【読書】ツァラトゥストラ(1) | 穂積の覚書

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30歳のとき、ツァラトゥストラは故郷を捨て、故郷の湖を捨てて、山に入った。

から始まるニーチェの「ツァラトゥストラ」(丘沢静也訳/光文社)。


なんだろう、何か彷彿とさせるものがある……と思ってたら、あれでした。


人生の道の半ばで正道を踏みはずした私が目をさました時は暗い森の中にいた
(ダンテ『神曲』 平川祐弘訳/河出書房新社)


「神曲」の中でダンテが地獄に行くのって35歳くらいなんですよ。あれかね、30代ってなんかそんな感じの年なのかな。

「神曲」も面白いですよ。分かりやすい文章なら。っつか「神曲」の文語で派手に挫折したので「ツァラトゥストラ」は最初から口語を探したと、そういう経緯がありまして……。

上記の訳はお勧めですよ。ハードカバーで値段が痛いことを除けば。


道を踏み外したダンテさんと自分の意志で故郷を捨てたらしいツァラトゥストラさんはだいぶ行く道が違うわけですが、なんとなく思い出してしまう。なんだろう。

で、ツァラトゥストラさんの前口上が始まりまして、



「おお、大きな星よ! お前に照らされる者がいなかったら、お前は幸せだろうか!

(※大きな星:太陽のこと)

……これやべぇぞ。口語でも何言ってんだかわかんねぇ(爆)。

始まって5行目で忍者屋敷の絡繰にでも出会った気分です。多分遊ぼうと思ったらしばらくここで遊んでられる。聖書とか読み込んでたらもっと面白いかもしれないけどなー。

まあ、「分からない」って最大の面白さだと思うんですよ。分かる気がしない「分からない」じゃなくて、「知りたい」を伴う「分からない」の時。

あ、これただ見てるよりもっと面白いんだろうなあ、という期待を伴った分からなさは、触れてて楽しいやね。

初っ端からこんなんだと、「故郷の湖ってどこよ」とかも謎になって調べたくなって楽しいじゃない。

小難しい解説書は、その期待と謎をたくさん蓄えてからで良さそうだ。

ちなみに上記の「神曲」は事細かな解説がたくさんついてて、それはそれで面白くて好きなんだがね。あれ出てくる人がほぼわかんねぇから。でもダンテさんとウェルギリウスさんのコンビは見てて面白いんですよ! 大好きなんですよ! なんで私はここで力説してるんだ。


とりあえず反語で話しはじめるツァラトゥストラさんは回りくどい人のようだ。(笑)

この先どれくらい「分かんねぇぇぇぇ!」を突きつけてくれるか楽しみです!(爆)