彼気に花を2 | 恋愛小説 くもりのちはれ

夏&奈津


『和倉先生、どうしたんすか?最近、良くココで黄昏てません?


恋っすか?ははっ・・・な、わけ無いかっ。


そうだ噂っすよ!近藤先生が、すっぽかしたお見合いを先生が代理になったとか


何とか・・・いや、そんな目で睨まないでくださいよ。保険医の室田がコソコソ話してる


の聞いちゃった生徒がいたみたいで、知らない奴いないですって。


でも、本当なんすか?何か先生に見合いっちゅうものは似合わないけどな。』


体育館から水飲み場に続く踊り場に、少し腰掛ける事の出来る出っ張りがある。


部活が終わり、部員達の着替えを待つ間の俺の定位置にやって来て、声を掛けて


たのは、1年でレギュラー入りが決まってる来栖 涼(くるす りょう)。


練習中、何処からか見学に来る多数の女子の視線は、殆どコイツに向かってる。


『アレッすか?やっぱり、本日はお日柄も良くなんて感じなんすか?』


見合いネタが、そんなに気になるのか?面白い話でもないだろ・・・


俺は返事を返さずフッと笑ってみせる。そして不意に視線を向けた、水飲み場。


小暮が、こちらに向かって歩いてくる。拗ねたような表情・・・どうしたんだ?


『あっ、やべっ!悪い、奈津っ・・・待ったよな?先生、さっきの話は、明日聞かせて』


来栖が、小暮に向かって駆け寄り、謝りながら小暮の鞄を持つ。


何だよ、彼氏いないなんて嘘つきやがって・・・二人の姿に無性にイラつく・・・


『涼、あんな解りやすいのになぁ・・・小暮に全然通じてないって有りか?』


『従兄妹なんだろ?お兄ちゃんぐらいにしか思われて無いんじゃねぇの』


『でもよ、従兄妹ってさ結婚できるよな?』


『まぁ・・・小暮もそのうち気付くだろ。鈍感もあそこまで行くと犯罪だって。』


小暮たちが帰った後すぐ現れた数人の部員の話に、なぜかホッとしてる俺。


部員が全員帰った後に、体育館を閉めたと同時に届いた小暮からのメールは、


決して彼女が、鈍感ではない事に気付かされる。


〝先生、私は罪人です。でもね、捕まるわけにはいかないんだ。


だけど、先生にだったら両手を差し出すよ。そっか・・・それも罪になるんだね〟


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