Selmer 1961年製 Truvoice Little Giant Blue Gray | HOWL GUITARS

Selmer 1961年製 Truvoice Little Giant Blue Gray

ナマステー

HOWL GUITARSのhiroggyです。

前年のブログに続きイントロ文で、インド一人旅の中で起きた事などを面白おかしく文章に表してみようと思います。旅の供に持って行った小説が村上春樹氏の小説だったので、ちょっとハルキノベル風旅行記にトライしています(笑)

最初の滞在地、ゴアでのアレコレ。

楽器説明文と写真だけ見たい人はサーとスクロールダウンしちゃって下さいヾ( ´ー`)


インド旅行記 (7) ゴア編 「ヴォッカはスキットルに」

ボリウッド映画に出てきそうなドラ息子にもう一度パーティーに誘われたが、もちろん僕の気が変わることもないし、四つ打ちのベースドラムだけがしつこく鳴り響いてる音楽に興味もない。僕は勘定を済まして店を出た。ここ二日連続で美味しいご飯にありつけている。それはとても幸せなことだ。旅行中の限定された食事回数の中で一度でもハズレをひくと、晴れた日曜日の朝に悪いニュースを聞いた時のように、とても暗い気分になる。

夕飯を食べたその店は昼間にスパイスミックスを買ったスーパーマーケットから100メートルと離れていなかった。ようやく見覚えのある道までたどりついて僕はちょっとほっとした。もしカンドリムの道がもっと複雑だったら僕は深夜まで壊れたサンダルで彷徨い歩くはめになっていたと思う。
サンダル屋はまだ営業していた。よろしい。営業熱心なことは大変よろしい。
「やあ。僕だよ。昼にサンダルを買ったんだけど、見事に半日で壊れたよ」
サンダル屋は何も答えない。葉っぱだらけの僕が履いているサンダルを凝視したまま固まっている。
「オーケー、わかりやすく言うと今すぐ交換してほしいんだ。同じ色のサンダルにね」 馬鹿らしいけれど僕はまだこのサンダルが気に入っていた。もちろん耐久性ではなく、デザインと色だ。彼は小声で 「わかったよ」 と言って別の同色のサンダルを手渡してくれた。しかもワンサイズ上のだ。昼間買いに来た時にはダンボールひっくり返してもなかったのに、ちゃあんとあるじゃないか。
「サンダル履いて海入ったか?」
「もちろん、これはビーチサンダルなんだろ?もしかして水に濡れるとすぐに壊れるのかい?」
彼は無表情にそれ以上は喋ろうとしなかった。彼の沈黙が肯定を意味していた。ストラップを止めた糊が水に溶け出してしまうのだろう。
「ダンニャワード」
僕は新しいサンダルを履いて右手にワイルドサンダルをぶら下げてゲストハウスまで帰った。サイズがぴったりだから歩きやすい。やっぱりイングリッシュ・ブレックファストにブラックプディングが付いているか付いていないかは大きな違いだ。
僕はホットシャワーを思う存分浴び、インディアンウィスキーをちびちび飲みながらガイドブックのメモ欄にこれまでの出来事や食べたものを箇条書きして、寝た。


日曜日の次は月曜日。月曜日。インドに来て2回目の朝を僕はベットの上でぼんやりと曜日確認しながら迎えた。蚊除けのスプレーを塗って寝たので顔に一ヶ所刺されているのを除けば無事だった。例のように虫刺されクリームを塗り、歯磨きの後にウィスキーでうがいをして、バルコニーに出て一服した。今日はパン売りがアイス男に負けないくらいオンボロのリアカーを引いて、ヒンディー語で何かを叫びながら通りを歩いていた。おそらくパンパンパンパン叫んでいるのだろう。
冷蔵庫でキンキンに冷やしたスミノフブラックヴォッカをスキットルに入れて外に出かけた。相変わらずの海日和で、歩きながらひとくちヴォッカを飲んだ。冷たくトロリとした口当たりと、胃にじわじわとアルコールの暖かさが広がるコントラスト。
ピューターで作られたハンマーストーンシルヴァーのスキットル。このスキットルは父親が僕の20歳の誕生日にプレゼントしてくれた物で、いままで何度か旅行した時や野外音楽フェスティバルに行った時などにこのスキットルを使ったが、僕はまだ若く、ウィスキーやヴォッカなどのハードリカーをそこまで愛飲していなかった。今以上にこのスキットルをありがたく思ったことはない。僕にとってこの鈍銀の小さな水筒と旅をするのはまるで十年来の友人と何年かぶりに再会して遊んでいるような感じだ。こんな粋なプレゼントをくれた父親に深く感謝する。

