「イヤ・・・私の方こそゴメンネ・・・でも誤解されちゃ、陽君に悪いから・・・ホントごめんね」
そう萌ちゃんに謝ったけれど、周囲の皆は、私のらしからぬ態度に疑いの眼差し
「えっと、あのね・・・ホントに私、好きになったこととか無くて・・・だから・・・」
何とかその場を繕おうとする私・・・そんな私の言葉を断ったのは、相川さん。
『あなた達とは次元が違って、お兄さんを毎日見てるから、目が肥えてるんだよね。
フッ・・・正直、騒ぎすぎなのよ。
たいした事無い並みの上ぐらいの面にさぁ、キャーキャー言ってるのって、ホント目障り耳障り
その会話、馬鹿っぽいから止めてくんない?城田さんも内心そう思ってるでしょ?』
はいっ!?
うっそぉー危ない・・・ちょっと、うっかり頷いちゃうとこだったじゃない。
「そんな事ない・・・思ってないよ・・・」
『アレ?そんな顔してたけど・・・私の勘違い?』
見透かしたように笑う彼女・・・もしかして私と同じなの?見えてるの?
『結局、人間って無いものねだりだからね・・・綺麗なものに囚われる気持ちは、あなた達の
顔みれば解らなくも無いけど・・・城田さんだけ、浮いてるよ。フッ』
『なんなの!ちょっと雪菜ちゃん、無視無視・・・あっちに行こう!』
萌ちゃん達が席を立ち廊下へと出て行くから、私もすぐに追いかける。
『城田さん、無理して笑ってるでしょ・・・フッ、まっ私に関係ないけど・・・』
背中越しに掛けられた言葉は、私の胸を突く。廊下に出る前に振り返ると・・・
相川さんは、さっきの出来事が無かったように、静かに本を読んでる。
私の中のスイッチを切り替えて観る。
彼女には、赤と銀の光・・・彼女は攻撃派で、そして現実主義者。
悪い人ではないんだ・・・きっと私と気が合う。でもね、仮面を取る気は無い。
『相川さんってさ、なんか大学生の彼氏がいて、遊びまくりの遊ばれまくりって噂だよ。』
相川さんの悪口の様な噂話は、3日程続いた。
そしてグループの一人が〝剣道をするお兄ちゃんに恋に落ちた〟と宣言したことで、
また分厚い仮面を被る事になる私。
兄目的で私に近付く女の子達の心の中は、私と友達だって感情は無い。
利用価値のある人間として、仲良しを装う。それが解っていて過ごす日々が、又、始まる。
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