもやっていく自信はあるの?」


「…自信があるかと聞かれればありません。

でも女優としての活動は続けていきたいんです。

演技から離れるなんて考えられません。」


「そう…。恋愛ものでも頑張るつもりなんだね。

それじゃあこれは、多分俺が先輩として君に出来る最後の指導だよ?」


「え、ちょっ、敦賀さっ…?!」



素早く後頭部を抑えられ、顎を固定され、

気付いたら目の前は真っ暗に近い状態だった。


唇に軽く、何かが触れた。

何かが彼の唇なのだと理解できたのは、

チュッと音を鳴らしながら唇を啄ばまれ始めてからだった。

幾度か唇を啄ばんだ後、頬、瞼、鼻、額へも口付けられた。



「ちょっ、敦賀さんっ、何をっっ!!」



胸をバシバシ叩き、猛抗議するも、ビクともしない。

数分後やっとその行為が収まったかと思ったら、

腕の中に囲われてきつく抱き締められ、首筋へも口付けられた。



「敦賀さんっっ!!!」



涙声になりながら抗議を続ける。



「ねぇ、最上さん。このくらいはいくらでも演技しないといけないよ。

女優を続けたい、というなら、ね。」


「…っ?!」


「恋愛要素がないドラマや映画を避けていたら、

いつまで経っても女優として大成出来ない。

それに君は、あくまでまだ新人だ。選り好みは出来ない。

これからも演技を続けて生きたいのなら、

今くらいのことは自分からでも出来るようにならないといけないよ?」


「…先輩として苦言を呈して下さっているんですか?」


「…そうだね。」



その返事を聞いて、私は俯いていた顔を上げて、敦賀さんの顔を見上げた。
彼はこちらに視線を向けて、寂しそうな、苦しそうな顔をしていた。