彼気に花を3 | 恋愛小説 くもりのちはれ

夏&奈津~


『うそっー・・・和倉っちが、お見合い?』


お昼休みの教室、先生の噂が飛び交う。何ものどに通らない・・・お弁当の中身を


そのまま蓋をする私。自分でも此処まで重症だって、思ってもなかった。


あの夏の日、先生に突然キスされて凄く動揺したけど、先生の言葉に深く傷ついた


けど・・・避けられた事で逆に、先生も『もしかして?』なんて少し期待を持った。


なら、がんばって見るのも無駄じゃないなんて、自分の気持ちに正直になろうなん


て考えて、送り続けるメール。返信は一度も無い。でも、先生が迷惑だと言うことも、


制止する事も一切無いから、少し期待を持ってたのに。フッー溜息は止まらない。


すると突然、項垂れる私の横に座った涼君。


『何?奈津も、和倉っちの事がそんなにショックなんだ?なぁ・・・男は顔か?


だったらさ、別に俺でもいいじゃん?ほら、俺もなかなかだと思わねぇ?


和倉っちからしたら女子高生なんて、子供で相手にならないってさ。


ほらモテモテの俺が、奈津で手を打ってやるって。悪く無い話だろ?』


涼君は、お母さんの姉の子供・・・まぁ言うと従兄妹。幼い時から兄妹の様な関係の


私達、冗談でも考えられない。


「何言ってるのよ。ちょっと体調が優れないだけだって。和倉先生の話なんて私には


関係ないもの。」


『へぇー、そっか・・・だったら良いけど。』


「そうだよ、数学嫌いな私にとって、数学教師は天敵なんだから・・・」


『あっ、それより今日、韓流スターが来るとかで、母さんウキウキでお出掛けなん


だ。夕飯奈津の家で食えって言ってたから、部活終わったら下駄箱で待ってろよ。


一緒に帰ろうぜ。』


「うん、わかった。」


『ほら、コレでも舐めとけ。何も食って無いだろ。』


飴を一つ私の眼の前に置いて、涼君は教室を出て行く。


そんな私達の話を聞いてた前の席の麻奈が、振り向きニヤリと笑う。


『そろそろ、本気で考えてあげなって!来栖君、どう見ても奈津ちゃんに本気だよ。


クラス違うのに、毎日昼休み奈津ちゃんに会いに来てるでしょ。ご飯食べてないのに


気付くなんて、ほら飴も、優しいじゃん。


顔も良し、性格も良し、スポーツも勉強もできる・・・パーフェクトじゃん。


妥協とかじゃなくて、理想じゃん!奈津ちゃんも、本当は満更じゃないでしょ?


あぁー何だか無性に腹立ってきた・・・いい加減鈍感ぶるのは辞めなって。


まったく罪作りな女だよ・・・』


私が、罪作りなら・・・先生は、もっとだよ。私に散々、期待を持たせておいて・・・


お見合いだなんて・・・。今日のメールは、強烈な嫌味にしてやるぅ・・・なんて考えて


る時点で・・・悲しいかな、飽きもせず今日も私はメールを送るつもりでいる事に


気がつく。


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