I 罠 get であります!


この度「リク魔人」の妄想宝物庫様 のseiさんより、

罠を奪取して参りました☆(ノ∀<)


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「私の恋人(仮)」


19歳になり、恋愛ドラマへの出演も増えだしたキョーコ。

軽いキス程度ならなんとかNGを出さずにこなせるようにもなってきた。

が、次のドラマでは年上の彼氏を持つ21歳の女子大生役ということで、

脚本には今までに経験したものよりも濃厚なキスと、

カップル的なスキンシップのシーンが多く書かれていて。

初めて経験することに動揺せずスムーズに撮影できるか不安に思うキョーコ。

蓮に相談すれば実地で教えてくれるかもしれないが、

だからこそ蓮にだけは相談できない。

台本の読み合わせで相手役の俳優に撮影時の不安を伝えると、

撮影が終わるまで付き合ってみようと言われ。


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上記の設定に一応(←ォイ)沿って書かせていただきます。

複数話になりますが、宜しくお付き合い頂ければと思います。



長編が完結してもいないのに、よそ見してすみません。

ヴァンパイアもの、レイノさんのターンが長すぎて中折れしてしまったであります!

カタカタが一旦停止すると、

次の起動まで非常に長い時間がかかる私でありますが、

一体いつになったら終わるのか。


何も考えずに書いていたら色々酷いことになっており、

書いてる本人も初めの内容忘れており、

読み返せばあまりの文章の酷さに心が折れましたwww←

完結させたいとは思っております。

長い目で見て頂けたら有難いです。



では以下より罠奪取作品となります。



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敦賀さんへの恋心を自覚してから早2年…。

いつの間にか私は19歳になっていた。



a dense fog



朝起きて今日一日のスケジュールを確認する。

有難いことにタレントとしても女優としても、

それなりにオファーが来るようになり、忙しい日々を過ごしていた。


敦賀さんが活動拠点をアメリカへ移してから2年の時が経つ。

彼は現在日本人俳優REN TSURUGAとしてハリウッドで活躍している。

カインとセツカとして一緒にホテル住まいをしていたのが夢のようだ。

アメリカへ渡った敦賀さんには社長の紹介でエージェントが就き、

恐れ多くも社さんは私のマネージャーになった。


渡米してからも日本での彼の人気は留まるところを知らず、

アルマンディの写真や出演した映像作品は、

街の看板や店頭の大きなスペースにところ狭しと並べられている。

実際に会うことはないけれど、彼の姿を見ない日はなかった。

日本の番組からのラブコールは途切れることなく送られ続け、

スケジュールの合間を縫って、

日本でのテレビ番組の出演依頼も受けているようだ。


そんな殺人的なスケジュールの中、敦賀さんは時折メールを送ってくれる。

カインを支えるセツカとして必要とされて、

少しでも役に立てたのだと密かに喜びを感じたのも束の間、

トラジックマーカー公開後、矢継ぎ早にハリウッドへと進出した敦賀さん。

ますます雲の上の存在となった彼に恋心を抱いてしまった私は、

自嘲の笑みを浮かべずにはいられなかった。


そんな思いを知る由もなく。

彼は先輩として、私を未だに気にかけてくれている。

こんな後輩を心配してくれる優しさに、感謝せずにはいられないのと同時に、

なんて残酷なんだろうとも思う。


少しでも彼に近付きたい。

自分を誇れるような女優になりたい。

そう思って私は社さんに出来る限り仕事を入れてもらうよう頼んだ。

仕事の間は彼のことを考えずに済む。

そんな思いも無意識にあったかもしれない。


しかし自分では精一杯やっているつもりだが、

精力的に活動する敦賀さんの姿を目にするたび、

好ましく思う反面、どう足掻いても届かないのではないだろうかと心が曇る。


好意と尊敬と憧れと嫉妬。

