無数の中の~42 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『それって・・・幼馴染って・・・小さい時から近くに居たって事なのよね?』


「あ・・・ううん・・・そういう感じだけど・・・」


『そっか・・・そうなんだ・・・はぁ・・・ふふふ・・・ははは・・・笑える。』


彼女の頬には、さっきまでの涙の跡が残る。なのに突然、壊れたように笑い出す。


とは言っても、何だか投げやりな感じの笑い声ではあるけど・・・


一体、何が笑えるの?


「あのぉ・・・私、もう行っても良いかな?そろそろチャイムが鳴ると思うの。


チャイムが鳴った後だと、ココからだと走らないと間に合わないでしょ?」


教室に続く廊下に顔を向けると、廊下に佇む昨日の彼と目が合う。


うわぁ・・・朝から飽きもせず、ホント尚斗君に忠実なんだ。


彼女は、彼の存在に既に気がついていた様で、またクスッっと笑い


『アンタの事、一度だけ聞いたことがある。』


そう言って、短い前髪を触る。


『はぁー・・・結局、出会いの早さ?じゃ、アンタに勝つためには前世で逢ってなきゃ


駄目だったんだ・・・無理だし・・・てか、アイツこんな風に人の彼女の見張りばかり


して楽しいのかな?人の髪の毛、何の躊躇もなくバッサリとカッターナイフで切って


おきながら、よく平気な顔していられるよ。そんなアンタも、アンタよ。


昨日の今日なのに、簡単に警戒もせず、どうしてついてくるの?今度は何されるか


わかんないじゃん。あぁ、もう・・・さっさと行って。聞きたい事は聞いたから。』


幼馴染という答えで、納得できたって事なんだろうけど、彼女の聞きたかった事って


私と尚斗君の関係だけ?


「あの・・・髪の事なんだけど・・・・私と関わったせいだと思うから、ごめんなさい。」


そう言って彼女に背を向け、慌てて駆け出した私に向かって彼女が叫ぶ。


『やった後に、高宮さんの一番は誰?って質問したの!絶対に真実を答えてって!


立ち止まり振り替える。


『高宮さんの答えは、幼い時から一番の存在はココにあるって、胸に手を当てた。


叫びながら、私の前に来た彼女。


『何をどうしても変わらない変えられない運命なんだって言ってた。私を諦めさせる


嘘だと思ってた。だからアンタも直ぐに捨てられて終わりだって、そう言ってやろうと


思ってたのに・・・無理じゃん。出会いの早さは、どう足掻いても勝てないじゃん。


さっき貸したハンカチを差し出す。


でもね、私はまだ序の口だから・・・簡単に呼び出されて出て行っちゃ痛い目


見るから・・・あぁ、もう私・・・何、言ってんだろ・・・とにかく、気をつけるのね』


私がハンカチを受け取ると、彼女は先ほどとは違う優しい笑顔を見せて、


立ち去った。


えっと・・・これって・・・もしかして・・・彼女は、私を認めてエールしてくれたって事?



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