Fender USA 1959年製 Tweed Twin 5F8-A [High Power] | HOWL GUITARS

Fender USA 1959年製 Tweed Twin 5F8-A [High Power]

ナマステー

HOWL GUITARSのhiroggyです。

前ブログに続きイントロ文で、インド一人旅の中で起きた事などを面白おかしく文章に表してみようと思います。旅の供に持って行った小説が村上春樹氏の小説だったので、ちょっとハルキノベル風旅行記にトライしています(笑)

やれやれ、いつになったらインド本編が始まるのやら。

楽器説明文と写真だけ見たい人はサーとスクロールダウンしちゃって下さいヾ( ´ー`)


インド旅行記 (2)「スクウォッシュド・スピアーズ・スッチーさんのサービス」

沈んだ太陽を追いかけるように西に向かって飛行機は飛ぶ。時差の関係上曖昧になるけど中国のチベット上空あたりで日を跨いだことになったのだと思う。成田からアブダビまでのフライト時間は12時間程だから直航便でヨーロッパに行くのとあまり変わらない。それにしても最近の飛行機のハイテク具合には驚く。全シートに小型液晶タッチスクリーンパネルが付いていて、見たい時に見たいだけ映画などが観れる。しかも上映している映画の本数もジャンルもかなり豊富だ。最新のものからクラシックなものまで揃ってる。これだけあって退屈するはずがない。むしろ与えられた選択肢が多すぎて困惑する。飽和したエンターテイメントミュージックのように。僕の小さい頃の飛行機の思い出は、各セクションごとにプロジェクタースクリーンに映し出された映像を見るしかなかった。上映時間も決まっていて、始まりから見ないと全くわからないし、かといって次の上映時間まで待つなんて面倒なので退屈になる。だからただなんとなく前方に映し出されたサバンナの野生動物のドキュメンタリー映像みたいなのを眺めていた気がする。総合的に退屈だった。

ちょうど僕の座席レーンの "スッチーさん" は白人系アラブ人でアメリカ西海岸風のアクセントを喋る背の低い女性だった。ブロンドの髪を後ろでくくって、ブリトニースピアーズの顔パーツを掌でキュッと中心に寄せたような顔立ちをしていた。きっと自宅の鏡の前でブリトニースピアーズの真似をしているうちにそういう喋りかたになったんだろうな。出口の無い勝手な想像。特にアクセントも顔も好みなタイプではないけれど僕がお酒好きなのがわかったのか、ウィスキーをオンザロックで頼むとシングルではなくダブルで注いでくれた。その次はトリプルになっていた。ありがとう、スクウォッシュド・スピアーズ・スッチーさん。
ウィスキーを舐めながらこの先の旅のことを考えていたら、成田空港でタバコとウィスキーが買えなかったことをふと思い出した。しばし眉間にシワをよせてどうしたもんかと考えて(重要なアイテムなんだ、僕にとっては)、まあいいさ。忘れよう。と試みた矢先、飛行機内の免税販売のアナウンスをする例のスッチーさんが歩いていた。・・その手があったか。とてもボーダーレスな免税店がここにあったんだ。さっそく座席前に突っ込んであるカタログを引っ張り出して手にとって眺めてみると、愛喫している銘柄のタバコは無いもののウィスキーは数種類あったので、ジョニー・ウォーカー・ブラックラベル12年を1本買った。免税だといっても決して安くないが、旅の始まりに景気付けだ。ウィスキー1本とタバコ1カートン分のスペースはあらかじめバックパックに確保してある。重要なアイテムなんだ、僕にとっては。カメラなんかよりも。

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それでは本題の楽器紹介へ移ります。

今回ご紹介するスーパーレアーなアンプは

Fender USA 1959年製 Tweed Twin 5F8-A [High Power]



Fender Amp史上 一番人気機種 Tweed Twin High Power 5F8-Aです。

このアンプはKeith Richardsが愛用するAmpとしても超有名で、Tweed Twinを見つけたらKeith RichardsとEric Claptonが買い占めると言われる位のお気に入りだそうです。

特に55年以降のTweed Twinは特に人気が高く、Low Power 5E8とHigh Power 5F8-AはFender Tweed Amp界の高嶺の花となっております。

