勇気が湧くひつじのお話 ❤︎ 第2話 | 勇気がわく言葉★ ひつじたちの成長物語

勇気が湧くひつじのお話 ❤︎ 第2話

❤︎勇気が湧くひつじのお話 ❤︎

〜第2話《夏の大ぼうけん》〜
*・★.・*・★.・*
 
朝がきた。
 
お日さまが、眠るひつじたちを温かく見守っていた。
 
大地の草たちも、ささやき声でお話をしている。さわさわとゆれている。
 
夏のおわりが近づき、秋を感じる朝だった。
 
マシュマロのように、ふわっと柔らかい風が吹く。
 
ひつじたちは、1匹、2匹、3匹…と
目を覚ました。
 
ひつじのメイコとメー吉も起きた。
 
『ピロロロ』
2匹は、青空で歌うトリたちをながめていた。
 
空の先には、キラキラとかがやく海がみえる。
 
しばらく、ぼんやりしていた。
 
『メ、メ、メー!』
 
一匹のひつじが朝ごはんの合図をした。
 
メイコ『いつも、びっくりするわ』
 
ひつじたちは、みんな一緒に大地の草をむしゃむしゃ食べはじめた。
 
メイコはつぶやいた。
『はあ、やっと夏がおわるのね。夏は暑くて、じっとしてばかりだったもの。』
 
メー吉が目をらんらんとさせて言った。
『メイコ、海に行ってみよう!泳いでみよう!』
 
メイコ
『海!?』
 
海は、一度行ってみたい場所だった。でも、こわかった。
 
『私たち、こんなにモコモコしてる。行ってみたいけど、おぼれちゃうわ。』
 
メー吉
『ぼくは、やっと夏がおわったって思うより、夏も最高だったと思いたい。』
 
メイコは、メー吉のことばに心打たれた。
 
春、夏、秋、冬。
 
私たちが、海で泳ぐことができるのは夏だけなのだ。
 
今だけなのだ。
 
どんな毎日も大切にしたい。
 
 
メイコ『海に行ってみるわ!』
 
 
海に着いた。
 

第2話
 

 

『よくきたね』と言わんばかりに

お日さまがニコニコしている。
 
砂の上を歩くと、ギュッギュッとあいさつしてくれる。
 
メイコとメー吉は、温かい砂の上にすわり、海を感じた。
 
ずっと行きたかった海を見た。
 
宝石のように、キラキラした海。
 
どこまでも続く空と海のブルー。
 
アイスクリームみたいなくも。
 
『ざばーん、ざばーん。』
ウトウト心地よい波の音。
 
しおのさわやかな香り。
 
のびのびとお散歩するカモメ。
 
このすべてが海なのだ。
どこまでも広がる世界を知った。
 
メイコは、感動していた。
 
メー吉
『ここに来たぼくたちだけが見られる景色だ。』
 
メイコ『ここに来て、分かることがたくさんあるのね。
ここに来なければ、こわいままだった。』
 
メー吉『さあ、泳ぐとするか』
 
メー吉は、打ちよせる波に立ち向かっていった。
 
猛スピードで飛び込んでいった。
 
『ジャーンプ!』
 
イルカのジャンプのように高く飛んでいた。
 
メー吉は、思いのほか、とおくに飛んでいた。
 
メイコ『ちょっと待って。メー吉、およいだことないでしょ…』
 
メー吉は、どうみてもおぼれていた。メー吉がどんどん沈んでいく。
 
メイコ『助けなきゃ!』
 
メイコは、波に立ち向かい、猛スピードでジャンプしていた。
 
『ギャー!助けて!』
 
メー吉の近くにきたものの、メイコもおぼれてしまった。
 
 
その時だった。
 
 
空から星くずのような金色の砂がさらさらとふってきた。
 
メイコとメー吉のもこもこまぁるい体が海にうかんだ。
 
2匹は、かおを見合わせた。
『はあ。助かった…』
 
メイコ『なんで浮いてるのかしら?』
 
メー吉『なんだっていいさ。これで、泳げるぞ!メメー!』
 
メイコとメー吉は、ねむたくなるまで金色の海で泳いだ。
 
大はしゃぎであそんだ。
 
メイコ『最高に気持ちいいね!』
メー吉『この夏も最高だろう?』
 
メイコもメー吉も、この夏一番の笑顔だった。
 
最高の笑顔だった。
 
メイコにとって、この夏一番の大ぼうけんだった。
 
この夏を忘れることはないだろう。
この夏が大好きだ。
 
メイコ『メー吉、すてきなプレゼントをありがとう。』
 
メー吉は、バシャバシャとひつじであることを忘れてあそんでいた。
 
 
メイコとメー吉は、海にしずむ夕日を見ていた。
いつの間にか、ウトウトねていた。
 
金色の砂は、海からのプレゼントだった。
 
金色の砂は、空から見ていたひつじの神様からのプレゼントだった。
 
勇気のあるメー吉へ。
勇気を出したメイコへ。
 
 
おしまい♪
 
*・★.・*・★.・*