侍女見習いだけを集めて開かれた第七回会議。司会の芳官が不慣れなせいで、まったくまとまらない有り様に。果たして会議の結末は。
芳官「とりあえず、皆さんの最近の不満を教えてください」
佳惠「上の人達がケチ」
堕児「部屋にいる上級侍女でうざいのが一人いる。この前はかんざしで手刺されたし」
春燕「母親がうるさい」
柳五児「窃盗事件のことで、未だに人から白い目で見られてる」
雪雁「黛玉様の嫌味が辛い」
四児「ええとぉ…特に無いかな」
堕児「ハァ? お前今なんつった? 同じ部屋勤めなのにどういうことだよ」
春燕「何ていうか、堕児ちゃんは働きぶりが良くないんじゃ…。晴雯姉さんも、給料渡す時しか堕児ちゃんがすぐに動かないって言ってたし」
堕児「そんなの当たり前じゃん」
柳五児「どれだけ働きたくないの…。でもまあ、私がお部屋に入った時は、人が少ないのに仕事が増えてて嫌だったな」
佳惠「逆に昔は暇でしたね…。しょうもない仕事ばっかりまわってきたなあ」
芳官「今にして思えば、主人のためにスープをさましてあげる仕事とか、どんだけだよって感じですね」
雪雁「うちは紫鵑姉さんが頑張るので、黛玉様はあたしを役立たずのように思ってたみたいです」
四児「ええ、そうなんですか? 雪雁さんも結構しっかり働いてた気がするけどなあ」
堕児「うちだって似たようなもんじゃん。みんなの能力に大差はないのに、顔が良かったり家柄が良かったりするだけで出世してる奴がいるし」
春燕「あなたが言ってるのってさっきから同じ人のことだよね?」
芳官「ちなみに皆さん、尊敬してる人っています?」
佳惠「だから話題変えるの速いですって。私は、小紅姉さんかな。侍女見習い同士の時は仲が良かったし」
堕児「でも一人で抜け駆けしたよね。こんなことなら追い出される前にハンカチの件をぶちまけておけばよかった。ちなみに私は平児姐さんを尊敬してるよ。仕事出来るし、それでえばったりしないしね」
春燕「その尊敬する人から物を盗むってどういう神経なのよ!」
堕児「いや、あれはたまたまだよ。なんか置いてあったから拝借しただけ」
柳五児「か、軽いなあ。罪の意識ってないの? あ、話題戻しますけど、私が尊敬してるのは芳官ちゃんかな。私がお部屋に入るために色々口をきいてくれたし」
芳官「ありがとう。でも一緒に働けなかったのは残念だね。雪雁ちゃんは誰を尊敬してる?」
雪雁「紫鵑姉さんですね。いつもお世話になってます」
春燕「お部屋の先輩はやっぱり頼りになりますよね。私も襲人姉さんが好きです。面倒見がいいし、仕事もてきぱきこなすし」
四児「あーそれわかる! 私も襲人お姉様大好き。晴雯お姉様も刺繍が凄い上手だし、麝月お姉様も真面目な人柄が素敵だな」
堕児「お前こんな面子のいる会議でなに姉さん達に媚び売ってんだよ。いちいちムカつくわ!」
四児「別に売ってないよ。あんたって心が貧しいんだね。だから追い出されるんだよ」
堕児「お前も追い出されてんじゃん! 人のこと言えるか!」
四児「私は悪くないもん。ちょっとうっかり口が滑って冗談言っちゃって、それが運悪く奥様の耳に入っただけだし! あんたみたいに悪いことしてないから!」
堕児「腕輪の件は、あんなところに放置しとく平児姐さんが悪いんだよ!」
柳五児「とうとうおぞましい責任転嫁始めちゃった…」
佳惠「でも確かに、ここにいる人達の殆どがいい結末を迎えていないっていうのは悲しいね」
春燕「最後がはっきりしない人達も多いし」
芳官「しょせん脇役ですから」
柳五児「それは言っちゃダメでしょ…」
雪雁「あ、誰か来たよ…って、晴雯姉さんみたい!」
一同「えっ」
晴雯「コラァ、この子ブタども! こんなところに隠れてさぼってんじゃないよ!」
堕児「じゃ、そういうことで」
春燕「うわっ、逃げ足早っ!」
芳官「誠に残念ですが、邪魔が入ったのでここでお開きにしましょう。第七回侍女会議、司会は芳官でした。ではいずれまた!」
侍女見習いたち…途中でネタ切れになりました。佳惠なんてまともな出番一回きりですもんね。春燕のように結末が気になる子もいます。もっと出番があればなあ…。