子どもの頃に、父に連れられて市内のどこかへうなぎを食べに行ったことがあるのですが、味も店内の様子も何も覚えていないのに、店先で職人さんが流れるような手つきで次々にうなぎを割いていた姿だけが記憶に残っています。
たった一度の記憶ですけど、うなぎ屋さんってそういうものだと信じておりました。
月日は流れて、そこそこ自分で稼ぐようになって自腹であちこちのうなぎ屋さんを回って気づいたのは、割きたてのうなぎを目の前で焼いてもらって食べるなんてことができるお店はめったにない、という事。
店先で活うなぎを割いている店はそこそこあるものの、ほとんどのお店は焼きの工程はブラックボックス的厨房の中ですし、関東風に蒸しの入った焼き方なのに注文から数分で「おまちどぉさま」と供される事が多くて、まぁ美味しければ文句はないのですけれども。
そういえば、以前住んでいた名古屋周辺には、注文してから焼きはじめる真っ当なうなぎ屋さんが多かった気がします。とくに「ひつまぶし」系ではないお店。
それでも、目の前で割いていただいたお店は数えるくらいしかなかったかなぁ。
大阪に転勤して来て、名古屋と同じ蒸さない素焼き文化圏なのでおおいに期待していたのですが、なぜか無意味に「関東風」の看板を掲げているうなぎ屋さんの多いこと多いこと。
大阪人、こんなんでエエんか?どないしてしもーたんや?
(いや、関東風のうなぎも、それはそれで美味しいから好きなんですけれどもね。)
そんなこんなで、困った時のGoogle先生頼み。
見つけたお店は、鶴見緑地にほど近い「うりずん」さん。沖縄料理のお店ではありません。
沖縄ご出身で、京都の老舗で修行されたというお噂のご主人が、注文を受けてから鮮やかな手つきで活うなぎを割いて、オープンキッチンの炭火でじっくりと焼きあげて下さいます。
今回は、うざく、う巻、八幡巻、白焼、蒲焼、肝焼、そしてシメのうな丼(またはうな茶漬け)のコースをいただきました。
山椒塩をつけていただく白焼が、ほむら的に大ヒット。お皿ではなく竹の皮に盛られているのもオシャレ。
そして、うなぎに泡盛ってのも初めてでしたが、これがまた合うのでびっくり。
カウンターだけの小さなお店だし、うなぎというのは「焼き待ち」の時間が長いので、客としてはなかなか入れないし、お店としては回転が悪くてつらいところだとは思うのですが。
いまとなっては「割きたての活うなぎを目の前で焼いていただける」という貴重な体験のできる「うりずん」さん、ほむらに子どもができたら絶対に連れて行って大阪のうなぎ文化を継承するのです。
…て、いったいいつの話になるのやら?
【鰻家うりずん】
06-6936-3030
大阪市鶴見区緑1-7-19
営業時間
昼 11:00~14:30
夜 17:00~21:30
定休日 水曜日
お店のサイト
http://www.unagiya-urizun.shop-web.org/