日本刀講座☆ご報告 | 土方歳三資料館日記 (Hijikata Toshizo Museum Blog)

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土方歳三の生家跡に設けられた資料館にて運営に携わる子孫の綴る日記。

「日本刀鑑賞講座~十一代兼定をもっと知ろう!」
4月2日(土)の午前の部、午後の部が終了しました。
午前の部、午後の部、それぞれ充実した内容でしたキラキラ


講座の内容を少しご紹介いたしますね。

朝早くより苅田先生がご準備下さった日本刀は5振。
古刀2振(孫六兼元、村正)、新刀1振(大坂の華やかな刃文をこちらで鑑賞)、新々刀2振(どちらも十一代和泉守兼定です)
じゅんび1

バラエティに富み、しかも十一代作風のルーツを垣間見れるように工夫されています。

じゅんび2 

とにかく、本や展示で見るのと、自分で手にとって刃文を鑑賞するのはやはり違います。
一人一人ゆっくり鑑賞することが出来ました。
午前の部

どんな小さな疑問にも丁寧に答えて下さる苅田直樹先生。


午後は、苅田直治先生も加わり、太極拳を極められた先生ならではの、
当時の姿勢、気の置き方について興味深いお話を伺うことも出来ました。

写真に残る歳三さんの姿勢は、たとえ西洋の服を着ていても、
着物文化で育った当時の日本人そのものであると言うことです。
歳三姿勢1

西洋では、筋肉を付けて力で戦おうとするけれど、東洋では力の作用をうまく利用して戦う。
だから、西洋では胸を張って気は胸のあたり(=つまり中の丹田)にあり重心は前に来るけれど、東洋的には気は下の丹田(=おへその10㎝下くらい)にすとんと落ちていて、重心も後ろに来る。

歳三さんの写真では、座っている姿は胸や背筋を張っているのではなく、
おなかは緩んだ感じで気が丹田に落ちていますよね。
それが当時の武道を修めた人たちの姿勢(=体の使い方)だったそうです。

歳三姿勢2

歳三さんと同じ気を丹田に落とした苅田先生を、受講者の一人がめいっぱい横から押しています。
彼女はつんのめるくらい押しているけど、苅田先生は石みたいにびくともしない。

座って押す

立って行ってもそう。
建って押す

これは、押されてやってきた力をそのまま筋力で押し返そうと反発すると、すぐに姿勢が乱れてしまうそうです。向けられた力を、左足の先から逃してしまえば、良いのだそうです。

そういう体の使い方を、江戸時代までの日本人は体得していた、
というより自然に行っていたんだそうです。

現在でも、日本古来の下丹田の重心を持っている人がいて、それは「綱渡り」芸人さんだそうです。
「バランスをとる際に、胸のあたりに気をおいていると、すぐにバランスが崩れてしまう。だから、下丹田にぐっと気を落として綱を渡るんですよ。」と分かりやすい例えで教えて下さいました。



そしてこの鉢金の形。
鉢金説明
曲線なのは、なぜか?

普通は、「それは、おでこに沿って作ったら曲線になる」と考えますよね。
でも、加えて大切なポイントがあります。

この曲線が、右から受けた相手からの攻撃(衝撃)を反対側に流してくれる、
ということなんだそうです。平面だったら、額に衝撃がゴーンとくるんでしょうね。
なるほどーキラキラです。


その他にも、面白い話が次々と飛び出しました

歳三さんの事を知りたいと思ったら、単に歴史の本を読むだけではなく、
当時の文化、着る物、自然環境、食べ物、使っていた武器、
ありとあらゆる背景を知ることが大切で、
多角的に歴史を見ることが出来ると感じ入りました。





さて、鑑賞は順番ですので、待ち時間の間にはこんな貴重なものたちに触れることが出来ます。
テーブルの上

こちらは日本刀の材料となる「玉鋼」。
持ってみて、そのずっしりとした質感にびっくり。
たまはがね

こちら、なんだかお分かりになりますか?
鎖地は歳三さんの鎖帷子と全く一緒。
携帯用鎖帷子






これは、携帯用鎖帷子なんです。
これだと小さいから折りたたんで懐に忍ばせておいて、
いざというときは布で巻いて、鉢金のように額を守ることが出来ます。


こちらは日本刀の柄巻きの見本。
目貫の材質とか、目貫金具の役割など、丁寧に解説して下さいました。
柄巻き見本
講座ご参加の皆様、「目貫通り」の言葉のルーツがよく分かりましたよね…ニコニコ


柄に「鮫皮」がまかれていますよね?
こちらはその見本2種。実際にはエイの皮を使います。
エイ見本

すごいトゲ…!
このトゲを丁寧にやすりで研ぐと梅の花のような模様が現れるんですよ…
などなど初めて伺うお話が沢山…^^

エイ見本2

こちらは3段の折りたたみ構造になっている、携帯式鉢金。
携帯用鉢金

午前も午後も予定の時間をオーバーしてしまいましたが、
受講した皆様からのご質問も絶えず…キラキラ

受講の皆様、楽しんで頂けましたでしょうか?
また、今回落選された方には本当に申し訳なく感じております。
なにぶん人数が限られており、
全員の方とお会いすることが出来なかったのが残念でした。

この記事にて、少しでも当日の様子をお伝えできていればと思います。


なお、本講座は5月6日(金)にもう一度開講されます。
(申込みは終了しております。)
ご参加予定の皆様、乞うご期待星です虹

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