55年からのLow Power 5E8と57年からのHigh Power 5F8-Aの主な違いはキャビネットサイズと使用するパワー管と整流管にあります。それまで上段と下段に対角上に設置された12インチのスピーカー二発が下段二発に変更され、それに伴いキャビネットのサイズが幅広になり縦幅が短くなりました。5E8がパワー管に6L6Gを2本し整流管には5U4Gを2本使用しているのに対し、5F8-Aはパワー管を4本し整流管には83(5F8)or GZ34(5F8-A)を1本使用しています。

また、5F8-AにはそれまでになかったMIDコントロールが加わりました。よって5F8-AコントロールパネルはPRESENCE・MID・LOW・TREBLE・VOL BRIGHT・VOL NORMALになり、各ヴォリュームごとに2つの入力ジャックがあり、この時代のフェンダーアンプのラインナップの中ではベースマン5F6に並び最も汎用性の高いモデルでした。

58年から60年までの2年間しか製造されなかったHigh Power Twinはその後1961年から2015年の今現在に至るまで一度もリイシューが作られていないモデルの為、目にする機会も極端に少ないウルトラレアな機種です。

今回入荷した個体はVintage Amp Restoreで超有名なGregg Hopkinsによって完璧なレストアが施された一台で、某ギタリストの要望で過酷なロードツアーに耐えられるように、壊れないHigh Power Twinにしてほしいと気合の入ったレストアを行ったようです。

外装や50年以上経過したトランス類は交換してありますがサウンドの要のシャーシ内のカップリングコンデンサーや抵抗、ポットなどをオリジナルで残していますのでサウンドは当時のサウンドそのままをキープしています。

それではお写真を公開します。



アンプ前面のナローパネル。パネル、ハンドル、グリルネット共にレストアされています。



back viewです。カバリングもレストアされております。



コントロールパネルです。シルクプリント、ノブはオリジナルを保っています。



コントロールパネル右側です。NORMALとBRIGHTチャンネルのインプットとヴォーリューム。



コントロールパネル中央です。PRESENCE・MID・LOW・TREBLEの順番で並んでいます。



コントロールパネル左側です。オリジナルのスイッチとパイロットランプ。



ヒューズボックス下に刻印されたシリアルナンバーです。



リイーシューのJensen P12N Speakerに交換されています。



バックパネルを外した状態です。コンデンサーは電解コンデンサーのみ交換されています。



パワー管にグルーヴチューブブランドのGE製6L6GC管を4本使用しています。



カップリングコンデンサー、ポットは全てオリジナルをキープしています。



オリジナルのスイッチ、ヒューズボックス、パイロットランプ。



オリジナルのポットとコンデンサー。



オリジナルのポットとコンデンサー。



ポットデイトが確認できます。137 928=1959年28週目 CTS製です。



取り外したシャーシです。トランスは全てアメリカの有名トランスメーカーMercury Magneticsの復刻品に交換してあります。ここのメーカーの素晴らしいところは各モデルの各ヴィンテージの年式に合わせて細かい仕様までしっかり復刻しているので、ヴィンテージアンプのリプレイスメントに最適。かなり信頼できるトランスです。



電源トランスです。



High Power Tweed Power Transformer #7993の復刻品Tone Clone FTHPT-Pパワートランスです。



復刻品Tone Clone FC-TTWINチョークトランスです。



High Power Tweed Output Transformer #45268の復刻品Tone Clone FTHPT-OAアウトプットトランスです。



シャーシを取り外したキャビネットの画像です。写真でわかる通りHigh Power Twinの12インチスピーカー二発は下段平行に並んでいます。



チューブチャートです。ラベルもレストアされています。



もう一度全体像です。綺麗な状態です。




スーパーレアなハイパワーツイードツインアンプ。

レストア済みなので、故障の心配も無くストレスなくこの先お使いいただけます。ノイズも驚くほど少ないです。

月並みな表現ですが、素晴らしいアンプです。ただただ素晴らしい音がします。

最上級のツイードトーンが堪能できます。歪みの潰れ方、音の出方がまさに "あの音" です。

オリジナル度は低いですが、現場でガシガシ使いたいプレイヤーさんには最高な一台。

お探しの方はこの機会をお見逃しなく。

hiroggy
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