無翼の天使96 | 恋愛小説 くもりのちはれ

簡単にパパの監視を回避できるなんて思ってないけど・・・


でも、今日は何としても慶人の傍を離れたくない。


きっと弱い部分を曝け出しちゃう事、慶人はイヤだろうけど、それでも・・・


そんな時だから、傍にいたい。


『なっ、何?どうした?真菜?シチュー作るんじゃねぇのか?


フッ・・・真菜、心配しなくてもいいよ。俺は、大丈夫だから・・・』


部屋に入ってすぐ、背中から抱きつく私に一瞬だけ驚きはしたものの


いつもどおりの優しい声で、いつもどおりに私を安心させようとする慶人。


『心配してくれたのなら、嬉しいけどさ・・・このままだと真菜の顔も見れねぇし


それに・・・俺にも理性の限界はあんだよ。』


慶人が、スーパーで買ってきたシチューの材料を床に置き、身を翻そうとするから


「ダメ。振り向かないで!ちょっと待って。もう少しだけ・・・」


少し大きな声で静止する。


あぁ・・・ドキドキが止まらない!どうしても高鳴る鼓動が治まらない。


今から私がしようとしてる事は、私にとって人生最大の一大決心なのだから、


もちろん完全に治まるはず無い。


「はぁ・・・ふぅ・・・」


声に出るほどの深呼吸の様な息をして・・・そして・・・


目を閉じて決意を告げる。


「私・・・そのつもりで来たんだよ。あのね、慶人・・・慶人だけじゃないんだよ。


私にも理性の限界があるんだよ。


大好きな人が、寂しい思いをしてる時は、隣にいたい。


けど・・・居るだけじゃなくて・・・もっともっと近づきたいし、慶人に触れたい。


そして私って存在で慶人を、暖めたいし、癒したいし・・・もう何て言えば伝わるかな?


私が誰よりも近くにいる事、感じて欲しい。


解ってるの・・・パパとの約束やお兄ちゃんの事も・・・色んな事、考えて・・・


慶人が、私を大事に・・・大切にしてくれてるって。


だけど・・・私・・・もっと慶人を知りたい。だから・・・えっと・・・えっと・・・


私、愛されたいっ!


慶人の背中の温もりを感じながら、慶人にも私の温もりを感じて欲しいって思う。


『ハァ・・・』


深い深い溜息・・・固まったままの慶人。


「慶人・・・」


もしかして・・・引いた?私の爆弾発言に引いちゃった?


恐る恐る俯く顔を覗いてみる。


けど・・・慶人は、目を瞑ったまま、何も話さない。


愛されたいっなんて、言っちゃったけど・・・もしかして肝心な事、伝わってない?


「慶人・・・あっ・・・私・・・言わなくても伝わってると思ってたけど・・・もちろん・・・


愛されたいって思いよりも・・・もっと、もっと・・・慶人の事、愛してるよ!」


そう慶人に会うまで、こんなに誰かを好きになれるなんて思って無かったよ。




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