出退社の挨拶って英語で何と言うの? | 翻訳かけこみ寺

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翻訳会社を経営する筆者が翻訳のことを自分の体験も含めよろずや的に語る

日本では朝、職場に行くと「おはようございます」、退社のときは「お先に失礼します」というのが礼儀です。ところで英米の会社にこのような決まりはあるのでしょうか。実はこれがありません。考えてみるとバラバラなんですね。

まず「おはようございます」は英語だとGood morning!と習いました。ところがgood morningは「良い朝」という意味ですから、相手が朝から機嫌が悪かったらbad morningになりますね。だから機嫌の悪い人にGood morning!と言ったらBad morning!と言い返されてしまうかも知れません。私は初め、英米人がMorning!と言うのを聞いて何でGood morning!とは言わないのかと思っていたことがありますが、そういう意味だったんですね。

話は飛びますが、水商売の人が夕方出勤する時、「おはようございます」と言いますよね。クラブのホステスさんなんか8時に出勤しても「おはようございます」と入って来ますよね。そのようなシーンを翻訳するとしたらGood morning! とかMorning! で良いのでしょうか。私はそれでは変だと思います。Good evening! あるいは Evening! となると思います。

Morning! は堅苦しいと言う人がいます。特に若い人同士はHi!かHey!ですね。大リーガーのイチローは本当か嘘か知りませんが、What’s up! を良く使うそうです。私のオフィスでもアメリカ人は2人いますが、朝、何にも言わないで入ってきます。

ところでGood morning! もGood evening! も別れの挨拶にも使えます。筆者の経験ではアメリカ人はあまり使わないようです。以前、あるイギリス人で個性の激しい女性と仕事の条件をめぐって言い争いが始まり、決着がつかなかったとき、I’m not interested any more. Thank you very much. Good evening! (もう関心はありませんわ。いろいろお手数かけました。さようなら) と皮肉たっぷりな冗談 (sarcastic joke) としてGood evening! を使われたのは今でも鮮明に覚えています。

今度は「お先に失礼します」です。この日本語は英訳不能です。無理やり訳せばLet me excuse me first!となりますが、「席を立ってトイレにでも行くのかしら」と思われてしまうかも知れません。

退社時の挨拶はいろいろあります。See you tomorrow! (明日またお会いしましょう)、その日が金曜日なら、See you next Monday! (月曜日にお会いしましょう)となります。あるいはHave a nice weekend! (良い週末をお過ごしください)とも言えますし、カジュアルに言いたいのならSee you later! (また後でね)、See ya! (じゃぁね)、Take care! (気を付けてね)、また冗談半分に言いたいのならDon’t work too hard! (あまり一生懸命仕事をやらないでね)などなどで、きりがありません。つまり何でもいいわけです。

ですからあるイギリス人がAs there is no rule, it’s really tough to decide what to say. (決まりがないので自分で決めるのが大変ですよ) と言っていたくらいです。このような言い方をするイギリス人もイギリス人らしいですね。