次項に続く→

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それでは本題の楽器紹介へ移ります。

今回ご紹介するキュートなアンプは

Selmer 1961年製 Truvoice Little Giant Blue Grayです。



1959年に登場したSelmer Truvoice The Little Giantの2nd Versionになります。

セルマーの歴史などは過去ブログを参照していただいて・・・・

セルマーアンプのラインアップの中でも一番小さいモデルのLittele Giant。

ポータブルなラジオサイズのキャビネットで、愛くるしいレトロなルックスの英国製アンプ。

ある意味インテリアとしてもおすすめなアンプです。例えば50年代のフェンダーツイードチャンプをアンティークキャビネットに乗せてもイマイチですが、Little Giantなら完璧でしょう。

外観の特徴としては61年~63年までのBLUEYS期と呼ばれるブルーとグレーのツートーンカヴァリング。この時期のWatkinsも同じような外観をしていますね。セルマーのカヴァリングはだいたい2年おきに仕様を変えており、このBLUEYS期の次がクロコダイルスキンになります。BLUEYS期のLittle Giantはクロコダイルスキン期に比べ存在台数が極端に少なく、とてもレアな一台です。

使用している真空管はECC83 x1、EL84 x1、EZ80 x1となっています。内部パーツにはHUNTSやEROやWIMA製の貴重なキャパシターが使用されていて、小さいながらもセルマーらしいブリティッシュサウンドが堪能できるアンプです。スピーカーにはElac製アルニコを一発搭載。

それではお写真を公開します。



フロントアップの画像です。コントロールはVolume Toneの2つのみでVolume Potがスイッチポットになっていて電源のOn/Offも兼ねています。



上面からの画像です。Selmerはトーレックスを2色使う2トーンカラーが特徴です。



背面の画像です。壁にかけられるように背面両隅に専用の穴が空いているのにもセンスを感じます。



背面のアップ画像です。電源ケーブルを束ねられるように引っ掛け穴が空いています。オシャレです。



バックプレートのラベルにスタンプされたシリアルナンバーです。



取り出したシャーシの画像です。高品質なパーツが使われています。



電源トランスの画像です。以外と大きいです。



カップリングコンデンサーにはHUNTS,ERO,WIMAなど貴重なコンデンサーが使われています。



電解コンデンサー、真空管、そしてアウトプットトランスが確認出来ます。



オリジナルのイギリス製 Elac Alnico Speakerが確認出来ます。



ベルカバーに貼られたELACのデカールが確認出来ます。



スピーカーコーンの画像です。オリジナルコーンです。



キャビネット内の画像です。



各年代のSelmer Truvoice The Little Gaint です。全ヴァージョンが揃いました。





レトロ・ブリテッィシュなルックスが素晴らしいアンプです。

小さいながらもオールチューブアンプなので、音圧しっかり出てます。

ヴォリュームを上げればナチュラルにオーヴァードライヴがかかっていきます。

フルテンにすると素晴らしく歪み、コンプされたディストーションサウンドも特徴的です。

セルマーらしいヴィンテージブリティッシュサウンドが手軽に堪能できる素晴らしい一台です。

お探しの方はこの機会に是非。


hiroggy
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