〝間違いなく、瑠奈と芹沢っちの関係は、単なる仲の良い友達〟
幾分省略するけど・・・そんな風な話をすると、お兄ちゃんは、突然立ち上がる。
「あっ・・・えっ?・・・お兄ちゃん、もしかして今から、瑠奈ん家に行くの?」
瑠奈の部屋に押しかけて、とうとう瑠奈に告白?!
『家に行くわけねぇだろ。九条のオッサンに何されっか・・・いくらなんでも・・・
俺は、あの人に目付けられて、生きてられる自信ねぇから。』
そっか・・・そうだよね。
九条のおじさんは、凡人であって凡人じゃないもの。
私のパパと親友なだけあって、溺愛も溺愛・・・娘に対する愛情の深さは計り知れず
海よりも深く・・・深く・・・深く・・・地球の裏側行っちゃうって感じだもの。
『真菜、俺帰るけどお前は?残って、俺が中断しちまった修羅場の続きすっか?』
そんなお兄ちゃんの言葉に反応したのは、私ではなく彼女改め爆弾女。
『一緒にさっさと帰りなさいよ。高宮のお嬢様が、海藤となんて付き合ったりしたら
お父様がお泣きになるんじゃありません?フフ・・・世界が違うでしょ?
知られたら、どうなるか解らなくてよ・・・オホホ・・・フンッ・・・まったく・・・
やっぱり最初から話がかみ合わないはずよね。
身分が高いお方には、たまたま生まれてきた家のせいで、酷い目にあうなんて事
ないでしょうから。世界がまるっきり違って、きっと話す言葉さえも、まともに通じ
なくなるのねぇ・・・エントランスでも言葉が理解できなかったのは、そういうこと
だったのね。あぁ、でもホント顔見てるだけで、腹が立つ。
私、チヤホヤされてるアンタみたいなお金持ちのお嬢様、世界で一番嫌いだから。
もし帰らないなら、慶人がどう言おうと私、海藤の組の人達に頼んじゃうから。
こっちは、危ない事はプロだから・・・ねっ、言ってる意味わかるでしょ?
だから早く私の視界から消えてくれない?
ほら、怖い思いする前に、帰りなさいよ。で、2度と慶人に近付かないで。』
お兄ちゃんが居るにも関わらず、彼女は、興奮気味に私に叫ぶ。
そうなんだぁ・・・彼女は、まるで私と同じ。同じような事で苦しんだ人なんだ。
だからなのかな・・・悪く思えないって感じたのは。
『なぁ・・・慶人・・・この女、もしかしてお前の血縁?
まさかお前、そんな女ともやっちゃってんの?おいおい、そこまで見境無いと
やべぇだろ。真菜、やっぱコイツはダメだ。きっと病気持ちだわ。
あっぶねぇ!九条どころか親父も敵に回すトコだったじゃねぇか。
真菜、帰るぞ。マジ危ねぇ・・・真菜、ほら急げ。慶人、真菜を口説き落とす前に、
病院行って来い!じゃあな。』
顎で私に付いて来いという仕草を見せて、お兄ちゃんがリビングを出て行く。
「うわっ・・・えっ・・・あっ・・・」
私は、残るべきなのか、着いてくべきなのか・・・もしかして・・・神様、試してる?
昔の私の優柔不断が直ったどうか、コレは神様の仕組んだテストだったりする?
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