ある青年の誤解5 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『フフフッ・・・トドちゃん♪イケメンなのに・・・玉砕?』


休憩に入った俺が、事務所奥の休憩室に入ると同時・・・亮子の弾む声。


「うっせー。トドって呼ぶなって何度言ったら、分かんだよっ!」


壁の隅の折りたたみ椅子に不機嫌に座った俺を、からかう様に亮子は続ける。


『パートの金子さんに聞いちゃった♪あの二人の事・・・知りたい?』


聞きたいでしょ?と表情が嬉しそうな亮子は、机の上のお菓子の入ったかごの中


から飴を二つ摘まみ、俺に一つ投げてくる。それは、あの・・・チェリー飴。


『あまーい二人なんだって。高校生の時から、週一でココでデートしてるんだって』


高校生・・・そんな付き合い長いのか・・・


『なんかね、幼馴染ってやつ?それで・・・そのままカレカノ?って感じなんだって』


幼馴染って・・・俺もあんな幼馴染がいたら・・・そりゃあ、そうなるだろ


『でもね、もっと凄い情報聞いちゃった!コレ見て』


亮子が机の上の何年か前の店のチラシを、俺に見えるように高くかざす。


そこに写っていたのは、横顔の彼女。今と同じ綺麗な顔・・・だけど少し幼い。


「すげぇ情報って・・・そんなの、ただのチラシじゃん」


亮子は目をキラキラ輝かせ、んふふっ・・・と笑う。


そして、立てた指をチッチッチッと左右に振り


『この時、高1だよ・・・高1。で、そこで既に二人は・・・何と・・・凄い事に・・・


婚約してたんだって♪ねっねっねっ・・・凄いでしょっ!


婚約だよ・・・こんにゃく、じゃないから、こ・ん・や・く!!』


もう俺の反応を楽しむなんて事は、すっかり忘れたようだ。そして、ニヤニヤ顔で


噂好きなオバサンの様な亮子は、金子さん情報を次から次へと話、休憩を終えて


上機嫌で部屋を出て行った。


部屋に残されたのは、二人に付け入る隙も無い事を知り、項垂れた俺


麻井さんの優しげな笑顔のチラシ・・・そして、俺の手の中には、あのチェリー飴。


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