本日(米国時間5/28)午後、ヤフーのCEO Jerry YangとSue Decker社長が、カリフォルニア州Carlsbadで行われたD6カンファレンス語ったインタビューの内容がTechcrunchで紹介されていました。

Techcrunch:ライブ:ヤフーのヤンとデッカー、D6で語る

インタビューの内容を見ていても、非常に的を得ておらず、今後の戦略が見えていないようです。


Michael Arringtonは更に辛辣にJerry Yang「もうお終いです」 とまで語っています。

Yangがダメなのは今Yahooが抱えている問題が何なのかを正確に理解できていないことです。Yahooが現在抱えている問題は大きく言うと2つあります。1つは外的問題。もう1つは内的問題です。

外的問題は一言でいうと「Google」です。Yahooの最大の敵は誰なのか?Yahooの収益の多くを奪っていっているのは誰なのか?これは決してMSではありません。今、ネット上で一番収益性が高く成長している検索連動広告市場をGoogleにほぼ独占されている。このことがYahooをビジネス的に窮地に追い込んでいる最大の要因であるということはYang以外の全ての人には明確であるのに、彼一人はどうもそのことを理解していない様で、こともあろうかGoogleと提携して検索連動広告の部分を彼らに委託しようとすらしています。この件に関して更に理解できないのはYangは
「PanamのおかげでGoogleとの収益化のギャップは埋まりつつある」といいながらも「Googleとの試行の結果、GoogleがYahooの広告枠をいかに効果的に収益化するかを理解した」などと言っています。もし目先の収益のために検索連動広告の部分をGoogleに委託すると、その分野で二度とGoogleに追いつくことができなくなるのは明白で、その結果、近い将来にメインの検索の部分もGoogleに委託せざるを得なくなることも明白です。

検索と検索連動広告は今後もネット上で大きな位置を占めていくことは間違えありません。

そして検索の分野はまだまだ未完成な部分が多く、今後進化発展の可能性を秘めています。Googleの検索の不完全さを説明するのは一言でできます。「私が検索しても、あなたが検索しても同じ結果しか表示されない」こういった単純なことを筆頭に「私たちが望むものを的確に教える」ためにできていないこと、やらなければいけないことは山の様にあります。ここでGoogleと提携することはYahooにとって自分たちの未来の可能性を諦めてしまうことに繋がります。

Yangは現実から目を背けずに、Yahooの真の敵は誰なのかを見極めて、そこに立ち向かっていく必要があると思います。

2つめの内的問題はYahooの企業としての今後の成長戦略が全く見えないということです。どの分野が今後のYahooの成長を支えていくのか。どう選択と集中をしていくのかがまったく見えてきません。彼が言っているのはYahooにはあれもこれもあってどの分野も凄く可能性があるんだよ。と言っているだけで、どの分野が今後ネット業界で成長していくので、その分野にYahooとしてどの様に取り組むかと言ったことが全く提示できていません。ディスプレイ広告、モバイル、検索、ホームページ、メール、何がやりたいのか全く分かりません。

ただ、Yahooにはまだまだ大きな可能性があります。

Yahooが今後取っていくべき戦略は「オープン化戦略」以外にあり得ないと思います。先だってYahooが発表した「
SearchMonkey 」それを更に拡大した「Yahoo Open Strategy 」は控えめに見てもかなり大きな可能性を持っています。ただ、これらが殆ど実現されていないことが問題で、Yangは会社の全経営資源をこのOpen Strategyにつぎ込んで、ここにこそYahooの未来があるということを従業員、世間、投資家たちに理解させる必要があると思います。

Yahooの持っているネット資産は膨大なものがあります。これらの全てをサードパーティやユーザーに開放して、みんながアクセスできるようにする。ユーザーがYahooと思わずに至るところで、Yahooのリソースを使ったコンテンツやAppを利用している。その様な状態を作り出すことができれば、Yahooは再び輝きを取り戻すことができると思います。

Googleは確かにオープンです。しかし、彼らは自分たちの主力の検索や検索連動広告の部分では決してオープンにしようとしていません。ここでYahooが本気でオープン化戦略を進めていくと、Googleの牙城を崩すのも夢ではなくなると思います。リナックスやFirefoxがWindows、IEに打撃を与えているのと同様に、
検索や検索連動広告の部分を中心に徹底的にオープン化戦略を進める。そして世間にGoogleこそが2枚舌の悪の帝国になりつつあることを知らしめる。これがYahooの取るべき戦略だと思います。

Yahooの敵はMSではなくGoogleである。


そのことをYangがちゃんと認識をして、取るべき正しい道を選ぶことがネットの未来に繋がると思います。