平成7年夏 敦賀気比×柳川 | ほぼ日刊ベースボール

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野球選手の熱い過去や意外な背景を主な切り口に、野球への熱い想いを綴ります。

高校野球鹿児島大会で延長14回、ノーヒットノーランというゲームがあった。
延長ノーヒットノーランは高校野球の歴史でも早実の王が達成したくらい、価値ある記録である。

延長戦、投手にとって苛酷である。ともすれば終わりのない戦い、その中で高い緊張感を持続していくのは至難の業。それだけに延長の投手戦を見るのは非常に面白い。

思い出深いのは77回大会、敦賀気比と柳川のゲーム。
柳川の投手は現在ヤクルトで活躍している花田真人、敦賀気比は現在JR東海で活躍している内藤剛志。両投手とも当時の高校球界を代表する投手で、非常に見応えのある投手戦だった。

140キロのストレートを中心にバランスのいい花田に対して、切れのいいストレートと縦に鋭く割れるカーブの内藤。全く互角のゲーム。結末はロッテを辞めた敦賀気比・飯田の犠牲フライで2対1のサヨナラ、延長15回の死闘だった。

この時、柳川の野球部長は女性部長。女性指導者が初めて甲子園のベンチに入るということで実は話題だった。しかも大会期間中に遊びの卓球でアキレス腱断裂、松葉杖を突いてのベンチ入りだった。

花田は肘痛のため春先くらいまで投げられず、野球ができない苦しみを味わったという。その時の支えがその女性部長、意地でも勝ちたかったのだろう。
対する内藤も、決して大きくない体ながら、得意のカーブのせいで潰れるマメを根性焼きで固めながらエースの座を死守してきた。

そんな両投手の意地のぶつかり合いが、最高の投手戦へと昇華したのがこのゲームだったのだろう。あれだけの投手戦はなかなか見れない、貴重なゲームだった。

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