ソラのご主人様は、平日は優、土日は私。
ソラは、二人のペットと化した。
優の家に、お邪魔するっていうのは、コウ君に悪くてできないから、
金曜日と日曜日の夕方、優が私の家に車で来て、ソラの受け渡しをする。
だから、優との関係は、今までとほんの少し変わっただけ。
お昼休みに話す内容が、ソラの様子ばかりになったけど・・・
本当に、以前と同じ。
そして、穏やかに時が過ぎていく。
でも、平穏な日々は、そんなに長くは続かなかった・・・。
木曜日、私はいつもどおり病院に行くため、
ホームルームが終わると同時に教室を出る。
慌てていたからか、校門の前に止めてあったバイクに気が付かず、
思い切りカバンをぶつけてしまった。
振り向きざまに、「ごめんなさい。」と謝り、頭を下げる。
そして、ゆっくり顔を上げると、そこには・・・
ぶつかったバイクの他に、十数台のバイクが整然と止まっている。
その横には、この学校で見た事も無い・・・十数人の男達・・・。
その中の一人が一歩一歩、私に近づいてくる。
『あーあ。クロのバイクになにしてくれるのかな・・・』
銀色の髪、鼻や口に無数のピアス、異様なまでの威圧感・・・
目の前に来て、私をニヤリと見下ろし・・・
『これの持ち主さ・・・かなりやばいんだよね。
黙っててあげるから、俺と今日、遊ぼっか。』
拒否権ナーシ・・・そう言いながら、私の腕をガシリと掴む。
「ちょっ・・・ちょっと・・・やめて。はなして。」
少し大きな声で抵抗する。
校門を、何人もの学生が通る。
チラチラとこっちを見てるのに、誰も助けようとしてくれない・・・。
涙目になりながらも、男をキッと睨むと、
『ちょっと、めっちゃタイプ。』
今度は、真っ赤な髪を無造作に立たせ、ブルーな瞳をした
少し背の低い男が近づいてくる。
『俺も、まぜて♪クロには内緒にしてあげるからね。』
だって、クロ女嫌いだからさ・・・とクスクス笑う。
「嫌です。離してください。」
私は、掴まれた腕を振り払おうと、必死に抵抗する。
でも・・・銀髪頭は、きつく掴んだその手を、一向に離そうとはしない。
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