無翼の天使42 | 恋愛小説 くもりのちはれ

「芹沢?芹沢・・・んーっと???」


私の知るところの、芹沢って名前の人物は、たった一人だけ。


だけどねぇ・・・芹沢っちは、無い。


奴は、どう考えても・・・お兄ちゃんに目を付けられる様な人物では、無い。


逆に嫌厭されるくらいのキャラの持ち主で、お兄ちゃん的に、絶対近寄りたくないと


思うだろう人物だからお兄ちゃんの言ってる芹沢は、別の芹沢なんだと思う。


『何処の誰かって事は、解ってる。家も学校も、とっくに調べはついてる。』


「はぁ?だったら私に聞かなくても、いいんじゃないの?」


『だから、それでも解んねぇ事があるから、わざわざ来てんだろうがっ!』


あらら・・・さっき言ってなかった?自分は温厚だって。


めちゃくちゃ短気じゃん。


『だから、真菜なら解んだろ?お前の知ってる芹沢って奴の話、聞かせろよ。


お兄ちゃんは、なぜか罰悪そうな表情。


何?初めて見るんですけど・・・こんなお兄ちゃん。


てか、もしかして・・・もしかすると・・・うそぉ・・・お兄ちゃん、そっちもOKなの?


まさかね・・・まさかだよね。


「お兄ちゃんの言う芹沢って、芹沢っちの事?」


『芹沢は芹沢だっつうの。』


「下の名前は?誰君?誰ちゃん?」


私の知ってる芹沢っちは、芹沢っちであって、誰ちゃんでも誰君でも無いんだけど。


『男。』


「あぁ・・・じゃっ、やっぱ芹沢っちだね。で、芹沢っちの何が知りたいの?


知り合いって言っても、同中でもないし、ただ塾が一緒だっただけだけど・・・


あっ、今は・・・あぁ・・・そうか・・・そうなんだぁ・・・そういうことね。」


私だけが納得の話に、お兄ちゃんだけじゃなく、隣に座る慶人も、未だドア付近で


佇む彼女も、3人揃って一斉にイラつきを口にする。


『真菜、言葉にしろ!』『解るように話せ!』『ちゃんと話しなさいよ!』


お兄ちゃんの顔を覗き込んで、良いの?って目で確認する。


『良いから、さっさと話せ!』


うわっ、通じた。


やっぱり血の繋がりって凄いんだぁ・・・なんて感心してる場合じゃない。


「お兄ちゃんの聞きたい事って、瑠奈?瑠奈と芹沢っちの関係?」


私の質問に、無言で頷くお兄ちゃん。


その様子を見ていた一番関係の無い彼女が、今まで私が10年以上も遠慮して


触れずにいた事を、さらりと口にする。


『へぇー・・・高宮さんみたいな人でも、普通に片思い?見かけによらず純なんだぁ。』


彼女は頭が良いって前言撤回!


お兄ちゃんに、至上最大級の爆弾を投下するなんて、空気読め無すぎでしょ?


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