出逢い2 | 恋愛小説 くもりのちはれ

「イヤ・・・私の方こそゴメンネ・・・でも誤解されちゃ、陽君に悪いから・・・ホントごめんね」


そう萌ちゃんに謝ったけれど、周囲の皆は、私のらしからぬ態度に疑いの眼差し


「えっと、あのね・・・ホントに私、好きになったこととか無くて・・・だから・・・」


何とかその場を繕おうとする私・・・そんな私の言葉を断ったのは、相川さん。


『あなた達とは次元が違って、お兄さんを毎日見てるから、目が肥えてるんだよね。


フッ・・・正直、騒ぎすぎなのよ。


たいした事無い並みの上ぐらいの面にさぁ、キャーキャー言ってるのって、ホント目障り耳障り


その会話、馬鹿っぽいから止めてくんない?城田さんも内心そう思ってるでしょ?』


はいっ!?


うっそぉー危ない・・・ちょっと、うっかり頷いちゃうとこだったじゃない。


「そんな事ない・・・思ってないよ・・・」


『アレ?そんな顔してたけど・・・私の勘違い?』


見透かしたように笑う彼女・・・もしかして私と同じなの?見えてるの?


『結局、人間って無いものねだりだからね・・・綺麗なものに囚われる気持ちは、あなた達の


顔みれば解らなくも無いけど・・・城田さんだけ、浮いてるよ。フッ』


『なんなの!ちょっと雪菜ちゃん、無視無視・・・あっちに行こう!』


萌ちゃん達が席を立ち廊下へと出て行くから、私もすぐに追いかける。


『城田さん、無理して笑ってるでしょ・・・フッ、まっ私に関係ないけど・・・』


背中越しに掛けられた言葉は、私の胸を突く。廊下に出る前に振り返ると・・・


相川さんは、さっきの出来事が無かったように、静かに本を読んでる。


私の中のスイッチを切り替えて観る。


彼女には、赤と銀の光・・・彼女は攻撃派で、そして現実主義者。


悪い人ではないんだ・・・きっと私と気が合う。でもね、仮面を取る気は無い。


『相川さんってさ、なんか大学生の彼氏がいて、遊びまくりの遊ばれまくりって噂だよ。』


相川さんの悪口の様な噂話は、3日程続いた。


そしてグループの一人が〝剣道をするお兄ちゃんに恋に落ちた〟と宣言したことで、


また分厚い仮面を被る事になる私。


兄目的で私に近付く女の子達の心の中は、私と友達だって感情は無い。


利用価値のある人間として、仲良しを装う。それが解っていて過ごす日々が、又、始まる。


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