I 罠 get であります!
この度「リク魔人」の妄想宝物庫様 のseiさんより、
罠を奪取して参りました☆(ノ∀<)
文章構成力皆無のため、色々とツッコミどころ満載ですが、
広い御心で読んで頂けたらと思います。
それでは以下より本文です。
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覚悟していたとはいえ、やはり台本の内容を見て頭を悩ませた。
美亜の心境は理解出来なくはない。
しかし濃厚なキスシーンや、
こちらから仕掛けなければならないスキンシップを交えた誘惑…。
そういったものに慣れない私はどう演技したものかと考え込んでいた。
a dense fog
そんな中、遂にドラマの顔合わせの日がきた。
「宜しくお願いします。相手役の亮(アキラ)を演じます、
氣比憲明(けひのりあき)です。京子さんとは初めてだね?
色々拙いところはあると思うけれど、どうぞ宜しく。」
そこで初めてあった相手役、氣比憲明さん。
私より5歳年上の落ち着いた感じの男の人。
どことなく敦賀さんを彷彿とさせる物腰で、
役や演技についても気負うことなく、話しやすい雰囲気をつくってくれて、
色々と話題は尽きることがなかった。
相手役がやり易そうな人でよかったと、少し安心した。
しかし自分からのスキンシップやディープキスがあるとなると、
いくら覚悟したとはいえ、不安は拭えない。
もしあの人が相手役だったなら…。
いや、それだと演技を終えた瞬間に、私は使い物にならなくなるだろう。
それにあの人は今や活動拠点はアメリカ。
ありもしないことを考えてもどうにもならないと、不毛な思考に歯止めをかけた。
「実はまだ不安なんです。軽いキスやハグなら大丈夫なんですけれど、
ディープキスだなんて…。」
台本の読み合わせを終えた後の休憩中、
氣比さんを前に私は思わず言葉に出してしまった。
今更どうしようもないのに。なんて往生際が悪いのだろう。
「京子さんはディープキス、したことないの?」
思わず出てしまった言葉にストレートな質問が返ってきた。
言葉はストレートだが、声色や表情は優しいもので、
私はそのまま話を進めた。
「…黙秘してもいいでしょうか。」
「勿論。そもそも芸能人なんだから、
そういうプライベートは安易に話しちゃいけないよ?」
彼はフワッと笑ってそう答えた。
「けっ、氣比さんが聞いたんじゃないですか!!」
「ははっ、そうだったね。
ごめんごめん、京子さんが素直に反応してくれるものだから、つい。」
「もうっ!からかわないで下さい!!!」
ついって何なのよ、ついって!!
優しそうな人だと思ったけど、ちょっと意地悪な人なのね!
私は真っ赤になりながら声を荒げた。
「本当にごめん。でも、
それじゃあ撮影終了まで、試しに俺と付き合ってみない?」
もうっ、懲りずにこの人はっ!いつまで続くのよ、この冗談は!
「何がそれじゃあなのかわかりません!冗談も程々にして下さいっ!」
「うん?試しに付き合ってみないかっていうのは冗談じゃないよ?
京子さんは恋人同士の演技が不安なんだろう?
もし経験がない、というのなら試してみるのもひとつの手段だよ。
今はその提案をしているだけ。」
意地悪をされているのだと思い、冗談はやめてくれと言うと、
冗談ではないと返してきた。
一瞬氣比さんが何を言っているのか、私には理解出来ず、
反応出来ずに固まっていると、彼は更に話を続けた。
「難しく考えないでね?そういう方法もあるというだけだから。
やってみたら案外出来たりもするし。
様子を見て、やっぱり出来ないようなら、いくらでも手伝ってあげるよ。」
戸惑っているのがみえたのか、
微笑みながら、ゆっくりと言い聞かせるように彼は話した。
「…すみません、思ってもみなかったので、
一瞬頭が真っ白になってしまいました。
少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
「うん、ゆっくり考えてみて。俺はいつでもいいからね。」
そう言う氣比さんを相手に、私はその話を一旦保留にしてもらった。