出逢い3 | 恋愛小説 くもりのちはれ

兄の事を散々リサーチ掛けて、もう聞くことも無くなった萌ちゃんたち。


今日の話題は、アレから仲良くなった陽君の事。適当に合わせて、適当に笑う。


だけど・・・今日は、教室の中の空気が澄んでる気がする。


それがなぜなのか?教室を見回してみると、背の高い男の子と目が合う・・・たぶんあの彼だ。


んっ?あの人?


いつもの様に切り替えて彼を観る・・・けど何も観えない・・・うわぁ・・・凄い!


私は、観えないことが嬉しくて、彼に向かって微笑んでしまう。


そのせいかどうかは解らないけど、彼は突然ふらついて、机の上のトランプを撒き散らしながら、


思い切り倒れこんだ。


ごく稀なことだけど、現実の世界の人の中に何も観えない人が存在する。


理由はわからない・・・けど、私の中で観えないって事は、とても特別な事。


ましてコレまで同じ年代の子の中には、一人もいなかったから、彼はホントに凄い。




私自身の人と違った能力は、生まれ持ったもの。


だから現実には、存在しないモノや光は全ての人が同じように見えているんだと、思ってた。


自分は普通の人とは違うなんて、まさか自分だけが特殊な能力持ってるなんて・・・


ホント考えもしてなかった。


左目の視力が殆どなく、右目だけで世界を見ているって事が解った時、両親は凄く驚いた。


見えていないにも拘らず、事細かく色んな事を把握している私の事、最初は奇跡の娘みたいに


思ったようだけど・・・


結局、頭が特別できるわけでもなく、姉と兄と比べても秀でたところは皆無だと解ると、私の事は


ただ霊感の強い子だと認識したようだ。


だから、いつも何気なく発する私の不可解な言動に、母は困惑気味で私を黙らせた。


『人には言っちゃ駄目よ!変な子だって思われちゃうからね!』母の口癖。


今思えば、母自身どうすれば良いのか、悩み苦しかったんだろうと思う。


だから、私は一切観えるモノの話をしなくなった。


そして、兄をめぐる事で起きた親友の裏切り、初めて好意を持った男の子の姉とのトラブル


馬鹿な私は、何度も信じては裏切られた。


真実の光と真実の言葉が、私にだけ観えていたのに・・・聴こえていたのに・・・


ソレを信じなかった結果は・・・私の心の中をズタズタにした。


完璧なまでの兄と姉・・・全て劣る上に、どうしようも無い消せない特殊な能力を持つ私


私は、私が嫌いになった。


でも、その感情とは別に、私は、私にだけ観えるモノを信じるようになった。


信じられない世界の中では、私は私を演じるようになり、分厚い仮面を被った。


心開く友達も作れない、心から人を好きになれないかも知れないけど・・・それは凄く楽だった。


だから、そうやってコレからも・・・無難に仮面を被って・・・と、思ってたのに・・・


『ユイカワ君が、雪菜ちゃんのメルアド教えてって言ってるみたいなの・・・陽君のお願いなんだ。


だから、お願い!私、陽君に何とかするって言っちゃったから・・・ねっ、良いでしょ?』


最初は、観えない彼が、ユイカワ君だとは知らなかった。


だけど・・・観えない人の存在・・・ユイカワ君が、私の決意を揺るがす事になる。


※スミマセン・・・ラブコメとか言ってたのに・・・めちゃくちゃシリアスじゃん!

 必ずラブラブなラブコメに・・・なるように、一様の努力はしますので・・・??

 しばらく黙ってみててください・・・お願いしますっ。rikoより


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