ドコモが新たに開始する公式コンテンツのメニューリストの掲載順位決定方式が論議を生んでいる。

これまでドコモは、メニューリスト内の公式サイトを利用の多い順に並べていた。細かい計算方法については明らかにされていないが、基本的には「携帯 電話だけで機能が完結するサービスについては、有料登録者数の多い順。PCサイトなど外部と連携する必要があるサービスについては、月間ユニークユーザー 数の多い順」(NTTドコモ ネットサービス企画担当部長の前田義晃氏)というルールを定めている。

これを一部のカテゴリで入札制に移行する。ドコモが「プレミアムメニュー」と呼ぶこの広告枠は、第2階層と呼ばれる各カテゴリの最初のページに表 示される。入札額の多い事業者ほど上位に表示される仕組みで、その枠数は各ジャンルごとに最大4件。入札は毎月1回行われ、ドコモの子会社であるディー ツーコミュニケーションズが担当する。

「悪魔のような施策」「最も公平な手段」--ドコモメニューリストの入札制をめぐる思惑 :CNET記事参照


モバゲーなどの勝手サイトがPVを伸ばす中で、キャリアの公式サイトの存在意味が問われ始めています。そもそも公式サイトになるメリットは「集客」「集金」の2つしかありません。公式サイトが始まった当初はサイト数も少なかったので、公式化するだけでユーザーが増えるメリットがありました。ただ、今は公式サイトがスゴイ数存在しているので、公式化するだけではユーザーを集めるのは難しくなってきました。更に、昔はパケ放題もなく、通信速度も遅かったので、ユーザーは公式のディレクトリから探すしか手段がありませんでした。ただ今は、パケ放題、3Gが普及して、多くのユーザーはPCと同じく検索からネットにアクセスする頻度が増えてきました。これらがキャリアの提供する「集客」のメリットを損なってきました。今回の入札制導入は奇しくも、ドコモがこの事実を認めたことになります。

「集金」の部分に関しても、殆どが月額300円といった硬直した価格設定のみしか利用できず、「1円単位の少額課金」、「万円単位の高額課金」、「広告モデル」などの採用もできません。公式サイトの有料モデルは、回線が遅く、パケット代が従量制だから自由にネットサーフィンができないというケータイ独自の問題によって成立していたと思います。PCネットの世界では無料での広告モデルが主流です。パケットと通信速度の問題が解決した今、モバイルネットの世界でも広告モデルが主流になるのは火を見るより明らかだと思います。そんな中、公式サイトは広告モデルを採用することができないのです。これは、公式CPが勝手CPと戦っていく上で絶望的なハンデになると思います。

更に、今ネットの世界ではソーシャルに繋がる、ソーシャルなコミュニケーションが必須になってきています。そんな中、公式サイトはユーザー生成コンテンツの殆どを認めていませんでした。キャリアにとっては最悪なことに、今回のフィルタリング問題が、ユーザー参加型サイトの公式化を決定的に難しくしました。

その他にも、「サイト間のリンクができない」、「ユーザー情報を含めた、APIを何一つ提供していない」、「審査などの参入障壁が高い」、「各キャリア対応、各端末対応が面倒」これらの大きなデメリットも存在します。

今はケータイでビジネスを始めようとする、CPにとって代替えが無いので、公式サイトは未だに重要なプラットフォームとして存在できています。しかしながら、もし今後、「広告モデルを含む様々な課金モデルに対応した」、「ユーザー情報や各種APIを完備した」、「バイラルでサイトを宣伝できる」、「参入障壁が低い」、「サイト間でのリンク、API連携が可能な」、「各キャリア、端末対応が必要ない」プラットフォーム、つまりケータイ版のFacebookの様なサイトが出てくれば、キャリアのプラットフォームに取ってかわることが可能になるのでは無いでしょうか。

というよりは、そういったサイトが出てきて、i-modeなどに取って代わる必要があるのではないでしょうか?日本のモバイルネットはあまりにもクローズド過ぎて、全く進化をしていません。もっとみんなが自由に参入できるプラットフォームを作り出すことが、日本のケータイネットの進化には必須なのだと思います。