疑問 | 恋愛小説 くもりのちはれ

幼馴染・・・おさななじみ・・・たかが、されど・・・幼馴染・・・


どれだけ考えても、ありえるじゃん・・・ありえるんだよ、先輩。


あの日、振り返らず早歩きの私の後ろで、先輩が言った事。


『小夜とは、幼馴染。ありえねぇだろ。実際、噂になってるみたいだけど、


斉藤まで変な誤解すんじゃねぇよ。あっ、そうだった・・・ヤキモチか・・・。


そうだ、そうだよな。こんな良い男がそばにいりゃあな・・・惚れるよな』


結局、茶化すようなセリフを散々聞きながら、自宅の前まで送ってもらった。


ずっと無視をしていた私は「ありがとうございます。おやすみなさい。」と


お礼だけは伝えて家の中に駆け込む。


あれから数日、何も変わっていない。日常も先輩との関係も・・・。


放課後は慌しくマネージャー業をこなす日々。


今日もいつもどおり休憩に入ると、先輩が私の横に座る。


『斉藤、聞いてくれよ・・・今日さ、物理のピゲにさ・・・』


「先輩、ピゲってなんですか?」


『あーっ・・・お前、ピゲ知らないの?


ピゲって言うのは、はげ頭にピッって毛が数本残ってる奴のことじゃん。


無知だね・・・君は。』笑顔の先輩。


「クスッ・・・なんか可愛そう・・・でもピゲって言い方、可愛い・・・」


笑いながら先輩を見る。すると、先輩は私の顔を見つめて・・・


『よかった・・・久しぶりに斉藤の笑った顔見たよ。』と嬉しそうに言った。


「えっ・・・」


そうか・・・私・・・ずっと木村さんの事気にしてて・・・考えてばかりで・・・


先輩と最近、自然に会話できてなかったかも・・・。


『俺、斉藤にちょっとウザがられてると思ってたよ。


実際、お前だけに妙なちょっかい出すし・・・んっ・・・何か・・・』


急に黙り、俯いたまま何か考えてる先輩・・・


「あの・・・先輩・・・どうしたんですか?」先輩の顔を覗き込む。


一瞬、眼が合うと少し顔を赤くして・・・


『俺って、斉藤に惚れてんのか?』と疑問符つきの告白。



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