みなさんこんにちは。
ホリスティッククリニック横浜、院長のいのひろです。
昔より風邪に対して抗生剤が処方されることは減っていると感じています。
それでもまだ、「風邪に抗生剤」、「鼻水がどろってしてきたから抗生剤」、「咳があるから
抗生剤」という使われ方はされていることもあるようです。
抗生剤は菌をやっつける薬ですから、約90%がウィルス感染が原因の風邪には原則として必要ありません。基礎疾患や先天的な病気、治療で免疫が落ちているために、経過を待たずに抗生剤を使わざるを得ないお子さんもおられますので、一律に「抗生剤がだめ」とは捉えないでください。
最近は腸内環境の確立と年齢による変化について様々なことがわかってきました。腸内環境を乱す抗生剤を使うことに慎重な親御さんも増えているように感じます。
生後1年以内の抗生剤投与や幼少期の抗生剤投与が炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)の発症率を上げるという論文もあり、必要以上に抗生剤投与するのは控えたいものです。
でも、抗生剤は使うべきではないというわけではありません。
細菌感染症(が進展し重症化すると予想される)場合は、やはり必要なものです。
でも、親御さんが自分のお子さんに抗生剤が必要かの判断は困難です。
少しでも不必要な抗生剤処方を避ける為に、参考になることをお伝えしたいと思います。
診察してくれている先生に、「抗生剤は必要なんですか?」と言うのは角が立つと思いますし、実際「先生に薬はいらないと言えない」という親御さんの訴えもよく耳にします。
そこで以下のことを先生に問いかけてみてはどうでしょうか?
1.「この抗生剤は何の菌に対する抗生剤なのですか?」と聞いてみる。
もし明確な答えがなければ、取り敢えず処方している可能性があるので必要ないかもしれません。
2.もし○○菌が原因だと先生が仰った場合、「その菌を殺すのに何日飲めば菌を完全にやっつけられるのですか?」と聞いてみてください。
例えば溶連菌(※1)だったらペニシリンを10日服用することが一般的です。マイコプラズマ(※2)ならマクロライド系の抗生剤を10日程服用することが一般的です。
このようにだいたい使用する期間の目安があります。
「とりあえず3日分抗生剤処方しときますね」というのやり方は本来ありません。
でも、上の質問を投げかけ、「必要ない抗生剤を処方していると分かったから飲まない」というのも、薬処方に使われた医療費が無駄になってしまいます💦
抗生剤のことだけではありませんが、どんなことでも何でも気軽にお話ができる医者患者(保護者)関係を作ることが大切ですね
(※1)溶連菌は喉の粘膜や扁桃腺に感染して、熱が出たり、胃腸炎のような嘔吐を来したります。またまれに腎炎を起こすことがあります。抗生剤を使って治療します。
(※2)気管支炎や肺炎を起こす病原体です。最近は抗生剤が効きにくい耐性菌も増えているという報告もあります。あまり実地臨床で問題となることは少ないようですが。咳をしているとすぐマクロライド系の抗生剤を処方されているのを目にしますが、実際ちゃんとマイコプラズマを評価せずに(言い換えるとマイコプラズマではないのに)処方されていることも多いように感じています。実際、咳をしているからマイコプラズマと言われ抗生剤を処方され、親御さんもマイコプラズマだと思われている場合もあります。
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