天使の悪戯24(歩の回想1) | 恋愛小説 くもりのちはれ

※歩side 回想1


初めて奈緒を見たのは、半年前の静かな雨が降る午後


見回すと皆、同じような黒い服


どう見ても場違い・・・俺の頭の色は隠しようもなく目立った。


むせび泣く人々の中で存在自体が浮いている、ましてやピアスに着崩した制服


まるで、事件を起こした加害者が被害者の元へ謝罪をしに来たような・・・


浴びせられる視線は冷ややかで、痛かった。


でも、どうしても最後の別れの言葉を伝えたかった。


『すごいねぇ・・・神様みたいだねぇ。』そう言ってくれたのは・・・


手を合わせ見あげる祭壇・・・その写真の人。


目と目じりのしわが半円を描く・・・屈託ない優しい笑顔。




あの頃・・・


仕方なく入った高校は、中学の頃と何も代わり映えしなかった。


成や仲間の顔も皆同じで、それ以外の周囲の人間は俺を直視せず


俺の向こう側の親父を見ている。


コバンザメの様にくっ付き媚を売るか、距離を置き遠巻きで見ているか・・・


とにかく俺は俺の存在が全てにおいて、親父のシールドで守られていて


逆に・・・縛られているんだと思ってた。


俺には意思を持つことすら許されてないと、そう俺は俺という人間を諦めていた。


唯一くだらない愚痴のような弱音を吐けたのは、親父の昔の仲間のタカ兄。


話せる大人のタカ兄は、兄貴の様な存在で俺の孤独を理解してくれる人。


高校に入って少し経ったある日・・・タカ兄が俺に


『歩、週末ちょっと店手伝え!お前の親父の事は、やっぱ周りの奴らにバレルと


まずいから、お前は俺の甥って事にすっから、うまく合わせろよ!』


とバイトを強制した。タカ兄は、隣町の商店街でバイクと自転車の店をしてる。


バイトと言っても、週末のタカ兄が町内会元ヤン軍団サッカー連合なる仲間達と


ボール遊びをしている間の店番、パンク修理がメインの簡単な仕事。


ほんの数時間・・・渡会 歩でない別の人間になれる・・・俺はその話を受けた。


そして・・・そのバイトの初日に、店に来た最初の客が、


写真の人・・・奈緒のばあちゃんだった。


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