そんな思いに晒されながら、今日も仕事をするために車のキイをまわす。


18歳になってから、私は一人暮らしを始め、車の免許をとった。

こんな私でも有難いことにファンが増え始め、

下宿先に迷惑がかかるのを避けるため、社長がマンションを手配してくれた。

移動中に声を掛けられることも多くなり、

自転車や公共の交通機関を使っての移動を避けるようになっていた。
しかし、タクシーだけではやはり不便で、免許を取ることにしたのだ。


朝食をしつつ、大まかなスケジュールの確認をした後、

社さんを迎えに行くのが日課となっていた。



「社さん、お早う御座います!今日も一日宜しくお願いしますね!」


「お早う、キョーコちゃん。こちらこそ宜しく。

あ、早速だけど、新しいオファーがあるんだ。

キョーコちゃんにはまだ少し早い気がするんだけど、

社長が本人に任せてみろって言うから一応聞いておこうと思って。」


「はい?どんな内容なんですか?」


「うん、恋愛ドラマなんだけどね…。」



そう言って渡された脚本。


社会人で年上の幼馴染、亮(アキラ)と付き合っている女子大生、美亜は、

常に手の焼ける年下扱いをされて、

学生であることと年下であることに強いコンプレックスを抱いていた。

職場の彼の周りは仕事の出来る大人な雰囲気の女性ばかり。

彼の友達から聞く話も追い討ちとなり、

煮え切らない態度の彼相手に奮闘する女子大生の物語。


ストーリーとしてはよくある恋愛ものだ。

亮から美亜へ瞼や頬へのキスというものがあったが、

最近は軽いキスシーンにも慣れてきたので問題ないように思えた。


だから何故社さんが「まだ少し早い」と言うのか理解できなかった。

しかし読み進めていくうちにストーリーの雲行きが怪しくなってきた。



「…どうかな。問題は美亜がなかなか手を出してこない亮に対して、

誘惑していくシーンだと思うんだけど。

今まで軽いキスシーンはあったと思うけど、

キョーコちゃんの方から仕掛けていくようなものはなかっただろう?

加えて終盤はディープキスのシーンがあるし…。

無理せず断っても大丈夫だからね?」


「…少し、考えさせてもらってもいいですか。」


「うん、返事は明日までにくれればいいから。」



美亜と亮のお互いへの執着心。
しかし幼馴染でなまじ半端に気心が知れているため、
なかなか一歩先へ進めないジレンマ。
周囲にいる異性に靡いてしまうのではという恐怖。
そんな思いを内包しながらも、一歩を踏み出すために、
極端ともいえる行動を起こしていく美亜。


美亜という役柄を、果たして私に上手く演じることが出来るのだろうか。

その日の仕事をこなしながら、依頼を受けるか否か思いを詰めた。



「社さん、例のドラマのオファー受けてもらっていいですか?」


「え…キョーコちゃん、美亜、やるの?できる?」


「はい…確かに美亜の恋心やジレンマを…、

誘惑する演技を通して表現できるかは自信はありません。

ですが、この2年間、精一杯演技して勉強してきたつもりです。

自分がどこまで出来るのか知る意味でも、美亜には挑戦したいんです。」



常に年下扱いで、彼の周囲にいる大人な女性に嫉妬する美亜。

脚本を読んでいて、いつかの自分をみているようだった。


常に後輩扱いだった敦賀さん。日本を発つ前の最後の夜も、

彼は最後まで先輩として演技指導をしていった。

そのお陰で私は余計に彼への思いが募ってしまった。

しかし程なく敦賀さんは遠いアメリカへと行き、私はその思いを昇華できずにいた。


私は美亜のように、相手と付き合ってもいないし、思いを伝えてもいない。

メールのやり取りは続いているが、あくまで先輩後輩の域を出ない。

思いを伝えることはできるかもしれないが、今の関係すら壊してしまうのであれば、

先輩後輩として関係を保つ方がいい。


そんな臆病な私とは全然違う美亜。

キスシーンやスキンシップをしていくシーンは厄介だが、

美亜を演じることで敦賀さんへの思いを昇華できればと思った。



「そう…。うん、わかったよ。先方にはその旨、伝えておくね。」



こうして私は亮と美亜の恋愛ドラマ「みちしるべ」に出演することとなった。