宅建【問5】ダービー! | 保坂つとむの宅建合格塾

宅建【問5】ダービー!

みなさん、こんばんは(^o^)。

今日は、
予備校間で正解が割れており(いわゆる“割れ問”)、
問題となっている平成24年度 宅建試験【問5】
を取り上げます。
肢3か、肢4か… で正解が割れています!)

すでに…
多くの“同業者”の方が、条文や判例を引用して、
様々な解釈から説明をされていますが、
いまいち説明が難しすぎてよくわからない
という方も多いと思います。

そこで…
何が問題となっているのか…について、私なりに、
できるだけ簡単に説明をしたいと思っております。

題して…
宅建【問5】ダービー!






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●●● まずは問題をみてみましょう… ●●●

次の(1)から(4)までの記述のうち,
民法の規定及び下記判決文によれば,
明らかに誤っているものはどれか。

(判決文)
請負人が建築した建物に
重大な破庇があって建て替えるほかはない場合に,
当該建物を収去することは社会経済的に大きな損失を
もたらすものではなく,また,そのような建物を建て替えて
これに要する費用を請負人に負担させることは,
契約の履行責任に応じた損害賠償責任を負担させるもので
あって,請負人にとって過酷であるともいえないのであるから,
建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすること
を認めても
,民法第635条ただし書の規定の趣旨に反するもの
とはいえない


(1)省略

(2)省略

(3)請負の目的物が建物であって,民法第635条ただし書
によって注文者が請負契約の解除をすることができない場合
には,その規定の趣旨に照らし,注文者は建て替えに要する
費用相当額の損害賠償請求をすることは認められない。

(4)請負の目的物である建物に重大な暇庇があるために
これを建て替えざるを得ない場合であっても,暇庇担保責任に
基づく損害賠償請求は,請負人が当該建物を引き渡した時から
1年以内にしなければならない。






●●● 対決をはじめる前に基本をおさらい… ●●●

建物などの土地工作物を目的とする請負契約については,
その目的物にどんなにヒドイ瑕疵があっても,
注文者は,契約を解除できない
これが… 民法635条ただし書!
 ↓
ところが…
請負契約によって建てられた建物に「重大な瑕疵…」があり,
結果的に“建替え”しか選択肢がないような場合には,
注文者は,請負人に対して,
その建物の建替えができるくらい多額の損害賠償を請求できる
としている。
これが… 本問の判決文の内容!
 ↓
なお…
請負人が損害賠償を負う期間は,次のとおりある。
① 木造などのヤワな建物なら… 引渡しから5年
② 鉄筋コンクリートなどの頑丈な建物なら… 引渡しから10年

 ⇒ ただし… 瑕疵が原因で実際に壊れてしまったら,注文者は,
  その壊れた時から1年以内に,損害賠償を請求する必要がある。
これは… 民法の規定!






●●● 対決その1 (問題文から考える…) ●●●

本問冒頭の問題文は,「民法の規定及び下記判決文によれば,
明らかに誤っているものはどれか。」
と書かれています。
 ↓
それでは…
「民法の規定」にも「判決文」にも,明らかに誤っているのは,
どちらの肢なのでしょうか?

肢(3)
建て替えに要する費用相当額の損害賠償請求をすることは
認められない…」
と書かれている以上,
本問の判決文の内容から,真っ向対立します。
 ↓
また…
建替え費用相当額の損害賠償であっても,
「契約解除はダメ…」とする民法の趣旨に反しない…というのが,
この判決の見解なので,民法からみたら正しいんじゃないの?
という点を考慮する必要はないものと思われます。
 ↓
つまり…
民法の規定&判決文からみて,本肢は明らかに「×」

肢(4)
「損害賠償請求は,請負人が当該建物を引き渡した時から
1年以内にしなければならない…」
と書かれているので,
民法の規定”からみれば,誤りです。
 ↓
ただし…
本問の判決文では,この点について触れていないため,
そもそも“判決文”からみて明らかに誤りかどうか…
を判定しようがありません。
 ↓
つまり…
民法の規定からみたら明らかに「×」だが,
判決文からみてどうかは不明であり,「△」としか言えない!?



というわけで,この勝負…

肢(3)の勝ち!





●●● 対決その2 (選択肢から考える…) ●●●

肢(3)
本肢には,
重大な破庇があって建て替えるほかはない場合
との記述がありません。
 ↓
そこで…
本肢は判決文のケースには該当せず,したがって,
建替え費用相当額の損害賠償を認めていない本肢は正しい…
との見解があるようです。
 ↓
でも…
書いてないから違うケースとして考える…というのは,
どうなのでしょう?
 ↓
そんなことになったら,
過去の宅建試験で,状況設定が曖昧な問題はどうなるの?
って思ってしまいます。
 ↓
本問に限らず…
言葉足らずの問題は,頻繁に出されており,
どちらにも読めてしまうものをあげれば,キリがありません。
だから… フツー予備校では“書いてあることだけに答えよ…”,
書いてないことは気にするな…と指導しています ^_^;)
 ↓
それに,本問は近年恒例の“判決文問題”なのですから,
判決文とは違う事例として出すのであれば,
「建て替えまでは必要ない場合」
といった文言を,文章につけ加えるべきでしょう。

肢(4)
本肢は,
重大な瑕疵があるため建て替えざるを得ない場合
を前提としているため,
注文者は,引渡し時には瑕疵の存在を知っており,
したがって,すでに壊れているとわかっているのだから,
損害賠償は引渡しから1年以内とすべきだ
とする本肢は正しい…との見解もあるようです。
 ↓
ただし…
これも,相当無理のある解釈だと思っています(^_^;)。
 ↓
理由は,もうお分かりいただけると思います。
書いてあることだけに答えよ…
に反するからです。



というわけで,こちらの勝負は…
引き分け
…と考えてよいのではないでしょうか!






●●● そんなわけで結論… ●●●

以上のとおり,肢(3)の1勝,1分けで,
本問の正解は(3)…というのが,私の考えです。
 ↓
でも…
この問題,考えれば考えるほど,
(3)も(4)も…
“誤り(=正解)”ですよね(^_^;)。

ただし… もし複数正解になっても,それに伴い合格ラインが
1点アップというのはナシですよ!)
 ↓
おそらく,この問題の作成者には,
それなりの考えがあって,正解の理由はこうだ…というものを
もってはいるんだと思います。
 ↓
しかし,そんな作問者の“主観”で正解が左右されては,
たまったもんではありません。
 ↓
上記の解説を読んでいただければわかるように,
本問は,“正真正銘”の世紀の割れ問(笑)…
相対的判断といった形で正解を推測することもできず,
宅建試験の性格を考えると絶対にあってはならない問題です
 ↓
ですから…
試験団体の英断を求めたいと思います!
 ↓
それにしても…
近年,宅建試験は“悪問”が続きますねぇ(@_@;)。
なぜなんでしょうか?
 ↓
私は,35点の呪縛…がその背景にあると思っています。
 ↓
この点については,
来週末の記事で述べたいと思います。
今日の記事は… ここまでです。サンキュウで~す!)




※ あとがき
 今日の記事は,読む人によっては“なんて幼稚な解説なんだ
 と思う人もいるかもしれません…が,
 できるだけわかりやすく解説するために,あえてそのような
 文章にしましたので,ご理解いただければ幸いです(^o^)。






【制作・著作】
たっけんコム(http://www.takken.com/)代表 保坂つとむ

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