壱&佐和 出会い編7~
『あれっ?あぁー俺、もしかして邪魔?!』
壱が私の肩を抱いた状態な事に気が付いた寛ちゃんは、
『壱っ、佐和は美人だし大人しそうに見えっけど、かなり手強いぞ』
壱をからかう様にニヤリと笑う。何言ってくれてるのよぉ・・・恥かしい。
とにかくこの状態だと寛ちゃんの良いネタになっちゃう!
私は、身体をゆっくり動かして、少しずつ壱との距離を広げた。
その事に気が付いた壱が、腕を伸ばし私の肩を掴み引き寄せる。
『逃がさねぇから!お前は、俺のモノにする。』
すっぽりと壱の腕の中に納まった私を見て、寛ちゃんが呆れたように笑う。
『まっ、好きにしてくれっ・・・それより骨折ったんじゃねぇの?』
寛ちゃんは、突然の連絡を受け慌てて家の玄関を出たところを、壱の仲間に拉致
られココまで連れて来られたらしい。
「寛ちゃん、ここ動物病院だよ。」
『ははっ・・・佐和、お前動物病院で診察受けたの?』
勘違いもいい加減にして欲しい・・・
「だから、私じゃなくて『骨折は壱か?お前にしちゃ下手打ったんだな?
それにしても猛獣扱い?ははっ笑えるっ!はははっ腹いてぇ!!』
私を抱く壱の腕の力が強くなり、少し苦しい・・・もしかして怒ってる?
「寛ちゃんっ!ポン太が・・・あっ・・・骨折は、犬だから。壱でもないから!」
『へっ?』自分が仕掛けた子犬の散歩の事もすっかり忘れていたらしい。
『あぁ、あの犬ね、あの犬が骨折したのか・・・なんだ笑い損じゃん。
アレっ?じゃあどうして俺、わざわざこんなトコに連行されたんだ?』
『寛治っ!』
突然、壱が真剣な表情で叫ぶからか、寛ちゃんは困惑顔。
『てめぇは、コイツに本気で惚れてねぇのか?手も出さないほど本気なんじゃねぇ
のか?フッ・・・お前に少し遠慮する気持ちを持った俺が、馬鹿だった。
寛治、他の男に抱かれてんのにヘラヘラ笑っていられるくれぇなら、遠慮なく俺が
コイツを貰う。文句は一切受け付けねぇから』
『・・・』
壱が何を言っているのか理解するのに、少々時間が掛かった寛ちゃん。
『佐和、お前やっぱりスゲェ・・・壱に、こんなセリフ吐かせるなんてよ・・・
一体どんな手使ったんだ?やっぱ理穂の妹だけはある。でも・・・良いのか?
壱は、ただの不良じゃねぇぞ・・・それに・・・女は黙ってても寄ってくる・・・
お前の追い求めてきた王子様とは、かなり住んでる世界が違うぜ。』
突然お兄ちゃんモードに切り替わった寛ちゃん・・・今度は壱が困惑顔だ。
ポチッ↓としてくれると嬉しいです♪
目次
/