君の存在がすべて10(恋予報 壱&佐和 徹&真由) | 恋愛小説 くもりのちはれ

『そのまま・・・はいっ・・・あぁ・・・だからですねぇ、微笑んで!


あぁ・・・口角を上げて・・・そうじゃなくて、綺麗な顔が台無しじゃないですか!』


シャッター音と眩しいフラッシュに、あぁ、もう・・・ホントうんざり。


ここは、大学の理事長室。


目の前には、数人の記者とカメラマン。


以前、壱が蹴飛ばした大きな理事長の机に肘をついて、溜息を吐く私。


『ダメだよ。これで疲れてるようじゃ、今日中には終われないよ。』


なぜか私の秘書と化した真由ちゃんが、スケジュール帳を見ながら呟く。


眼鏡なんて掛けてたことないのに、スーツに髪を束ねて・・・如何にもできる女風。


真由ちゃんの事もそうだけど、ここに座らなきゃいけないって事が、いまだ納得


できない。


とにかく壱のお母さんったら、離婚をするが為に後継を急いだみたい。


で、あんなお披露目が正式な引継ぎだったと言い放ち、私を理事長室に呼び


出してすぐ姿を消した。それから一週間。


根回しは完璧で、逃げられない状態に持ち込まれた。


学生であるのに、理事長・・・そんな私は、知らないうちに世間の注目を浴びてて、


壱の言うところの完璧に嵌められたって事みたい。


でも、こんなはずじゃなかったのよ。


あの日、あの場から壱と二人うまく逃げ帰ったはずだった。


壱も『これ以上、悪くはしない。』なんて言ったのに・・・


少し感づいてはいたけど、やっぱり事は簡単に納まらない。



カシャッ、パシャッ・・・


まさに納得いかないって表情を撮られ続けて数十分。


『好きな食べ物は?』


「黒豆」


『趣味は?』


「うーん・・・読書?」


『好きな色は?』


「桜色」


『好きなタイプは?』


「・・・」


これって何?まるでお見合いじゃん。


理事長職に何の関係もない質問だと思うけど?


「あの少し休憩しても良いですか?」


『はっ?まだ何も始まってないのと同じなんですが?』


イヤイヤ・・・さっきから適当に質問してるじゃん。


『タイプは、やっぱり・・・壱さんですか?』


「・・・」


ほら、やっぱり理事長職に何の関係もないじゃない。


「あの・・・トイレ行ってきます。」


最終手段は、コレしかないでしょ?やっぱり逃げちゃう?


だけど私、このままだとホントに理事長にされちゃうよ。


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