ディズニーのピクサー買収がついに決定した。

Disneyは米国時間24日、Pixar Animation Studiosを
74億ドル相当の株式交換で買収すると発表した。
これにより、Apple ComputerのCEO(最高経営責任者)Steve Jobsは
Disneyの取締役に就任する。

CNET記事参照


今夏に完了する見通しのこの買収の一環として、
Pixarの幹部2人がDisneyのアニメーション部門を統括することになる。
Pixarの社長を務める Ed Catmullは、
PixarとDisney Animation Studiosの合併会社の社長に就任する。
また、Pixarのエグゼクティブ・バイスプレジデントで、
同社のクリエイティブ部門のリーダーと広く認知さ れているJohn Lasseterは、
新会社でクリエイティブ部門の最高責任者に就任する。


この記事を見る限り、
アニメーション部門の主導権は完全にピクサー側が握るようです。
ここ最近ディズニーはまともなアニメを作っていないので、
ピクサー側が主導権を握るというのは当然の事かと思いますが、
元々のディズニーの責任者たちと、上手くやっていけるかが鍵ですね。


更に面白いのが、

Lasseterは、アニメーションスタジオでの仕事に加え、
Walt Disney Imagineeringでも
Iger直属のクリエイティブ部門主任アドバイザーを兼務し、
さらにDisneyのテーマパーク設計にも力を貸すことになる。

ピクサーのクリエイティヴ事業を統率していた、
ジョン・ラセターがディズニーランドなどの設計にも関わることになった。
ラセターは、ウォルト・ディズニーと同じ様なクリエイティヴを持っており、
その彼が関わることで、ディズニーランドをどう進化させていくか楽しみです!


そして、この買収の結果、
ピクサーのスティーブ・ジョブス氏が新生ディズニーの
取締役ならびに筆頭株主になることが決まりました。

ディズニーCEOのロバート・アイガー氏が、
このあまりに個性的で、あまりに存在感のある男を御しえるのか?
今のところ、両者の関係は順調なようですが、
ジョブスは何においても自分が一番でなければ気が済まない人です。
遠くない将来に、大きな衝突がありそうな気がします。

ただ、今回の買収劇は今のところ
ディズニー、ピクサー両社にとって歓迎すべき事だと思います。

ピクサーのメリット
 ディズニーのマーケティング力を活用し続けれる。
 ディズニーのブランド力の活用
 ディズニーランドなどとのコラボレーションによる相乗効果
 グッズ販売などのノウハウ
 ABCなどの地上波との連動
 「トイ・ストーリ」や「モンスターズ・インク」などの続編を製作することができる。 
 (今までに製作したピクサー作品の続編を作る権利はディズニーにあった)

ディズニーのメリット
 ピクサーのアニメ製作能力を活用
 ピクサーブランドの活用
 ピクサーの作品、キャラクターなどをディズニーランドなどで使用できる
 ピクサーの作品、キャラクターなどを商品化できる
 ABCなどの地上派でピクサーと連動した番組を製作できる
 過去のピクサー作品を、ピクサーにリメイクしてもらえる。
 (ディズニーでリメイクしても面白い作品が作れるか微妙)

両社にとってのメリットを列挙してみると分かるのですが、
まさに表裏一体の関係といえるのでは無いでしょうか。

この辺が、合併しなければ馬鹿といわれる理由でしょう。

どの企業の合併よりシナジー効果が見込めそうです。


新しい形の企業買収

今回のディズニーによるピクサー買収の結果、
被買収企業のピクサーの筆頭株主であるスティーブ・ジョブス氏が
買収企業のディズニーの筆頭株主になりました。

今後の、ディズニーの経営状況次第では、
ジョブス氏がディズニーのCEOに収まる可能性も出てきました。

英ケーブルテレビ会社NTLによるヴァージン・モバイルの買収劇でも、
被買収企業のヴァージン・モバイルの筆頭株主であるリチャード・ブランソン会長が
買収企業のNTLの筆頭株主になりました。

ロイター記事参照


今まで、買収されるというと、
買う方が主導権を持って「エライ」というイメージがありましたが、
被買収企業に真の実力があれば、
買収されながら主導権を握るということも可能なのですね。


このことは、M&Aで大きくなってきたが、
結果、何の実態も伴っていなかったライブドアと並べて考えてみると、
真の会社経営とな何なのかを考えさせられます。


追記:
ピクサーの売却金額が74億ドル。
去年に発表されたドリームワークスの売却金額が16億ドル。

産経新聞記事参照


意外に大きな差がつきましたね!


ハリウッドでは独立系メジャーとして
生きていくのは難しいようですね。



追追記:
「silvervineの定点観測所」さん
ジョブスとアイガーがCNBCに語ってたインタビュー内容を、
日本語訳してくれていました。

内容は大体、予想の話なのですが、
面白かったのが以下です。


Jobs は、今回の件における 「話の肝」 は Pixar が
Bob Iger の Disney に関するビジョンを買ったことであり、
Disney が Pixar の (あるいは Apple の) ビジョンを取り込むことではない、と語った。
大切なのは、「Pixar が Bob Iger の描く Disney の方向性を買っているということです」 と Jobs は語った。
「彼は、アニメーションの重要性をよく理解しています。

私たちは、この Bob のビジョンを評価しているのであり、その逆ではないのです。」


大規模な買収には常にリスクがつきものだが、
Iger は Pixar の他の追随を許さないこれまでの実績がすべてを物語っていると語った。
Disney が Pixar の実績を保護できる限り、合併した会社はうまくいくだろう、と彼は語った


この買収の最大のリスク要因はどう考えてもジョブスですね(笑)

何年後かにはジョブスがディズニーのCEOになっている気がします。