無翼の天使43 | 恋愛小説 くもりのちはれ

〝間違いなく、瑠奈と芹沢っちの関係は、単なる仲の良い友達〟


幾分省略するけど・・・そんな風な話をすると、お兄ちゃんは、突然立ち上がる。


「あっ・・・えっ?・・・お兄ちゃん、もしかして今から、瑠奈ん家に行くの?」


瑠奈の部屋に押しかけて、とうとう瑠奈に告白?!


『家に行くわけねぇだろ。九条のオッサンに何されっか・・・いくらなんでも・・・


俺は、あの人に目付けられて、生きてられる自信ねぇから。』


そっか・・・そうだよね。


九条のおじさんは、凡人であって凡人じゃないもの。


私のパパと親友なだけあって、溺愛も溺愛・・・娘に対する愛情の深さは計り知れず


海よりも深く・・・深く・・・深く・・・地球の裏側行っちゃうって感じだもの。


『真菜、俺帰るけどお前は?残って、俺が中断しちまった修羅場の続きすっか?』


そんなお兄ちゃんの言葉に反応したのは、私ではなく彼女改め爆弾女。


『一緒にさっさと帰りなさいよ。高宮のお嬢様が、海藤となんて付き合ったりしたら


お父様がお泣きになるんじゃありません?フフ・・・世界が違うでしょ?


知られたら、どうなるか解らなくてよ・・・オホホ・・・フンッ・・・まったく・・・


やっぱり最初から話がかみ合わないはずよね。


分が高いお方には、たまたま生まれてきた家のせいで、酷い目にあうなんて事


ないでしょうから。世界がまるっきり違って、きっと話す言葉さえも、まともに通じ


なくなるのねぇ・・・エントランスでも言葉が理解できなかったのは、そういうこと


だったのね。あぁ、でもホント顔見てるだけで、腹が立つ。


私、チヤホヤされてるアンタみたいなお金持ちのお嬢様、世界で一番嫌いだから。


もし帰らないなら、慶人がどう言おうと私、海藤の組の人達に頼んじゃうから。


こっちは、危ない事はプロだから・・・ねっ、言ってる意味わかるでしょ?


だから早く私の視界から消えてくれない?


ほら、怖い思いする前に、帰りなさいよ。で、2度と慶人に近付かないで。


お兄ちゃんが居るにも関わらず、彼女は、興奮気味に私に叫ぶ。


そうなんだぁ・・・彼女は、まるで私と同じ。同じような事で苦しんだ人なんだ。


だからなのかな・・・悪く思えないって感じたのは。


『なぁ・・・慶人・・・この女、もしかしてお前の血縁?


まさかお前、そんな女ともやっちゃってんの?おいおい、そこまで見境無いと


やべぇだろ。真菜、やっぱコイツはダメだ。きっと病気持ちだわ。


あっぶねぇ!九条どころか親父も敵に回すトコだったじゃねぇか。


真菜、帰るぞ。マジ危ねぇ・・・真菜、ほら急げ。慶人、真菜を口説き落とす前に、


病院行って来い!じゃあな。』


顎で私に付いて来いという仕草を見せて、お兄ちゃんがリビングを出て行く。


「うわっ・・・えっ・・・あっ・・・」


私は、残るべきなのか、着いてくべきなのか・・・もしかして・・・神様、試してる?


昔の私の優柔不断が直ったどうか、コレは神様の仕組んだテストだったりする?




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